日本ハム4位・万波中正の潜在能力 順風満帆ではなかった高校3年間

週刊ベースボールONLINE

チームメートとなる輝星には「素晴らしい投手」

3年夏の甲子園では今後チームメートになる金足農・吉田とも対決 【写真=BBM】

 ドラフト当日の10月25日。高校の会議室に集まった報道関係者はNHKの取材クルーを含めて30人に満たなかった。この数が多いか少ないかは微妙だ。まず、各社ともに万波への1位指名はない、と踏んでいたのは間違いない。ドラフトに関する周囲の状況やそれぞれのチーム事情によって異なるが、ある程度の納得はできる。だが、大阪桐蔭・根尾昂、同・藤原恭大をはじめ、報徳学園・小園海斗、金足農・吉田らに比べると正直に言って、寂しいものだったのは事実だろう。

「技術面はまだまだですが、当たれば大きいのを打てる。そうした球団を代表する選手を目指したい」と話した万波の記者会見。会場に姿を見せていた母・有里子さんに“晴れの日”を記念したサインボールをプレゼント。日本ハムが外れ1位で単独指名に成功、チームメートとなるはずの吉田について聞かれると「真っすぐが速い、素晴らしい投手」と評したあと、約30人の野球部員からうれしい胴上げ。暗闇の中、カメラマンの要求に何度も宙を舞う万波の目がフラッシュに光った。

 日本ハムには近藤健介をはじめ、高濱祐仁、淺間大基など横浜高校の先輩も数多い。しかし、入団が決まれば誰もがライバルになる。ライバルと言えば、ともにプレーした藤平尚真(東北楽天)、来季はプロ21年目を迎える松坂大輔(中日)といった、先輩ピッチャーとの対決も楽しみだ。

 平田監督はこう言った。

「この子の潜在能力は図抜けています」

 こんなものじゃない。まだまだ伸びる、と聞こえた。

(取材・文=今村成一、写真=大賀章好、BBM)

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