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全日本女子のストロングポイントは何か
「勝ち切れない」現状を打破するために

追い詰めながら、逆転を許したブラジル戦

先に2セットを連取したにもかかわらず、日本はブラジルに逆転負けを喫した
先に2セットを連取したにもかかわらず、日本はブラジルに逆転負けを喫した【坂本清】

 1セットを取れば3次ラウンド進出が決まるブラジルとの大一番。


 硬さの見える第1セット、立ち上がりからリードされた苦しい状況で流れを変えたのは、誰よりもこの一戦で勝つことの重みを知る、荒木絵里香のサーブだった。


「こういう状況のブラジルは本当に怖いとよく分かっていました。1セット目が絶対キーになると思っていたので、サーブは絶対に攻めようと思って打ちました」


 エンドに落ちるサーブと、ネットにかかり前に落ちるサーブ。2本連続のサービスエースで一気に流れを引き寄せた日本は17−22から6連続得点で逆転し、25−23で第1セットを先取する。この瞬間、3次ラウンド進出が決まった。


 そして第2セットも連取し、第3セットも24−21と先にマッチポイントを握った。最低条件の1セットを得るだけでなく、ストレート勝ちで3次ラウンドに弾みをつける。おそらくそのまま終わっていたならば、皆が皆、弾ける笑顔で次への抱負を述べたはずだ。


 だが、有利な状況から逆転を許し、そのまま第3、4セットを失いフルセットの末、勝利したのはブラジルだった。第2セットからベンチに下がった荒木も、複雑な表情を浮かべた。


「相手がああいう状態の時に、押し切って勝ち切らないといけなかったのにそれができなかったのは反省点。これから(3次ラウンド)は、今までの相手とレベルが違う。自分たちのストロングポイントをどう生かすか、相手をどう抑えられるかにフォーカスしてやっていかなきゃいけないと思います」

攻撃が決まらない焦りとさらなる「悪循環」

結果的に勝利したものの、ドミニカ共和国戦では攻撃が決まらない焦りから、さらなる悪循環を招いた
結果的に勝利したものの、ドミニカ共和国戦では攻撃が決まらない焦りから、さらなる悪循環を招いた【坂本清】

 日本のストロングポイントとは何か。


 1次ラウンドはバックアタックの本数を増やすために、セッター対角に新鍋理沙を入れてレフトの古賀紗理那、黒後愛が後衛時はサーブレシーブに入らず、バックアタックに集中しやすい状況を作ることに重きを置いた。そしてその結果、確かにバックアタックの打数は増えた。


 だが、2次ラウンドもそのまま同じ状況で進められるかといえば、そう簡単ではない。相手も1次ラウンドの戦い方を踏まえ、打数が偏る日本のレフトへのマークを手厚くする。2次ラウンド初戦のドミニカ共和国戦はまさにそんな展開となった。


 日本が2セットを先取したが、劣勢からサーブで攻めるドミニカ共和国に対し、ミドルがなくなり単調になった日本の攻撃が簡単に切り返される。黒後に代わって途中出場した石井優希も「高いブロックをうまく使ってブロックアウトを取ろうと思ったけれど、ブロックで触られ、抜けたら拾われる。なかなか思い通りにさせてくれなかった」と振り返ったように、ブロックでストレートをふさぎ、ブロックを避けてクロスに打てばリベロがいる状況を作られた。


 なかなか攻撃が決まらない焦りも重なり、ボールが来るところにいる相手に対し、日本はボールが来るところへ取りに行く。その結果、チャンスボールを誰が取るか迷う場面が目立ち、フォローに入る選手同士が接触し、助走に入れず攻撃枚数が減るなど、さらなる悪循環を招いた。


 それでも最終セットは、石井や奥村麻依のサーブで序盤からポイントを重ね、結果的に勝利はした。だが3次ラウンドに進出し、1つでも上にいく可能性を高めるためには、いくら守備を固めても点が取れないと難しい。そこで新たに取り入れた策が、セルビア戦のスタートメンバー。黒後と古賀がレフトの対角に入り、長岡がオポジットに入る布陣だ。

田中夕子
神奈川県生まれ。神奈川新聞運動部でのアルバイトを経て、『月刊トレーニングジャーナル』編集部勤務。2004年にフリーとなり、バレーボール、水泳、フェンシング、レスリングなど五輪競技を取材。共著に『海と、がれきと、ボールと、絆』(講談社)。『SAORI』(日本文化出版)、『夢を泳ぐ』(徳間書店)、『絆があれば何度でもやり直せる』(カンゼン)など、女子アスリートの著書や、前橋育英高校野球部・荒井直樹監督の『当たり前の積み重ねが本物になる』では構成を担当

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