100回目の夏を締めくくった大阪桐蔭 「最高で、本物のチーム」が偉業達成
100回大会という節目の大会で、史上初となる2度目の春夏連覇を達成した大阪桐蔭 【写真は共同】
大阪桐蔭・西谷浩一監督は、新調された3代目優勝旗の、いの一番の獲得をそう振り返った。
お互い史上初をかけた決勝戦
試合は序盤から動いた。金足農の先発は、秋田県大会から甲子園の準決勝まで、この夏の10試合を1人で投げ抜いている鉄腕・吉田輝星。「正直、疲れはありました。だけど序盤は、投げていて楽しかった」と、無死一、三塁から中川卓也、藤原恭大を連続三振。ここまでは良かった。だが、さすがに5日間で4試合目の蓄積疲労は隠せない。根尾昂に四球のあと、暴投と石川瑞貴の二塁打で、大阪桐蔭が3点を先制する。4回には、宮崎仁斗に3ランが飛び出して、試合は完全に大阪桐蔭ペースだ。
センターもびっくり?根尾の豪快弾
5回にバックスクリーンへ今大会3本目の本塁打を放った根尾。金足農のセンター・大友も「あんな打球見たことない」と驚きの一発だった 【写真は共同】
柿木によると、「力を入れると、かえって腕が振れないんです。なので、リリースまではゼロで、球を離すところで100の力を入れるんです。リリースまで、いかにゼロでいけるかを意識する」ことで、球速も制球も向上したという。結果的にこの日も112球、5安打2失点で優勝投手となった。
投のヒーローが完投の柿木なら、13得点を奪った打では根尾だ。5回。無死一塁から吉田の3球目を鋭く振り抜くと、打球はバックスクリーンに一直線。金足農のセンター・大友朝陽は一瞬、「センターライナーかな」と一歩前に出た。「それがぐんぐん伸びて、頭の上を越えていった。あんな打球、見たことありません」という一撃は、リードを7点に広げる、自身この大会3本目のアーチだった。
根尾は言う。
「やはり(吉田は)いい投手で、2打席目までは真っすぐに差し込まれていました。ホームランは、真っすぐかどうかわかりませんが、ちょっと甘いところにきた。チームのためになんとか1本、と思っていただけに、良かったです」
結局、13対2と圧勝した大阪桐蔭が、2度目の春夏連覇を達成することになる。
連覇の瞬間感極まった中川主将
昨年もセンバツを制覇し、春夏連覇に挑戦した大阪桐蔭。だが、優勝が有望視されながら、仙台育英(宮城)と対した3回戦、ミスからまさかのサヨナラ負けを喫している。当時の主力が多く残る、現チームがスタートしたのはその翌日だ。仙台育英戦で、ゲームセットのはずの内野ゴロで、一塁を踏みそこねてセーフにしてしまったのが、現主将の中川である。
その中川、「あれ以降の、苦しかった日々を思い出して……」ゲームセットの瞬間、思わず感極まった。根尾が言うには、「中川が、毎日“公式戦負けなしでいこう、日本一になろう、春夏連覇しよう”と厳しく言葉をかけ、意識を高く保ってくれた」からこその、快挙達成だ。豊富なタレントをそろえ、勝って当たり前と見られるプレッシャーにさらされながらの春夏連覇。悔しい敗戦から現チームがスタートした昨年8月20日から、ちょうど1年と1日後のことだった。
中川が、西谷監督の言葉をなぞるように言う。
「最高で、本物のチームでした」
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