“もうひとつ上の意識”で初の世界一へ 将来有望なU−15侍ジャパンの面々
過去2回の最高成績は準優勝
U−15ワールドカップで初の世界一を目指すU−15侍ジャパン(写真は左から高橋コーチ、池田主将、清水監督) 【写真:高木遊】
日本は過去2大会に出場(第1回大会は不参加、ともに監督は現巨人GMの鹿取義隆氏)。最高成績は2016年に行われた第3回大会の準優勝だ。福島県いわき市で開催され、今夏の甲子園でも活躍している及川雅貴(投手/横浜高)や宮城大弥(投手・外野手/興南高)、稲生賢二(外野手/愛工大名電高)らの活躍もあり躍進。決勝戦では連覇を狙ったキューバの底力に屈したが、堂々の戦いぶりだった。
一方、メキシコで開催された14年の第2回大会では、増田珠(横浜高→福岡ソフトバンク)や西浦颯大(明徳義塾高→オリックス)らを擁しながらもスーパーラウンドに進むことができず7位に終わった。このことからも分かるように、環境面が大きく異なる地で日本の中学生たちが結果を残すことは容易ではない。この難関に挑むのは、全国3カ所のセレクションから選ばれた20人の精鋭たちだ。
松坂の恩師が太鼓判を押す左腕
中継ぎで2勝を挙げている金井は、中学時代の松坂を育てた東京城南ボーイズの大枝監督が「将来、世界を目指せる投手」と太鼓判を押す逸材(写真は東京城南ボーイズの金井) 【写真:高木遊】
さらに中継ぎには、インステップでサイドハンドとスリークォーターの間あたりから投じる変則左腕・本田峻也(小松加賀リトルシニア)もいる。各投手が打ち込まれたキューバ戦(7対9)でも各投手が打ち込まれる中、1回1/3を無安打無失点に抑え、特に左打者が自身の背後から向かってくる独特の球筋にのけ反るほどだった。
彼らに加えて、130キロ台中盤から後半のストレートを投じる本格派右腕の畔柳亨丞(SASUKE名古屋ヤング)と樋上颯太(湖南ボーイズ)もポテンシャルは十分。「細かな点はいじくらずに要所だけ伝える。高校・大学で自分のフォームができればいい」(SASUKE名古屋ヤング・丹羽恭久総監督)、「野手の練習で下半身を鍛え、練習で投げるのは1カ月で50球ほど」(湖南ボーイズ・木元竜児監督)と、各所属チームでも大事に育てられて伸びしろが大きい分、今大会を戦う中で劇的に化けていく可能性を十分に秘めている。
また全国など大きな大会での際立った経験や実績こそないものの、右腕の藤森粋七丞(青森山田リトルシニア)や清田蒼陽(新城ボーイズ)、左腕の鈴木唯斗(SASUKE名古屋ヤング)や秋山恭平(筑後サザンホークス)がキレのいい球を投じており、駒は揃っている。投球制限(下記参照)もある中で清水監督と高橋尚成コーチ(元巨人、メッツほか)の采配も重要となりそうだ。
どこからでも得点を奪えるのが強み
キューバ戦で本塁打を放った坂。下位打線ながらも一発のある打撃は対戦相手には脅威 【写真:吉田優】
一方で走塁の守備のミス(野選やバッテリーミス)も随所で出ている。もちろん完璧を求めるのは酷な年代ではある。だが、清水監督が合宿時に「(昨年もU−15代表監督を経験し)どうしても打つこと、投げることだけに意識が偏りがち。例えば、守備の軽いミスで1点を失うこともあれば、走塁でも(プレッシャーをかけ)1点を取れるんだという“もうひとつ上の意識”を伝えていきたい」と話していたように、細かな部分の意識の浸透がより進んでいけば、日本の高い技術力がさらに他国の脅威となるだろう。
スーパーラウンドでは同グループの進出国(キューバ、ドミニカ共和国)との成績(1勝1敗)は持ち越され、台湾、パナマ、アメリカと戦い上位2カ国に与えられる決勝戦(日本時間20日朝8時)進出を目指す。
他国も前回大会で圧巻の活躍を見せた右腕オシエル・ロドリゲス(キューバ)が、その後亡命し現在では154キロを投げてヤンキースと契約を結んでいるなど世界の逸材の宝庫だ。その中で、日本の若き戦士たちがどのような戦いを繰り広げるのか注目していきたい。
※U−15W杯の投球制限
1〜35球(休息日必要なし※連投可能)
※前日と前々日の投球数が35球を超えなければ、3日連続登板まで可
36〜50球(休息日1日)
51〜65球(休息日2日)
66〜80球(休息日3日)
81〜95球(休息日4日)
※1試合の上限は95球
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