「大阪のタイトル戦の展開は、ゴトー次第。ただし、いまの俺の引き出しは“無限”だよ」“IWGP世界ヘビー級王者”ザック・セイバーJr.にロングインタビュー!

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【新日本プロレスリング株式会社】

2月11日 (火・祝) 『ナッツRV Presents THE NEW BEGINNING in OSAKA』大阪大会にて、後藤洋央紀を迎え撃つ“IWGP世界ヘビー級王者”ザック・セイバーJr.にロングインタビューを敢行!

後藤戦への意気込みを語るとともに、1.4『WRESTLE KINGDOM』海野戦、1.5『WRESTLE DYNASTY』リコシェ戦を振り返る!!
さらに、イギリス時代からの旧知の仲であるゲイブ・キッドにも言及!

テキスト/鈴木佑
撮影/山本正二
<大会情報>
『ナッツRV Presents THE NEW BEGINNING in OSAKA』
2月11日 (火・祝) 13:30開場15:00開始
大阪・大阪府立体育会館(エディオンアリーナ大阪)
※「ロイヤルシート」「1階アリーナ」「2階特別席」は完売。「1階ひな壇」「2階指定席」は残りわずか。

※リンク先は外部サイトの場合があります

■正直いまはプレッシャーがある。なぜなら、これからもトップに居続けなければならないからね

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――1.4&1.5東京ドーム2連戦ではIWGP世界ヘビーの連続防衛、おめでとうございます。この取材は1月7日の会見後に収録していますが、この年始の活躍に対する周囲の反響はいかがですか?

ザック SNSを見てると世界中からものすごい数の反響があったけど、まだ全然追い切れてないんだ。とにかくこの数日はこれ以上にないほど忙しかったからね。

――振り返る間もないほどだったと。

ザック 1月4日は大会が終わって23時頃に自宅についたんだけど、一息ついてすぐにベッドに入ったよ。翌日の東京ドームは昼スタートで朝の9時には会場入りだったからね。その大会後も取材やら何やらあって、こうして6日の大会も終えてようやくホッと一息ついた感じかな。でも、2~3日休んだら今度はサンノゼに行ってエチセロと試合だけど。まあ、いまはなんだか不思議な感覚になってるよ。

――不思議な感覚というのは?

ザック プロレス界でニュージャパンの東京ドーム大会というのは特別なものだし、そのメインイベントは誰にとっても夢の舞台だと思う。俺は日本に長くいたから、そのことをより強く実感してるんだ。そして俺はそのメインイベンターを二日連続で務め、勝利することができた。

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――過去の東京ドーム2連戦で団体最高峰のベルトを保持する王者が、メインで連続勝利を収めたのは今回が史上初です。さらに外国人選手が東京ドームのメインを勝利で飾るのは、2006年の1.4東京ドームのブロック・レスナー選手以来となりました。

ザック 自分が傲慢になってなきゃいいなって思うよ(笑)。もちろん結果を残す自信はあったし、これを乗り越えれば気持ち的に楽になるのかなとも思ったけど、正直いまはプレッシャーがある。なぜなら、これからもトップに居続けなければならないからね。

――喜びに浸るよりも気が引き締まると。

ザック そうだね、べつにこれですべてを成し遂げたというわけではないし。去年の『G1 CLIMAX』で優勝したときも、そのあとにIWGP世界ヘビーを獲ったときも同じような気持ちになった。自分がそう感じるのは、これまでプロレスを20年続けてきたけど、まだまだ成長の余地があるってことだって捉えてるよ。

――ザック選手は2017年3月から新日本に参戦するようになり、18年から毎年1月の東京ドーム大会に出場し続けています。そして今回、初めて東京ドームのメインを飾ったわけですが、ここまでの道のりを振り返っていかがですか?

ザック あらためて振り返ると長い旅だったかもしれないけど、俺の場合は年々、少しずつ自分が上昇していってる手応えがあった。『NEW JAPAN CUP』を2度制し、IWGPタッグもタイチと3回巻き、NJPW WORLD認定TV王者時代には16度の防衛に成功した。大きな大会のメインを何度もやったし、そういった積み重ねが去年の『G1 CLIMAX』初優勝からIWGP世界ヘビー初戴冠、そして東京ドームのメインにつながったんだと思ってるよ。

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――改めて、メインイベンターとして歩んだ東京ドームの長い花道の感想は?

ザック 「最高」の一言だね(笑)。入場直前はワクワクしたし、メインイベンターだけが味わえる派手な演出の中、花道を進んでいるときは本当に最高の気分だった。緊張以上に喜びがあったし、「今回だけじゃなければいいな。あと何回、同じような経験ができるかな」って思ったよ。それには今後も数多くリングに立ち、IWGP世界ヘビーの王者として存在感を示すのが重要だと思ってる。

――一夜明け会見では「去年は120試合近くしたけど、今年はもっと試合をするつもり」と発言されていましたね。

ザック 去年はIWGP世界ヘビー級王者として『WORLD TAG LEAGUE』にも出場したし、今年も変わらず多くの試合に出場したい。ニュージャパン以外にCMLL(メキシコ)、RPW(イギリス)、そしてAEW(アメリカ)のリングにも上がったけど、今年はより積極的にニュージャパンのレベルの高さを世界に見せていきたいと思ってるよ。

■ショータにはこの試合がどれだけ重要なものなのかわかってほしかったし、今回を通して彼は何を得たのか、これからの戦いで見せてほしいね

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――今回の東京ドーム2連戦のそれぞれ試合の感想を伺わせてください。初日の海野翔太戦は43分を超す熱闘となりました。

ザック それだけショータがタフだったということかな。今回、俺たちは二人ともドームのメインは初めてだったけど、こっちにはショータよりも経験があった。だからこそ俺は迎え撃つ立場として、新エースを目指す彼の力を引き出したかったし、ショータのウィークポイントである足首への攻撃はなるべく避けるようにした。

――最初から足首を狙いにいっていたら、また試合展開は変わっていたかもしれないですね。

ザック たしかにもっと早く終わっていたかもしれないけど、それは俺の望むことではなかった。そうして試合が進むにつれ、「なかなかギブアップしないな」と思ったし、ショータの意地が伝わってきたよ。

でも、ショータが俺の頭にストピングでガンガン食らわせたときに「そう来るのか? それならそれでいい、“紳士協定”は終わりだ」と思って、そこからは足首も攻めて仕留めにかかったけど、彼は必死に立ち向かってきた。ショータにはこの試合がどれだけ重要なものなのかわかってほしかったし、今回を通して彼は何を得たのか、これからの戦いで見せてほしいね。

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――海野選手はこの王座戦の発表会見で、「僕がイギリスにいるときに、ザックさんは気にかけてくれていた」と発言していました。ザック選手が海野選手を気にかけた理由や、その思いを伺えれば。

ザック まず、俺はニュージャパンが若手の修行先にイギリスを選んでいることが、何よりすばらしいことだと思ってるんだ。そして俺は幸運にもイギリスでランカシャースタイルを教える最後のプロレス学校で技術を学ぶことができたから、この伝統技術を次の世代に引き継がねばならないという責任を感じている。

そんな中、ヤングライオンの頃からポテンシャルを感じさせたショータは、このスタイルを学ぶことに意欲満々だったから、俺は喜んで手を貸した。彼は非常にまじめに取り組んでいたし、技術を継承しているじゃないかな。

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――ドームの試合後、あなたは日本語で海野選手に日本語で「マダマダ、エースデハナイケド、ココマデオイデ」とメッセージを送りました。「まだ彼の時間は来ていない」とも発言されていますが、今後の海野選手に期待することは?

ザック 俺がショータと同じ年齢(27歳)の頃には、自分のなりたい姿というのがわかっていた。とはいえ、YouTubeで当時の自分の試合を見ると「何やってんだよ、ザック」って恥ずかしくなるけど(苦笑)。もちろん、その頃の俺は東京ドームのメインを務められるようなレスラーじゃなかったし、それを考えるとショータはよくやっていると思う。スキルもあるし、これまでの努力も認める。

ただ、まだ自分自身で”ウミノ・ショータ”というレスラーを理解できてないんじゃないかな。ペンライトを持って愛想を振りまきたいのか、それともジョン・モクスリーのように荒々しいファイトがしたいのか。いったいどんなレスラーを目指しているのか、そこにショータが新エースになれるのかどうか、一つの鍵が隠されていると思ってるよ。

■ニュージャパンのレスラーはフィニッシュムーヴが一つじゃないのが強みだと思うし、そこには相手との読み合いが出てくる。どんな技でフィニッシュするのか、そこには自分自身への興味や挑戦という部分も生まれてくるんだ

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――続く1.5東京ドームは初開催の『WRESTLE DYNASTY』としてAEWやROH、CMLLが参加する大会となりました。

ザック ニュージャパンのグローバルパートナーが集結し、しかも東京ドームで大会を開催できたのは大きいことだと思う。もし今後も継続的に開催されるならば、伝統のある1.4東京ドームと並べるのではなく、べつの日時に行なうほうが独自の特別感が生まれるような気もするね。まあ、これはあくまで俺の個人的な考えだけど。

――ではリコシェ戦のご感想は? 異なるファイトスタイルの二人が化学反応を起こし、好勝負となりました。

ザック 彼とは若い頃にイギリス、ドイツ、アメリカ、あとオーストラリアでも戦ったけど、WWEやAEWで経験を積んだだけあってやっぱり進化してたね。ハイフライムーブが華麗なのは言うまでもなく、ヘビー級としての力強さも感じた。でも、彼のほうがザック・セイバーJr.の進化を体感しただろうね。

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――今回、海野戦はザックドライバー、二日目はサブミッションをフィニッシュに選んだのは狙っていたのでしょうか?

ザック そうだね。世界が注目する舞台だからこそ、ニュージャパンのチャンピオンとして幅の広さを見せたかったのはある。ニュージャパンのレスラーはフィニッシュムーヴが一つじゃないのが強みだと思うし、そこには相手との読み合いが出てくる。どんな技でフィニッシュするのか、そこには自分自身への興味や挑戦という部分も生まれてくるんだ。

――リコシェ戦の一つ前のセミファイナルでは、ケニー・オメガ選手(AEW)とゲイブ・キッド選手がスペシャルシングルマッチで壮絶な死闘を繰り広げました。あの試合をザック選手がどう見たのか、興味深いところです。

ザック ちょうど俺は入場ゲート裏でスタンバイし、そこに用意されてるモニターでチラチラ観てたんだけど、まさに感情のぶつかり合いというか、すさまじい戦いだったね。ニュージャパンにとってもファンにとっても、ああいう試合が生まれたのはよかったんじゃないかな。俺とリコシェの試合は、それとはまた色合いの異なるハイレベルなタイトルマッチが見せられた自負は持ってるし、メインとセミの二つは比較するようなものではないと思ってるよ。

――そのメインとセミで、新日本を代表するイギリス人レスラー二人が他団体の“外敵”を迎え撃ったのは、感慨深い部分もあるのでは?

ザック そうだね、すごいことだと感じてるよ。過去にもニュージャパンではビル・ロビンソン、ダイナマイト・キッド、トニー・セントクレアー、スティーブン・リーガルといろんなイギリス人レスラーたちが活躍してきたけど、やっぱりアメリカ人レスラーのほうに勢いがあったと思う。

でも近年は俺やウィル・オスプレイ、そしてゲイブと、イギリス人のほうが名を上げているかもしれないね。個人的にイギリスは日本と同じ島国なのもあってか、いろんな面で適合しやすいと思ってる。

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――ザック選手とはイギリス時代から旧知の仲であるゲイブ選手が、新日本マットで多くのファンの支持を集める存在になったことについて、どのように受け止めてますか?

ザック 率直によかったなって思ってるよ。ゲイブと初めて試合をしたのは、まだ彼が16~17の頃だったんじゃないかな。その少年だった彼が、いまや歴代の外国人レスラーの中でも屈指の人気レスラーになった。あのケニーに試合中、ブーイングが飛ぶくらいにね(笑)。ゲイブがニュージャパンを愛し背負う姿が、それだけファンに伝わったってことだと思うし、日本のファンは国籍変わらず、ニュージャパンのために戦っているレスラーを応援してくれるのがすばらしいと思う。

――今回はAEWとの対抗戦が多く組まれました。AEWにはザック選手とこれまでに関わりのあった選手たちも多く所属していますね。

ザック たしかにいっぱいいるね。当然、オスプレイやブライアン・ダニエルソンのことは気になってる。あとは日本に来てない選手だとスワーブ・ストリックランド、MJF、ダニエル・ガルシア、ダービー・アリン……。インディー団体で活動していた頃から知ってる選手も多いし、とくにダービーとは何度も対戦している。

くしくも今年の『Forbidden Door』はロンドンで開催されるけど(現地時間8月24日)、おもしろいカードが組まれるのを楽しみにしてる。もちろん、そのときはIWGP世界ヘビー級王者として、母国のリングに立つつもりだよ。

■オリジナルメンバーのマイキー・ニコルスとシェイン・ヘイストは、俺にとって高校時代の友だちみたいな感じだからね。NOAHの道場で濃密な時間を一緒にすごした仲間で、いま思えば鈴木軍が解散したあと、TMDKに合流するのも必然だった気がする

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――1.5東京ドームのエンディングで、ザック選手は「ニュージャパンの未来は“オレンジ一色”だ。TMDKが長いあいだ、ニュージャパンのトップに君臨することになる」と、アピールしました。あなたは2年前の1.4東京ドームで、NOAH時代の留学生仲間であるマイキー・ニコルス選手とシェイン・ヘイスト選手の勧誘を受けTMDKに加入しましたが、あらためてユニットへの思いを伺えれば。

ザック TMDKにはかつて所属した鈴木軍と同じように、強い絆を感じてるよ。鈴木軍は俺がアイデンティティを確立させるきっかけとなったユニットで、スズキサン(鈴木みのる)から多くのことを学ぶことができた。タイチやエル・デスペラードのプロレスに対する情熱も感じたし、DOUKIが成長していく姿も間近で目撃した。

俺は新日本所属の唯一の外国人レスラーとして、ユニットの解散まで見届けることができたことを誇りに思っている。メンバーたちは俺にファミリーのように接し、たくさんヘルプしてくれた。それと同じことを、俺はTMDKでやっていきたいと思ってるんだ。

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――TMDKからは和気あいあいとしたムードが伝わってきます。

ザック オリジナルメンバーのニコルスとヘイストは、俺にとって高校時代の友だちみたいな感じだからね。NOAHの道場で濃密な時間を一緒にすごした仲間で、いま思えば鈴木軍が解散したあと、TMDKに合流するのも必然だった気がする。俺は日本の道場で育ったし、“センパイ・コーハイ”というシステムは大事だと思うけど、 若いフジタ(藤田晃生)やオーイワ(大岩陵平)には自由を与えつつ、その成長を手助けしたいんだ。

――藤田選手は1.4東京ドームでロビー・イーグルス選手とIWGPジュニアタッグを奪取し、次期シリーズの2.4後楽園では史上最年少のIWGPジュニア二冠王を目指しエル・デスペラード選手のIWGPジュニアヘビーに初挑戦を果たします。

ザック フジタの目覚ましい躍進は彼の才能もさることながら、ロビー(・イーグルス)のアシストが大きいと思ってる。彼はユニット全体の潤滑油であり、非常に重要な存在なんだ。オーイワもニュージャパンに戻ってきてからシングルのタイトルに連続で挑戦し、その経験を糧に今年はもっと伸びるだろうね。

いまのTMDKは若手からベテランまで、すばらしいバランスで成り立っていると思うよ。チームとしてお互いがお互いを支えあっている。その中で俺は“The Front man”として、喜んでその責任を果たしていきたいね。

■ゴトーは去年10月のデビッド・フィンレーとのIWGP GLOBAL王座戦でも勝利寸前だったし、相手として何も不足はないよ。ニュージャパンのストロングスタイルを体現している代表的な選手だと思ってる

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――そして2.11大阪のIWGP世界ヘビーの初防衛戦では、1.4東京ドームの『IWGP世界ヘビー級王座挑戦権争奪ニュージャパンランボー』を制した後藤洋央紀選手の挑戦を受けることになりました。『ニュージャパンランボー』は気になっていましたか?

ザック 俺自身も目の前の防衛戦に集中してたから、全部はチェックできてないけど、やっぱり気にはしてたよ。序盤でジョシュ・バーネットが出てきたときは「オッ!」って驚いたね(笑)。それ以外にもすっかりプロレスに適応して成長著しいボルチン・オレッグや、俺の元パートナーであるタイチにはがんばってほしいと思った。あとでタイチには「俺がベルトを防衛したら、キミが相手でもいいと思っていた」と伝えたけど。

――最後は後藤選手がオーカーン選手をラリアットで場外失格に追いやり、IWGP世界ヘビー挑戦のチャンスをゲットしました。

ザック あの一戦の提唱者であり、入場順でトップバッターだったオーカーンの意地も見えたけど、あのルールは最後まで勝ち残るのが難しいね。経験値の高いキャリアがある選手が有利で、そういう意味ではゴトーが勝利したのは納得する部分がある。やっぱりプロレスにおいてキャリアというのは侮れないよ。

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――後藤選手は昨年、『NEW JAPAN CUP』決勝戦まで残り、その試合(vs辻陽太)は東京スポーツ新聞社制定プロレス大賞の年間最高試合賞を受賞。新世代の選手が台頭する中で底力を見せました。

ザック ゴトーは去年10月のデビッド・フィンレーとのIWGP GLOBAL王座戦でも勝利寸前だったし、相手として何も不足はないよ。ニュージャパンのストロングスタイルを体現している代表的な選手だと思ってる。彼が入門した頃(※2002年)はまだイノキサン(※アントニオ猪木)をはじめ、昭和の新日本で活躍した選手たちも団体に残っていたし、その教えというのはゴトーの中で大きな礎になってるんだろうね。

あと、ゴトーは外国のプロレスファンからの人気が高いんだけど、あのサムライのような風貌が“ザ・ジャパニーズレスラー”という印象を与えているんだと思う。

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――後藤洋央紀選手とは1.6大田区の8人タッグで対戦しましたが、いかがでしたか?

ザック (※日本語で)ツヨイ。パワーガ、スゴイ。あらためて日本人レスラーの中でもフィジカルが優れていると思った。それに彼からは「今回のタイトル挑戦はラストチャンスかもしれない」という気迫も伝わってきたよ。

――後藤選手は昨年、リングサイドで試合を見守る自身のお子さんのために戦う姿も、ファンの感動を呼びました。

ザック もちろん、そういったゴトーの姿が支持されるのは理解できるし、いまの彼に家族という存在は大きなモチベーションになってるんだろうね。戦いにはモチベーションが何より重要だし、とくにゴトーにとって今回の王座戦は期するものが相当大きいと思ってるよ。

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――ちなみに過去の後藤選手とのシングルでの対戦戦績はザック選手の4勝2敗ですが、その中で印象深いのは?
 
ザック 2023年の『G1 CLIMAX』の最終公式戦かな。あのときはゴトーの猛攻をしのいで決勝トーナメントに進出することができた。あとは2017年に新日本に上がるようになって、すぐにゴトーのNEVER無差別級王座に挑戦した試合だね(※4.9両国)。そのときの俺は、まだヘビーに転向したばかりだった。

――当時はザック選手も身体が細く、後藤選手との体格差が目立ちましたが、サブミッションであと一歩のところまで追い込みました。新日本のファンにニューカマーであるザック選手のファイトスタイルを印象づけたというか。

ザック たしかにそうかもしれないね。でも、いまは俺も高みを目指して意識的に身体のサイズを大きくしたし、サブミッションが最大の武器なのは変わりないけど、それ以外の技術も身につけて自分のスタイルを確立した。だからこそこのベルトを巻いているわけで、それはゴトー自身もよくわかっていることだと思う。

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――今回の王座戦はどのような戦いになると思いますか?

ザック ゴトー次第かな。彼がどんな戦いを仕掛けてくるかによって、俺は変幻自在に応戦したい。以前は大事な試合でサブミッションを狙いすぎてスキが生まれ負けることもあったけど、いまの俺は多くの武器を持っている。2年前の1.4東京ドームでNJPW WORLD認定TV王者になり、そのあと16度の防衛を重ねる中で、「ザックはサブミッションだけじゃない」というのをファンにも伝えることができたんじゃないかと思ってる。いまの俺の引き出しは“無限”だよ。

――勝利への自信が伝わってきます。最後にザック選手のさらなる活躍を期待するファンへのメッセージをお願いできれば。

ザック (※日本語で)イツモアリガトウゴザイマス! みんなの応援がなければ俺はいまここにいないし、それを今回の東京ドームを通して再確認することができた。常に温かく受け入れてもらい、去年のナイトー(内藤哲也)とのIWGP世界ヘビー級王座戦のときも「ついにチャンピオンになるよね?」という大きな期待感が伝わってきた。

ニュージャパンがインターナショナルだからこそ、自分にしかできないこともあると思ってるし、これからも自分と団体の大きな未来に向けて突き進んでいきたい。今年も期待しながら、ザック・セイバーJr.の戦いを見届けてほしいね。

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著者プロフィール

1972年3月6日に創業者のアントニオ猪木が旗揚げ。「キング・オブ・スポーツ」を旗頭にストロングスタイルを掲げ、1980年代-1990年代と一大ブームを巻き起こして、数多くの名選手を輩出した。2010年代以降は、棚橋弘至、中邑真輔、オカダ・カズチカらの台頭で再び隆盛を迎えて、現在は日本だけでなく海外からも多くのファンの支持を集めている。

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