リーグ戦0勝右腕がドラフト上位候補 プロ注揃う戦国東都は優勝争いも混沌

高木遊

リーグ戦通算0勝ながら、ポテンシャルは高い評価を得ている東洋大・梅津 【撮影:高木遊】

 全国から集った有望選手が学生野球の聖地・神宮球場でしのぎを削る東都大学野球1部リーグ。各校に今秋のドラフト候補が在籍するが、彼らが易々と活躍できないところに、このリーグの厳しさがある。

 秋季リーグは残り2週となったが、勝ち点2が4校(東洋大、国学院大、立正大、中央大)、勝ち点1が2校(亜細亜大、駒澤大)と優勝争いも残留争い(最下位が入替戦へ)も混沌とした状況になっている。また、降雨が多かった影響もあり、16日からの第7週は日程変更で1日3試合が行われ、全6校が熾烈な戦いを繰り広げそうだ。

壁を乗り越え成長続ける東洋大トリオ

 プロのスカウト陣から最も大きな注目を集めているのはリーグ戦4連覇を狙う東洋大の「ドラフト1位候補トリオ」だ。3投手全員が最速150キロを超える本格派右腕だが、それぞれが持ち味を発揮している。

 今春6勝を挙げた上茶谷大河は、秋季リーグ前半は調子が上がらず2敗を喫したが、今季初めて1回戦から2回戦の先発に配置転換された駒澤大戦(10月10日)で9回2失点、翌日は中継ぎとして登板すると、4回3分の2を投げ無失点で3勝目を挙げた。軸足に体重が乗ったフォームから繰り出す150キロに迫るストレートは打者の胸元を突ける制球力があり、縦横多彩な変化球を操る。即戦力の期待が高まる投球内容にスカウトからは「いの一番(1位指名入札)に行く球団もあるかも」との声が聞かれた。

 短いイニングで150キロを超えるストレートを連発し、140キロを超える高速フォークもある甲斐野央は3試合連続救援失敗を経験しながらも、駒澤大との2・3回戦で計3回1安打5奪三振。フォークが見切られているとみるやスライダーに切り替えるなど臨機応変な対応を見せた。「壁はぶち当たるもの。乗り越えれば強くなる。打者との勝負がまた楽しくなってきました」と根っからの明るさがにじみ出る“甲斐野節”も取り戻し、優勝争いに意気揚々としている。



 187センチの長身から140キロ台後半から150キロを超えるストレートを投げ込む梅津晃大は白星が遠い。厚い投手層や、3年秋・4年春と2季続けて故障離脱したこともあるが、登板時の援護点が非常に少なく4年間の公式戦で白星を挙げることができていない。それでもそのポテンシャルは大学球界全体を観ても群を抜くものがあり、今秋の防御率はリーグ3位の1.57と安定した投球を見せており、上茶谷・甲斐野とともに1位指名の可能性が高まっている。

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著者プロフィール

1988年、東京都生まれ。幼い頃よりスポーツ観戦に勤しみ、東洋大学社会学部卒業後、スポーツライターとして活動を開始。関東を中心に全国各地の大学野球を精力的に取材。中学、高校、社会人などアマチュア野球全般やラグビーなども取材領域とする。

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