「バルサスタイル」卒業の新生スペイン プレーメーカー不在で味わった不安

順調だった「新生スペイン代表」の船出

「新生スペイン」は順調なスタートを切ったかのように見えたが…… 【写真:ロイター/アフロ】

 新生スペイン代表の船出は順調なように見えていた。不慮の事態に見舞われたワールドカップ(W杯)ロシア大会での失敗を経て、ルイス・エンリケを新監督に迎えた新たなサイクルは、明確なコンセプトが見て取れる快勝の連続により、理想的なスタートを切ったはずだった。

 バルセロナのプレースタイルに固執せず、横パスを多用したボールポゼッションより、相手ゴールに向かっていく縦への意識を重視すること。そのためにクリエイティブな中盤の選手を減らし、得点力のあるアタッカーを前線に並べること。そしてロシア大会まではチャンスを与えられなかった若い世代に活躍の場を与えること。

 ルイス・エンリケはラ・ロハ(スペイン代表の愛称)に必要な変化を加えつつ、W杯で4強入りしたイングランドを敵地ウェンブリー・スタジアムで破り、同準優勝のクロアチアには6−0で大勝した。先週もウェールズとの親善試合を4−1で制しており、セビージャのベニト・ビジャマリンで行われた10月15日(現地時間)のイングランド戦では、UEFAネーションズリーグのファイナル4進出を決めることが期待されていた。

大方の予想に反し、不安要素が浮き彫りに

ネーションズリーグでのイングランド戦で、新生スペインが抱える不安が露呈した 【写真:ロイター/アフロ】

 だが、実際は違った。スペインメディアの予想に反する結果に終わっただけでなく、試合内容は順風満帆と思われた新体制のチーム作りに影を落とすものだった。ダニ・カルバハルとイスコの欠場が影響した部分はある。特にイスコは攻撃の組み立てにおいて欠かせない存在であり、代役にはウェールズ戦で活躍したスソやダニ・セバージョスの起用が予想されたが、ルイス・エンリケが先発に選んだのは、W杯前から招集リストに名を連ねてきた常連組の選手たちだった。

 セルヒオ・ラモスの相方役には復帰したマルク・バルトラではなく、9月の2試合に続いてナチョ・フェルナンデスが起用されたが、ジェラール・ピケの後継者となりうる人材の欠如は、試合を重ねるごとに顕著になりつつある。さらにはラモスも若い頃に比べ、スピードの衰えを隠せなくなってきた。レアル・マドリーのキャプテンは終了直前に1ゴールを決めたものの、特に前半はビルドアップの段階でのミスが目立ち、ナチョとの連係においても、ポジショニングのズレが何度も見られた。

 レアル・マドリーのセンターバック(CB)コンビを筆頭に最終ラインから中盤につなぐ段階でミスが目立ったこともあり、ガレス・サウスゲート監督率いるイングランドはラヒーム・スターリング、マーカス・ラシュフォード、ハリー・ケインらの機動力を生かして高精度のカウンターを繰り出し、前半だけで3ゴールを積み重ねた。後半にはスペインが2点を返すも、最終スコアは2−3でイングランドの勝利となった。

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著者プロフィール

セルヒオ・レビンスキー/Sergio Levinsky

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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