U18侍ジャパン、表情明るく3位死守へ 開催地の高校生が連日の練習サポート

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中国との3位決定戦が雨で順延となり、室内練習場で調整する渡邉勇太朗(手前)ら選手たち 【SAMURAI JAPAN via Getty Images】

 9日にサンマリンスタジアム宮崎で予定されていた「第12回 BFA U18アジア選手権」決勝と3位決定戦は雨天のため、10日に順延となった。13時から中国との3位決定戦が予定されていたU18侍ジャパンは11時から1時間半、練習で汗を流した。

「最後に日本の意地を」と主将・中川

 アップ前から奈良間大己(常葉大菊川3年)らが元気な声を出して、明るい雰囲気の中でキャッチボール、フリーバッティングなどを行った。5日の韓国戦、7日の台湾戦と木製バットに苦しみ、なかなか安打が出なかった日本だが、小園海斗(報徳学園3年)、野尻幸輝(木更津総合3年)、藤原恭大(大阪桐蔭3年)らがフリーバッティングでは鋭いライナーを連発していた。2大会連続6度目のアジア一を逃した日本だが、3位になれば来年のワールドカップ(韓国・釜山)の出場権を獲得できるということで、選手は新たな目標へ気持ちを切り替えていた。

 2日連続中止の決定に「天候はやむをえない」と気にするそぶりを見せなかった永田裕治監督。中国戦へは「残り1試合なのでスクランブル体制で3位を死守したい」と、全員野球を強調した。主将の中川卓也(大阪桐蔭3年)は「2敗して優勝はなくなったけど最後に日本の意地を見せて、勝っていい形で終えたい」と気を引き締めた。

 投打に活躍が期待される根尾昂(大阪桐蔭3年)はピッチャー用グラブで奥川恭伸(星稜2年)と変化球も交えてのキャッチボールを行った。「コンディションはいい。いつでも投げる準備はできている」と臨戦態勢。台湾戦では4打数無安打だったが、フリーバッティングでも鋭い打球を飛ばし、「うまくいかなかったところが分かっているので、微妙なズレは必ず修正できると思っている。今日も良くなっていたので、前と同じにはならないと思っている」と復調の手応えをつかんでいた。

小柄な左腕がバッティングピッチャー

バッティングピッチャーとしてサポートしている工藤は「大きな経験になる」と練習参加を振り返った 【スポーツナビ】

 試合には決して出られないが、U18侍ジャパンの18名以外の高校生が奮闘している。宮崎・高千穂3年の工藤泰治投手が7日の台湾戦前から試合前練習のバッティングピッチャーを務めている。今夏の宮崎大会は初戦敗退だったが、大学進学へ向けて練習はしていた。5日の夕方、突如バッティングピッチャーを要請されて、「びっくりしたけど、やってみよう」と前向きに受諾。1日100球前後、U18侍ジャパンメンバーへ黙々と腕を振っている。

「みんな体つきは違うし、打球の速さが違う。選球眼もいい」とは工藤から見たU18侍ジャパンメンバーの印象。特に台湾戦で4番を務めた野尻や、中川の「打球が強かった」と驚いた様子。ただ、3連投となったこの日も「疲れはない」ときっぱり。「投げるのは楽しいし、いつもテレビで見ていたメンバーのサポートができてうれしい」と童顔をほころばせた。

 164センチと小柄な体ながら、134、5キロのストレートを武器にするサウスポー。自身も大学で野球を続け、その後も上のレベルでできたら、と希望を持っている。その意味でも、自身の世代を代表する選手たちに投げられたことは「大きな経験になる」と貴重な機会を喜んでいた。

 工藤や原史彦アシスタントコーチらを相手に1時間近くたっぷりと打ち込んだU18侍ジャパン。フライアウトが多いという課題に対して、「あまり上からたたきすぎるとダメ。ヘッドを立てようと絶えず言い続けて、そういう練習をしている」とは永田監督。第1回、第2回ワールド・ベースボール・クラシックで連覇したトップチームもスモールベースボールで世界一を勝ち取ってきた。つなぐ野球は日本野球の真髄でもある。残り1試合、「後輩たちのために勝って次につなげたい」(根尾)と3位を勝ち取り、ワールドカップへの出場権を手に入れる。
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