騎手・武豊「4000勝」の数字が持つ意味 名手を突き動かす誇りと競馬愛、感謝の心
社会人“同期デビュー”武豊との思い出
1990年有馬記念オグリキャップのラストランほか、武豊からはどれだけ驚きと感動をもらったことか 【写真は共同】
2年目で初GI制覇となったスーパークリークの菊花賞、その後はシャダイカグラの桜花賞、そしてイナリワンの春天にオグリキャップのラストラン。どれだけ驚きと感動をもらったことか。
余談ながら競馬を知らなかった私がこの世界にどっぷりはまり、POGでもときに恩恵を受けた。アドマイヤベガにディープインパクトの日本ダービー。エアグルーヴのオークスも忘れがたい。
馬券の相性はどうみても良くなかった。だって勝ちまくっているNO.1ジョッキーに対し、こっちが一方的に逆らっているんだから当たるわけがない。しかし、何回かうまくかみ合ったときもある。代表例が単勝1.1倍のタイキシャトルが敗れた98年のスプリンターズS。いつの話やねん、と突っ込まれそうだが、このときシーキングザパールで挑む際に「怪物退治をします」と粋なセリフ。結果2着だったが、マイネルラヴとの馬連万馬券をゲットすることができた。
こんなこともあった。タニノギムレットで勝った02年の日本ダービー。共同インタビューまでの準備で少し間が空いたとき「馬券取りました?」と話しかけてくれ、私が首をすくめると「相変わらず下手やなぁ」といじってくれた。多くの報道陣の中、恥ずかしかったけれど、なんだかうれしかったなぁ。
ひと言でいえば超人、でも少し脇の甘い人間味がいい
「騎手でいる以上、ベストを尽くす。モチベーションが切れたことはないし、ファンに喜んでもらえるようなレースをしたい」
【写真:有田徹】
武豊の人間性の素晴らしさを物語るかのように、セレモニーでは多くの騎手仲間たちが「4000勝Tシャツ」で祝福し、弟の幸四郎調教師がボードを掲げた 【写真:有田徹】
次は5000勝、そのときもまた目撃者でいたい 【写真:山本智行】
「まだまだ技術を磨かないといけない。自分自身を鍛えていけば4000勝も、5000勝も不可能ではないと思う。もっともっとうまくなりたい。次の目標は3001勝です」
彼の辞書にリミッターはない。次は5000勝。どこの競馬場で挙げるのか。そのときもまた目撃者でいたいものだ。