武豊クリンチャー欧州初戦から厳しい戦い 凱旋門賞前哨戦は昨年以上の重厚感

JRA-VAN

クラックスマンら強力4頭が回避も……

凱旋門賞を目指しフォア賞に参戦するクリンチャー、前哨戦から強敵揃いだ 【photo by Shuhei Okada】

 昨年の凱旋門賞を圧勝したまま実戦から遠ざかっていたエネイブルが、現地8日の英G3セプテンバーステークスで復帰戦を飾り、一段と熱を帯びてきた凱旋門賞戦線。昨年以上に強力なメンバーが集まりそうな動向も伝えられており、フォワ賞から金星を狙うクリンチャーは初戦から厳しい戦いを強いられることになる。

 今年のフォワ賞は予備登録の段階で13頭が出走の意思を見せていたが、そのうちクリスタルオーシャンはセプテンバーSでエネイブルの2着、前年の覇者チンギスシークレットとデフォーは現地2日の独G1バーデン大賞に出走済み。クラックスマンは凱旋門賞に出走するとしても直行のプランが発表されている。

 上記4頭だけでも相当な強豪で、戦わずして負担を減らせた分だけクリンチャーとしては幸運だった。ただし、最終的に残った6頭の中にも多数のG1ホースが含まれており、相手関係はサトノダイヤモンドとサトノノブレスが出走した昨年以上の重厚感だ。

馬場は不問、2着以上の結果がほしい

 大雨の菊花賞で3000mの距離と道悪を克服しているクリンチャーとすれば、力の要る欧州の芝に対して大きな不安はないだろう。同じディープスカイ産駒ではスピリッツミノルが重馬場のすみれステークスを逃げ切り、モルトベーネはダート重賞のアンタレスステークスを勝つなど、オープンクラスで勝ち鞍を挙げた活躍馬はパワーに優れた印象を残している。欧州といえどもレコード決着になるような良馬場より、多少なりとも水分を含んだ馬場状態の方が合うかもしれない。

新装されたパリロンシャン競馬場、クリンチャーにとって馬場は不問 【Photo by Getty Images】

 これまで凱旋門賞に挑んできた日本調教馬と比較しても、馬場不問の前提に立てるのは異例。他の課題に集中しやすいのは大きなアドバンテージだ。相手関係ばかりは手を合わせてみるまで判らないが、クリンチャーが優先すべきは武豊騎手とのコミュニケーションか。コンビを組んだのは阪神大賞典の1度しかなく、当時は序盤に力んで終盤の伸びを欠いた。1着レインボーラインとの着差は次戦の天皇賞・春で約2馬身も詰まっており、阪神大賞典が本来の姿でなかったことは明白だ。

 不慣れな環境での休養明け初戦、壁を作りにくい少頭数、中間点から急な下り坂が待ち受けるトリッキーなパリロンシャン競馬場の2400mと、クリンチャーがクリアすべき関門は多い。それでも様々な課題を消化し、武豊騎手が本番に向けて手応えをつかむと同時に、凱旋門賞での好走データにならえば2着以上の結果が欲しいところだろう。

前から後ろまでひしめくG1ホース

愛ダービー馬のカプリ 【Photo by Getty Images】

昨年の米ブリーダーズカップターフの勝ち馬タリスマニック 【Photo by Getty Images】

 前々からの粘り腰が強力なカプリ、ひと叩きして臨戦態勢は一番のタリスマニック、瞬発力抜群のヴァルトガイスト、そして昨年の凱旋門賞2着馬クロスオブスターズと、道中の位置取りは前から後ろまでG1ホースがひしめいている。これらを相手に結果を残すことができれば、凱旋門賞に向けて大きく道が開けてくる。
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