俳優・志尊淳×アルバルク東京・馬場雄大 同世代の2人がバスケを語らう特別対談

大島和人

志尊「尊敬しますし、役者として感化される部分もあります」

撮影で自身もプレーしたからこそ「同じ人間とは思えないくらいすごい」とバスケ選手に尊敬のまなざしを送る 【写真:バスケットボールキング/山口剛生】

――志尊さんはバスケをご覧になったことがありますか?

志尊 あります。今回の映画をやるので、Youtubeの名プレー集なんかはみんなで一生懸命見ました。

――参考になりましたか?

志尊 同じ人間とは思えないくらいすごいです! やったからこそ分かるんですが、ソツなくこなされているから「自分にもできるんじゃないかな」と思ってしまいそうになるんです。だけれど、本当に「失礼しました」という感じで……。プロフェッショナルの方は、気持ちも違うはずです。尊敬しますし、役者として感化される部分もあります。

馬場 本当にメッチャきついんですよ!(笑) でも好きなことでメシを食べさせてもらうのは、ありがたいことです。同い年がちょうど新入社員になって、そういう話も聞くじゃないですか。そうしたら本当に大変だって話になるし、好きなことをやれないというのもある。そう考えると恵まれているなと思います。

志尊 東京五輪もバスケはありますよね?

――今は男子バスケのワールドカップ(W杯)アジア予選を開催していますが、W杯は五輪の予選も兼ねています。

馬場 最初は0勝4敗だったんですよ。でもそこから4連勝したんです。今は4勝4敗で、やっといい感じになってきて、W杯にだいぶ近づいてきています。

志尊 FIBA(国際バスケットボール連盟)ランキングはどのくらいなんですか?

馬場 40の後半くらい(編集部注:18年9月発表の最新ランキングで日本の男子は49位)ですけれど、身長やフィジカルのスポーツなので、強いところは本当に強いです。そういう選手たちと戦うのは大変ですが、頭を使って、日本の強みを生かして戦っていく感じですね。

志尊 鍛えてらっしゃるといっても、相当に大変だろうと思いますよ。

馬場 試合中に飛ばされて、地面にたたきつけられたこともあります。この傷(肘の擦り傷を見せる)も最近です。

馬場「練習はうそをつかない」

それぞれの道を全力で走り続ける同世代の2人。これからの活躍にも期待 【写真:バスケットボールキング/山口剛生】

――お2人は同世代ですが、違うジャンルのトップランナー同士です。このように会ってみて、お互いについてどのように感じますか?

志尊 本当に尊敬します。小学生から突き詰めて続けて、第一線で活躍して、これからの日本を背負っていかれる方だと思います。僕はプロ野球選手を目指して、諦めた側の人間なので、なおさらそれを貫いていっている人はすごいと思います。

馬場 スポーツうんぬんではなく、「極めている人」は雰囲気だったり、醸し出すオーラを感じ取れるし、そういうのを気にしたりするんですよ。志尊さんは独特の空気がありますね。「諦めた」って言いましたけれど、諦めて別の道に行く方が僕は大変だと思います。切り替えて、ここまで突き詰めてやられている姿を自分も尊敬します。

――22歳、23歳の若さで、そういう立場になるプレッシャーは感じませんか?

志尊 それはありますよね。でも自分が発信しているものに対してどう評価するかはそれぞれの自由なので、一生懸命やるしかないですね。そちらにメンタルを向けています。

――馬場選手は、今までで一番緊張した試合はいつですか?

馬場 僕は緊張する緊張するって言っているんですけれど、周りの人からは「お前、全然緊張していないな」って言われるんです。

志尊 そういう風には見えないかもしれない。堂々としているからかな?

馬場 プレーも思い切りの良さが自分の強みなので、そこが徐々に出てきてリズムが出てくると緊張は忘れちゃう。なので、そんなに「入りで緊張した」という試合はここ最近ないですね。

志尊 スポーツだと最初に緊張していても、体を動かさないといけないから緊張している場合じゃないですよね。

馬場 緊張している間に終わっている、ってなったら話にならないので、緊張しても最初の2〜3分ですね。あとは体を動かして、汗を流してという感じです。

――このような馬場さんのプレッシャーとの向き合い方、生かし方を聞いていて、志尊さんはどう感じますか?

志尊 そりゃあ、半端ないですよね。フリースローとか大変ですよね。

馬場 ヤバいです。本当にヤバいです(笑)。でも「練習はうそをつかない」というのは本当にそうで、その瞬間だけ周りの空気を忘れて、1人でシューティングをしているように打てることもあります。少しずつ、いいプレッシャーの使い方ができてきているようには感じますね。

――最後にお互いへエールを送っていただけますか?

馬場 俳優さんは得意としないことも含めて、与えられた仕事をオールマイティーにこなさなければいけません。そこに美しさがあると思うし、周りもその取り組みを見ていると思うんです。上から目線になっちゃうんですけれど、志尊さんには今を全力で生き続けてほしいなと思います。

志尊 ありがとうございます。バスケについて僕が言えることなんて何もないですが、いろいろなお話を聞いて、日本を背負う人になっていかれるんだろうなと感じました。『走れ!T校バスケット部』という映画を通して、僕自身は微力でも、バスケを少しでも広められたらなと思っています。あとはお体に気を付けて。お会いできてよかったです。これからも応援しています!
■志尊淳(しそん・じゅん)プロフィール
1995年3月5日生まれ、東京都出身。2011年、俳優デビュー。
最近の主な出演作に、映画『帝一の國』『覆面系ノイズ』『探偵はBARにいる3』『劇場版 ドルメンX』、ドラマ『女子的生活』『トドメの接吻』、NHK連続テレビ小説『半分、青い。』など。
10月6日放送のCBCスペシャルドラマ「それでも恋する」に出演。

■馬場雄大(ばば・ゆうだい)プロフィール
1995年11月7日生まれ、富山県出身。プロバスケットボール選手。198センチ/90キロ。B1アルバルク東京に所属。ポジションはSF(スモールフォワード)で、背番号は「6」。富山第一高校から筑波大学に進学し、インカレ3連覇に貢献。在学中の2017年よりA東京に加入し、昨シーズンはBリーグ新人賞に輝いた。高い身体能力を生かした豪快なダンクは必見だ。

映画『走れ!T校バスケット部』

11月3日(土)公開
出演:志尊淳/佐野勇斗/早見あかり 戸塚純貴 佐藤寛太 鈴木勝大 など
原作:松崎 洋「走れ!T校バスケット部」(幻冬舎文庫)
監督:古澤 健
主題歌:GReeeeN「贈る言葉」(ユニバーサル ミュージック)

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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