俳優・志尊淳×アルバルク東京・馬場雄大 同世代の2人がバスケを語らう特別対談

大島和人

映画『走れ!T校バスケット部』に主演した俳優の志尊淳と、アルバルク東京の馬場雄大が特別対談 【写真:バスケットボールキング/山口剛生】

 俳優とプロスポーツ選手。どちらも夢のある仕事だが、同時に若くして大きなものを求められる厳しさもある。彼らはそれぞれ「道」を究める日々の中でいろいろなことを感じ、考えている。

 志尊淳さんは11月3日に公開される映画『走れ!T校バスケット部』で主役を演じた注目の若手俳優。馬場雄大(アルバルク東京)は2017−18シーズンのBリーグ新人賞に輝き、日本代表でも活躍する注目株だ。若いトップランナー2人が短い時間でお互いの価値を知り、共感し、刺激を受ける――。今回の対談はそんな「化学変化」が生まれる機会になった。2人のみずみずしい会話を、皆さんにもぜひご覧いただきたい。

志尊「3ポイントも入るまでみんなでやりました」

――志尊さんは馬場選手の体格に驚いていましたが、第一印象はいかがですか?

志尊 『走れ!T校バスケット部』のモーガンという役で、198センチの元選手の方がいて、阿見(201)さんという201センチの芸人の方も出演しているのですが……。でも、馬場さんは体つきが全然違いますね。大人と子供くらい差がありません?(笑)

馬場 (座高が低く見えるように座り直す)

――志尊さんが早生まれの3月生まれの23歳で、馬場選手が11月生まれの22歳ですのでほぼ同年代です。

志尊 ほぼ同い年ですね。何歳からプロをやっているんですか?

馬場 僕は特殊だったんですけれど、大学の途中からアルバルク東京に入ることにして、大学4年からプロになりました。だから、次のシーズンが2年目です。

――志尊さんは11月3日に公開される『走れ!T校バスケット部』でバスケットボールを本格的にプレーされたようですね。どういう映画なのか、紹介をお願いしていいですか?

志尊 バスケの超弱小チームに元名門校のエースが入部して、全国大会を目指して、雑草魂で駆け上がっていく……。簡単に説明するとそういうストーリーです。実話を元にしていて、空気感もリアリティーを追求しています。今バスケをしている人にはぜひ見てもらいたい内容です。

――スタントマンを使わず、ご自身でプレーされたんですよね?

志尊 もちろんスタントなんてないです。僕らは広い画で撮っていたので、3ポイントも入るまでみんなでやりました。いい形ができるまで続けるんですけれど、決勝のバスケのシーンって1日しか撮影ができなくて、でも撮る分量がすごく多いんです。だから早く決めないといけないし……。リアリティーは追求できたかなと思いますけれど、必死でしたね。

――志尊さんが演じた田所陽一は、どういうプレイヤーなんですか?

志尊 オールマイティーで、センター以外はポジションを決めてという感じではなかったんです。弱小チームが雑草魂で、みんながみんなで補っていこうというイメージでした。

――馬場選手もいろいろなポジションを経験していますから、田所選手と同じですね。

馬場 アウトサイドならリングに対して正対してプレーするし、センターは(リングを)背にしているわけじゃないですか。だから視覚的にも違います。自分はセンターからフォワード、フォワードからガードと上がっていっています。

志尊 今はガードなんですか?

馬場 その方向にもっていこうかなとしているところですが、苦労はありますね。

志尊 でっかいガードなんですね!

馬場 世界と戦っていくには、これくらいの身長でガードをしないときついんですよね。

馬場の高校時代はリアル『T校バスケット部』

IHやウィンターカップに出場した馬場の高校時代のエピソードに耳を傾ける志尊 【写真:バスケットボールキング/山口剛生】

――志尊さんもスポーツを真剣にされていたと聞きました。

志尊 僕はスポーツ歴がものすごくあるんですよ。最初は父親に礼節を学ぶために武術を勧められて、剣道をやりました。野球をやりたいなと言ったら「金メダルを取ったらいいよ」と言われたんです。なので、剣道をめちゃくちゃ頑張って区大会で優勝して、金メダルをもらって、都大会には出ず、そのまま野球を始めました。小学3年生のときです。

 平日は水泳とサッカーもやっていましたし、土日も地域のソフトボールチームからスカウトをされて、試合が被らない限りは両方をやっていました。

――スポーツはいつまで続けていたのですか?

志尊 高1から芸能界に入ったので、中学3年で野球は辞めました。当時は「きついな」という感じでしたけれど、今振り返ると「もっとちゃんとやっておけばよかった」と思いますね。

――馬場さんはバスケ以外のスポーツ経験をお持ちですか?

馬場 水泳を小学生のときにやっていたくらいですね。

――やはりお父様のすすめで?

馬場 自分が小さいときから泳ぎも好きで、自然な流れで始めた覚えがあります。

志尊 お父さんも大きいんですか?

馬場 僕より大きいです。

志尊 (驚いた表情)

馬場 2メートルありますね。僕より5センチくらい大きいかな。

志尊 2メートルもあるんですか!?

馬場 そうです。父はもう60歳で、普通は年をとると縮むんですけれど、全然縮まないんですよ(笑)。母は160ちょっとなんですけれど。父の遺伝子を受け継いだ感じですね。

志尊 すごいな……。

馬場 今は僕の母校でもある富山第一高校の監督をしています。

――『走れ!T校バスケット部』は弱小チームが強くなっていく話ですが、馬場選手も富山第一高で全国大会初出場を目指した経験をお持ちですよね。

馬場 僕が入るまでは富山県内でも強くなくて、「僕が入って頑張って強くする」という思いでした。父からも「強くしたいからちょっと来てくれ」と言われたのが入ったきっかけです。一から積み上げるのは大変ですし、他のチームからバカにもされていました。結果を少しずつ出して、富山県では勝てるようになったんですけれど……。

志尊 全国大会には出たんですか?

馬場 出ました。

志尊 富山の1位になって?

馬場 そうです。インターハイと、ウィンターカップに出ました。高2、高3のときには県内で「富山第一が一番だ」と言ってもらうようになりましたね。

志尊 それこそ『T校バスケット部』とリンクしていますね。

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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