張本智和が歴史的勝利の一戦を振り返る 武井壮さんと一緒に強さの秘訣を分析

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ディープな卓球トーク番組「卓球ジャパン!」に張本智和(右から2番目)が登場 【スポーツナビ】

 日本卓球界の“新エース”が、歴史的な勝利を収めた一戦を自身の言葉で振り返る。

 現在、BSジャパンで放送中(毎週土曜、夜22時〜)のディープな卓球トーク番組「卓球ジャパン!」の収録に、日本代表の張本智和(JOCエリートアカデミー)が初登場。MCの武井壮さん、平野早矢香さんとともに、ほかでは聞けない奥深い卓球トークを展開した。

 収録の序盤からやや興奮気味のMC陣に対し、15歳の張本は緊張の表情。それでも、「(普段は)静かではないし、人見知りなだけ」と話し、収録に臨んだ。

冷静に分析する張本に武井さん「卓球を知っている」と絶賛

収録では6月のジャパンオープンで張本が馬龍を破った一戦を振り返った 【写真:松尾/アフロスポーツ】

 この日の収録では張本が五輪&世界選手権王者の馬龍(中国)を破った、6月のITTFワールドツアー・ジャパンオープン準々決勝を振り返った。

 この試合について張本は「(馬龍戦は)ジャパンオープンで優勝するために1番大事な試合」だったと話す。最初に2人の戦力分析チャートが5段階評価で表示されると、張本は自身の攻撃力(4.5)とフィジカル(4)には「過大評価」と苦笑いし、「攻撃力は4で、フィジカルは3」と謙遜する。またほぼ「5」の馬龍について、「唯一弱いのがディフェンス(4)」と話し、それでも「実力は自分が下。地元の日本だから力が出せた」と分析した。

 試合前の作戦では、「タイミングをずらす」策などを取ったことと明かす。その中でも効果を発揮したのは高くトスを上げるサーブだった。これはブラジルのウーゴ・カルデラノをまねて、3、4カ月前から練習していたとのこと。これが効き、ゲームの序盤を優勢に進めた。

 第1ゲームを取った後も、「まだ0−0だと思っていました。第1ゲームをとっても1−4で負けることもあるぞと」と気を引き締めたが、一方で馬龍が絶好調ではないと感じており、「馬龍選手には意外性がなく、やりやすかった」と分析し、試合は張本がゲームカウント4−2で勝利している。

 張本との卓球トークに興奮気味の平野さんに対し、武井さんは「ファンのおばさんか!」と思わず突っ込み。対して、冷静に自分の卓球を分析する張本には、「15歳なのに卓球を知っている」と大絶賛で、張本のプレー1つ1つを細かく見て、歴史的勝利までの心境を語り尽くした。

目指すは五輪6大会連続出場

現在15歳の張本だが、五輪は「37歳の時にもあるので」と長く現役を続けたいという意思を示した 【写真:松尾/アフロスポーツ】

 番組の後半には張本と武井さんが1対1でトークする場面も。武井さんが「世界のトップに手が届こうかという今のポジションの満足度は何点?」と尋ねると、「80点。十分満足していますけど、ここまで来たので、やっぱりもう少しいけたかなと。欲張りです」と、世界ランキング1位への欲求をほのめかした。

 話題が五輪について広がると、張本は「何回でも金メダルを取りたい」と話し、2年後の東京五輪だけではなく、その後も出場したいと語る。そこにMCの平野さんも参加し、「現役は何歳までやりたい?」と質問すると、「(五輪の開催年を)計算したら、37歳の時にもあるので、そこまでは出られたらいいなと思います」と、東京から数えて6大会連続で出場するという野望を語った。
「(ドイツのティモ・)ボル選手や(ベラルーシのブラディミル・)サムソノフ選手、(チャイニーズタイペイの)荘智淵選手は30代後半や40代ですが、なかなか勝たせてくれません。そういう選手に憧れています」とベテラン選手の名前を挙げて、自身もそのように成長していきたいと話した。

 最後に武井さんが「張本選手にとって卓球とは何でしょうか?」と質問すると、「自分にとって人生であり、一番の趣味です」と答え、この日の収録を終えた。

MC陣も張本のイメージが変わった

MCの武井さんや平野さんも実際に話して張本の印象が変わったと話す 【写真:ロイター/アフロ】

 収録後、張本に番組について聞くと、「ほかの選手が出演しているのを見ていたので、自分も出たいなと思っていました。楽しかったです」と笑顔を見せ、収録が無事に終わってホッとした表情も見せた。「試合を見ながら話ができたので話しやすかったです。普段の研究と同じぐらい、じっくり1球1球見られました」と振り返った。

 一方、MC陣に感想を聞くと、武井さんは元々持っていた張本のイメージが変わったという。
「(張本のことを)卓球のために生まれたかのような天才で、すべての反射神経が人よりも尋常じゃなくて、卓球に向いた何かを持っているのかと不思議に思っていました。彼は卓球に必要なものを『センス』と答えていました。でもその中には、技をしっかり練習する、努力を積み重ねるセンスというのもあり、それこそ彼が一番自信を持っているものなんだと思いました。15歳という年齢ではあるけれど、彼は3歳から卓球を始めて、それから12年取り組んできたわけですが、今のレベルに辿り着くことが可能なんだという新しい可能性を見せてくれていると思います。今までよりもリスペクトが高まりました」と張本を賞賛した。

 同じく平野さんも「私も現役を25、26年やっていましたが、張本選手のような日本選手を見たことがありませんでした。今日話して謎が解けた感じです。私が思う張本選手の一番すごいところは“正直”なところ。自分が思っていることをすべてそのまま、ありのまま飾らずに語っていて、それはなかなかできることじゃないですよね? 自分を大きく見せたり、逆に過小評価したりするのが普通だと思うのですが、彼の場合、『世界一になりたい。だから五輪で金メダルを取りたい』というのを素直に言葉にできる。やはり張本選手は心から卓球が好きで、心から世界一になりたいということが、本当にそのまま伝わったのが今日の収録でした」と張本への印象を語った。

 今回の収録では張本の技術的な部分やパーソナルな部分を深堀りし、卓球界のエースを解剖する内容となったが、「このような企画は、本当にありがたいですね」と武井さん。
「張本選手のような、今、世界のトップを走っている選手たちの動向を、卓球の専門家ではないですけれど仕事として話させていただいているのは非常に光栄です。トップ選手たちの素晴らしい努力と、(今回の番組は)それをより多くの人に見てもらうという使命がありますが、この2つがあることで、スポーツというのはただの趣味ではなく、きちんと文化になって、選手がより豊かになって、世界を目指す文化ができると思います。僕はそれを伝えられなかったのが現役アスリート時代の唯一の思い残しなので、今それを作る1つのサポートをさせていただけているのは非常に光栄です」と番組への思いを述べている。

 張本が出演する「卓球ジャパン!」は8月18日、25日の2週にわたって放送される予定だ。

(取材・文:尾柴広紀/スポーツナビ)
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BSジャパン「卓球ジャパン!」

第19回 8月18日(土)22:00〜22:54
第20回 8月25日(土)22:00〜22:54
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