「継続」のA東京と千葉、再起を期す栃木 B1リーグ開幕プレビュー 東地区編

大島和人

強固な守備が持ち味のSR渋谷、課題は攻撃面か

SR渋谷は守備の強固さに定評がある一方で、昨季は攻撃面の課題を解消できなかった 【(C)B.LEAGUE】

 サンロッカーズ渋谷は28勝32敗と、東地区5位で昨シーズンを終えた。今季は勝久ジェフリーHCが留任し、元NBAの大型センター、ロバート・サクレも契約を更新した。

 注目の新加入選手はサクレとコンビを組む新加入のライアン・ケリーで、NBA通算163試合のキャリアを持つオールラウンダーだ。211センチの長身ながら動きがよく、スリーも打てる彼はPFだけでなくSFとしてもプレーが可能。帰化選手のファイ・サンバが加わったこともあり、超大型ラインアップが実現するかもしれない。

 日本人選手については新主将に就任した満原優樹(28歳)、杉浦佑成(23歳)の独り立ちがカギになる。2メートル近い体格を持ち、スキルも決して低くない彼らは、チームの軸を担うべき才能だ。

 チーム全体を見ると守備の堅固さに定評がある一方で、昨季は攻撃面の課題を解消できなかった。リバウンド、スティールをどう効率的に速攻へつなげるか。戦術、連係が今季のポイントになる。

 レバンガ北海道は26勝34敗と負け越しで昨シーズンを終えたが、善戦と言えるシーズンだった。コート外でも上昇ムードが顕著(けんちょ)で、昨季はB1で2番目となる1試合平均3,743人の観客数を記録。債務超過の解消にも成功し、経営的に良い状態でBリーグ3季目を迎えようとしている。

 新HCのジョゼ・ネト氏はブラジル出身で、総合スポーツクラブの「フラメンゴ」を国内4連覇に導いた実績の持ち主。フラメンゴのサッカー部門が輩出した国民的英雄・ジーコとも友人関係で、地元開催のリオデジャネイロ五輪では代表のアシスタントコーチを務めていた気鋭の指導者だ。

 206センチのオールラウンダーで、昨季のエースだったマーク・トラソリーニも残留。彼が37歳のスペイン人センター、ダビド・ドブラスとコンビを組む。昨季は「浪人生活」を送っていた元シーホース三河の市岡ショーンも負傷が癒えてBリーグへ復帰し、インサイドのリザーブとして控える。

 折茂武彦(48歳)、桜井良太(35歳)、野口大介(35歳)ら主力の高齢化は顕著だが、彼らが年齢を感じさせないプレーをしていることも事実。ただ、昨季は関野剛平(24歳)、川邉亮平(23歳)の2人が台頭し、ベテランへの依存は薄れつつある。

驚異的な成績を引っさげ、B1に戻ってきた秋田

昨季のB2で54勝6敗という驚異的な成績を残した秋田。B1で旋風を起こせるか 【(C)B.LEAGUE】

 秋田ノーザンハピネッツは16−17シーズンにB2降格を経験したものの、ジョゼップ・クラロスHCの下で立て直しに成功。昨季はレギュラーシーズン54勝6敗という驚異的な成績を残し、プレーオフセミファイナルで熊本ヴォルターズを下してB1復帰を決めた。

 チームの強みは極端と言えるほどにインテンシティーの高い守備と速攻だ。高い位置から激しくプレッシャーを掛け、ボールにチャレンジする守備を見せる。昨季のB2レギュラーシーズンは1試合平均11.9個という「ハンパない」数のスティールも記録した。このスタイルは選手への負荷が高く、どうしてもファウルの数は増える。しかし秋田は「12人全員を使う」ことで問題を解決している。

 中山拓哉、白濱僚祐、谷口大智といった若く才能溢れる主力選手たちは今季も期待できるが、ロースターを見ると外国籍選手も含めて大物選手が不在。新戦力も俊野達彦、成田正弘、下山大地とB2からの移籍が多い。野本建吾は代表候補の経験を持ち、2メートルの長身と走力を持つ有望選手だが、川崎ではほとんどプレータイムを得られなかった。

 しかしそういう選手を有効活用するのがクラロスHCの手腕で、昨季のB2では実際に全員を戦力化した。今季のB1でも、彼らが旋風を起こす可能性はある。

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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