山沢、布巻が語るラグビーの魅力 「見えないところで成長させてくれる」
高校生でトンガ代表と対戦「正直、怖かったです(笑)」
パナソニックの司令塔・山沢拓也。変幻自在のプレーでアタックを統率する 【写真提供:WOWOW】
――山沢選手はラグビーを始めてから、海外のラグビーをどのように見ていましたか。
高校生のころは海外のラグビーはあまり見ていませんでした。僕の場合、ラグビーを本格的に始めたのは高校からなので、自分にとって海外のラグビーはレベルが高すぎて、逆に参考にならないと思っていました。高校生のころは大学ラグビー、大学の時はトップリーグ、そのときの自分にとって1つ上のレベルの試合を見ることで勉強していました。
海外のラグビーをよく見るようになったのはトップリーグに入ってからです。今年はニュージーランドのクライストチャーチに留学させてもらったりしたので、ニュージーランドのチームの試合は意識して見るようにしています。
――山沢選手は深谷高3年のとき、エディー・ジョーンズHC時代の日本代表の強化合宿に呼ばれて、トンガ代表との試合にも出場しました(チーム名は「ジャパンA」で対戦)。どんな経験でしたか。
そもそも、「なんで自分が呼ばれたんだろう?」という感覚でした。僕は高校の試合でも納得できるプレーはなかなかできないころでしたから。そんな状況で、いきなり日本A代表で試合に出ることになって、不安もありました。しかもトンガはみんな身体が大きい。それまで対戦したことのないくらい大きい選手ばかり。正直、怖かったです(笑)。
ただ、その試合の中でも、ランプレーでは「ここが空いてるかな?」と思って仕掛けたときにはゲインできた部分もあったので、トンガ代表が相手でも通用するところはあるんだなと思うところはありました。
――海外へ遠征したのは高校2年の高校日本代表が最初ですね。
高校日本代表でフランスとイタリアへ遠征しました。そのときの印象は、全員大きいな、ということですね。どのポジションの選手も背が高いし、足も速いし、力強い。非の打ち所がないな、穴がないな、という印象でしたね。
――大学4年の夏にはパナソニックに入団して、大学生でトップリーグでプレーする第一号の選手となりました。
この2年間は、トップリーグでプレーすることで学ぶことがすごく多かったですね。1年目にできたことに加えて、そこで出た課題を2年目には乗り越えられた部分もあったし、スキルの面でも考え方の面でも勉強になっていることはすごく多い。自分自身成長していると感じています。
山沢「できるだけ高いレベルを目指す」
スピードが魅力の山沢。日本代表としての活躍にも期待がかかる 【写真:アフロ】
カンタベリーに行って、クルセイダーズで一緒に練習させてもらったり、Bチームで試合に出たりしていました。最初のうちは、来たばかりで英語もあまり話せないということで、チームの輪になかなか入れない感じもあったけど、慣れてきたら、仲間として迎えてもらえた気がしました。
――クルセイダーズはスーパーラグビーで2年連続優勝しました。その秘訣は何か見つけましたか。
行ってすぐに、スキルの高さがすごいなと思いました。練習自体は、メニューもどこのチームでもやっているようなことなのですが、1個1個のプレーの精度が高い。フォワード(FW)の選手もパス、キャッチがすごく上手で、バックス(BK)の選手はそれに加えて判断が上手。自分は練習ではBチームでディフェンス側に入ることが多かったのですが、止めるのが難しかったという印象があります。
――日本開催のワールドカップが1年後に迫りました。山沢選手は今は代表スコッドに入っていませんが、ワールドカップへ向けた思いを聞かせてください。
ラグビーをやっている以上、選手としてできるだけ高いレベルを目指していきたい。そのためにも2019年のワールドカップに出場できれば大きな一歩になると思うので、ワールドカップを目標にして、しっかり目指していきたいし、そのためにできる準備をしっかりやっていきたい。
今は代表スコッドに入れていませんが、まずはトップリーグで少しでも多く経験を積むこと。そのためにも大きなケガをしないこと。選手として成長するには試合を多く経験することだと思うし、今シーズンのトップリーグでは全部の試合に出られるように準備して、今はトップリーグのことをしっかりみて、そこで結果を出していきたい。
――最後に、山沢選手にとってラグビーの魅力とは何でしょうか。
自分はスタンドオフというポジションをしているので、司令塔としてアタックの部分で、やりたいと思ったアタックがうまくいってトライを取れたときとか、うれしいですね。それは、自分が直接トライに関わるんじゃなくてもいいんです。司令塔として、イメージしたアタックがうまくいくのが一番うれしい。やりがいを感じるところです。
今はパナソニックで、周りにすごい選手がたくさんいるので、自分一人で何とかしようとせずに、考えすぎずに、周りの選手に助けてもらいながら戦うことを学んでいるところです。本当に助けてもらっています。