リーグ戦0勝右腕がドラフト上位候補 プロ注揃う戦国東都は優勝争いも混沌

高木遊

中村の安定感、清水は150キロ超え

今秋のリーグ戦は防御率4点台と苦しんでいる国学院大・清水だが、今夏は侍ジャパン大学代表としても活躍した 【SAMURAI JAPAN via Getty Images】

 派手さはないものの亜細亜大の左腕・中村稔弥はリーグ2位の防御率1.28と安定した投球を見せている。踏み出した足が着地するまでに絶妙な間があり、キレのあるストレートは130キロ台でも押し込むことができ、シンカー気味に落ちるツーシームも大きな武器だ。

 国学院大の本格派右腕・清水昇は防御率4.02と苦戦はしているが、カットボールやツーシーム、スライダーと打者の手元で変化する球種に加え、短いイニングを任された際は150キロを超えるストレートもあり守備や牽制も器用。来秋のドラフト上位候補になりそうな横山颯ら他の投手陣の好投もあり優勝争いの中にいるため、残り2カードで奮起が期待される。

 野手勢では、身体能力の高い外野手の立正大・小郷裕哉がやや調子の波こそあるが2本塁打を放ち、リーグ7位の打率2割8分6厘。相手投手の暴投で俊足を飛ばして二塁から一気に生還を果たすなど俊足も光る。同僚の二塁手・伊藤裕季也も広角に長打を放つことができ、追い込まれてからも変化球にうまく対応する柔軟性を見せており、スカウト陣の評価は高まっている。

頓宮は侍の4番、PL出身の中川

侍ジャパン大学代表でも4番を務めるなど長打力は群を抜く亜細亜大・頓宮 【SAMURAI JAPAN via Getty Images】

 そして長打力では侍ジャパン大学代表の4番も務めた亜細亜大の捕手・頓宮裕真が5本塁打と群を抜く。手首の柔らかさを生かして、変化球や少し泳いだ体勢でも打球をスタンドに運ぶことのできるうまさがある。

 PL学園出身最後のプロ野球選手となりそうな東洋大の二塁手・中川圭太は打撃の形をやや崩しているが「勝ち点を取れば首位、落とせば最下位」という駒澤大との2回戦で2本の適時打を放つなど勝負強さが戻りつつある。リーグ戦4連覇に向けて主将としてプレーと姿勢両面でチームを牽引したい。

 この他にも駒澤大のサイドハンド右腕・白銀滉大、中央大の4番・吉田叡生、亜細亜大のスラッガー・正随優弥が最後のアピールに燃え、三菱日立パワーシステムズ(MHPS)内定の右腕・伊藤優輔(中央大)ら強豪社会人に進む選手たちもドラフト候補に負けず劣らずの輝きを放っている。

 有終の美を飾るのは誰か――ドラフト前に彼らの真価が問われる大一番が待っている。

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著者プロフィール

1988年、東京都生まれ。幼い頃よりスポーツ観戦に勤しみ、東洋大学社会学部卒業後、スポーツライターとして活動を開始。関東を中心に全国各地の大学野球を精力的に取材。中学、高校、社会人などアマチュア野球全般やラグビーなども取材領域とする。

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