森保監督「前線にもっと選手層の幅を」 国際親善試合 ベネズエラ戦後の会見

スポーツナビ

森保監督は試合後の会見で「今日もアグレッシブにプレーしてくれた」と、選手たちへ一定の評価を示した 【Getty Images】

 サッカー日本代表は16日、大分スポーツ公園総合競技場で国際親善試合のベネズエラ戦に臨み、1−1で引き分けた。日本は前半39分に、セットプレーから酒井宏樹が代表初ゴールを挙げて先制。後半に入ってからも日本ペースで試合を進めたものの、日本が4人の選手交代を終えた直後の後半36分に酒井が相手をペナルティーエリア内で倒してしまいPKの判定。これをトマス・リンコンにきっちりと決められ、そのまま試合終了のホイッスルを迎えた。

 試合後、森保監督は「今日もアグレッシブにプレーしてくれた」と選手たちへ一定の評価を示すと、「追いつかれてしまったところは、これから勝ち切るためにチーム力を上げていく、いい課題にしていきたい」と前向きなコメント。1トップには「大迫に代わる選手がいない現状はある」と危機感を示したが、「チームとしての戦い方で戦力になってもらえるような選手を育てていけるようにしていきたい」「招集に関しては、まだまだいろいろな選択肢がある」とさらなるチーム力向上に自信をのぞかせた。

今日もアグレッシブにプレーしてくれた

 まず、われわれ日本代表もベネズエラ代表も、ホテルからスタジアムに来る途中、渋滞というアクシデントに巻き込まれて(スタジアムへの到着時間が遅れた状況で)試合を開始することになりました。そういう観戦に難しい中、雨も降っていたし、大変な状況の中でわれわれの試合を見に来てくださったサポーターの皆さんに御礼申し上げたいと思います。

 われわれも渋滞の中、普通にいっていればおそらく試合に間に合わなかった状況でした。地元大分の警察の方々、そしておそらく観戦に行く途中のサポーターの方々が道を空けてくださって、われれは試合ができる時間内に到着することができました。尽力してくださった皆さんに感謝を申し上げたいと思います。いろいろな方々のサポートがあって、今日の試合ができたと思います。われわれの移動に協力してくださった皆さんに感謝したいと思います。ありがとうございました。

 試合は、選手たちがウォームアップする時間もとれない中、最善の準備をしてくれて、試合の入り方も集中力をもって臨んでくれました。ベネズエラも非常に規律のある、球際が厳しく、いい守備からいい攻撃ができるチームでした。そこにベースの部分の「走って戦う」ことで集中を切らさずに試合に入ってくれて、先取点を奪って有利な形で試合を進めることができたことは、まずはよかったと思います。

 その後、チャンスもしっかり作れたし、できれば無失点で抑えたまま追加点を奪って勝つことができれば一番よかったと思います。相手も力のあるチームですし、追いつかれてしまったところは、これから勝ち切るためにチーム力を上げていく、いい課題にしていきたいと思います。

──昨日の会見で、攻撃だけでなく落ち着かせる、いろいろなプレーの選択肢をもって戦うということを言っていたが、今日の試合運びをどう評価するか?

 まず(一番の)優先順位は、相手のゴールに向かってプレーの選択をするという部分。選手たちは、今日もアグレッシブにプレーしてくれたと思っています。相手のゴールに向かっていくプレーをする中で、相手に守備を固められた時にうまく前線にボールを運ぶことができない時に、幅を使ってそこから縦に入れていく。GKを含めたディフェンスラインでボールを動かしながら、ボランチを使ってボールを動かしながら縦パスを入れるという部分。幅をもってボールを動かして縦への攻撃というのは、選手たちが何度か見せてくれたと思っています。すばやく攻撃することと、幅と揺さぶりをもって攻撃すること。そこはさらに試合を重ねるごとに、選手たちは使い分けてくれると思っています。

──シュミット・ダニエルをスタメンに使ったが、彼の特徴であるキックとビルドアップの部分がよく出ていたと思う。先ほど言った、GKを含めてボールを動かしながらという部分について、どう見ていたのか?

 今、質問してくださった中に評価の言葉も入っていましたが、おっしゃる通り初キャップで落ち着いてプレーしてくれたと思っています。彼に求めるプレーのひとつの、足元の技術を使ったGKからのビルドアップという部分でも、落ち着いていいチャレンジをしてくれたと思っています。彼からの起点で、いい形でDFラインから持ち上がること。相手からのプレッシャーを回避して前線に当ててビッグチャンスが生まれるとか、そういうところにもつながっていたと思います。彼にはいい自信になるプレーだったと思います。守備の部分も、ディフェンスラインと連係して、安定してプレーしていたと思います。

大迫に代わる選手がいない現状がある

──アップ時間がない中で選手が最善のことをしてくれたということだが、時間がとれていた場合と比べて、どれくらい差があったのか? また攻撃陣のうち、スタメンと途中出場の選手との間にギャップが感じられたが、どう捉えているか?(田村修一/フリーランス)

 ウォーミングアップのところですが、外でボールを使うとか、長い距離を走るとか、試合の状況を想定したような動きはウォームアップでできなかったというところで違いはあったのかなと思います。ただ、選手たちは落ち着いて、与えられた環境の中で最善を尽くしていましたし、いいものを見せてくれたと思います。相手も状況は一緒だったので、選手はプライドをもっていい準備をしてくれたと思います。

 もうひとつの質問ですが、後半の交代出場で投入した選手たちですが、攻撃の部分で時間差で投入したり、勝っている状況の中でどうやっていくかという部分で考えていたと思いますが、うまくコンビネーションを使う部分では難しい状況だったと思います。ただチーム全体で試合を勝ち切るために、交代出場の選手が試合を決める、あるいは試合を締める、という戦いができるように準備としてはやっていかないといけないと思います。

 攻撃のチームとしてのバリエーションとして、長い時間を戦っている今日のスタメンの前線、1トップと中盤の3枚の選手のプレー時間が長いという部分で、コンビネーションの連係や連動は上がってきていると思います。しかし、チームとして(前線に)もう1セットくらい、もっと選手層の幅とチーム力をアップさせるために、より多くの選手が絡んで来れるようにやっていかなければならない。私自身の仕事として、そう思っています。

──今日の試合では、これまでと比べて個々のチャレンジとチームとして戦うことのバランスが崩れている印象があったが、どう思うか?(大住良之/フリーランス)

 個の特徴を発揮することと、チームでの戦いの連係・連動のバランスですけれど、私自身はそこのバランスが崩れたとは思っていません。ただ、流れの中で得点を奪えなかった。チャンスのところで少し合わないということ。そういう状況を振り返ったときに(課題が)出てきていると思いますので、よりお互いが同じ画(え)をもって合わせられるようにしないといけないと思っています。

──バスの到着が遅れたことで、監督が試合の入りでやろうとしたプランに変更が生じたことがあったか? それと前線4人を替えたが、もともとそういう予定だったのか?

 ウォームアップの時間は短かったですが、まず試合の入りで最初からアグレッシブにいくという、これまで同じようにやってきたことを選手には求めていました。選手自身もロッカールームで「アグレッシブにいこう」とお互いに声をかけ合ってくれていたので、私の求めていることとは変わらなかったです。

 交代出場の選手ですけれど、ある程度のプランは持っていました。ただ試合の流れの中で、交代の時間や交代させる枚数をどうしていくかについては、試合を見ながら対応していきました。

──今の前線の4人以外の選手について。特に1トップでボールを収められる大迫勇也の代わりとなる選手がいない。たとえば今回、武藤嘉紀や久保裕也といった選手を呼ぶことは考えなかったのか?(後藤健生/フリーランス)

 もちろん彼らのことはリストには入っていますし、選択肢にも入っています。今の状況で呼ぶタイミングが、けがであったり、チームの中で置かれている立ち位置も考えて、そういうところだと思っています。大迫は非常にいい選手ですし、彼に代わる選手がいない現状はありますが、だからこそいろいろな選手に経験してもらって、選手層を厚くできるように、チームとしての戦い方で戦力になってもらえるような選手を育てていけるようにしていきたいと思っています。招集に関しては、まだまだいろいろな選択肢があると思っています。

1/2ページ

著者プロフィール

スポーツナビ編集部による執筆・編集・構成の記事。コラムやインタビューなどの深い読み物や、“今知りたい”スポーツの最新情報をお届けします。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント