松山英樹、光明見えた最終18番での巧打 全米プロを終え、不調からの脱出を期す
「何もうまくいかなかった」大会3日目
今季のメジャー4戦を終えた松山。目立った成績を残すことはできなかった 【Getty Images】
「自分に期待をしない。予選落ちすると思う」。不調を嘆き、自虐コメントに終始していた大会前の松山。いざ大会が始まってみれば、初日は2アンダーの16位タイと上々のスタートを切った。それでも表情は晴れない。「いいと思っても何かのきっかけですぐに悪くなる」と自信を持てない姿がまだそこにあった。そんな不安をよそに、2日目も前半を終えてスコアを1つ伸ばしたが、潮目が変わってしまったのが雷雨中断だった。
残り8ホールが土曜日に順延となってしまったが、この8ホールの締めくくりの18番がキモとなった。再開直後の11番でバーディ。スコアを5アンダーまで伸ばして迎えた18番もティショットはフェアウェイを捉えた。ピンまで168ヤード。今までの松山なら確実にピンそばにつけていた距離だが、これをバンカーに落とすと、バンカーショットもオーバー。寄らず入らずのダブルボギー。上位進出への期待が一気に薄れた。
不吉なダボの直後に開始した第3ラウンド。1番ホールでいきなりのトラブルに見舞われた。浅いラフからのセカンドショットがフライヤーとなり、グリーンをはるかにオーバー。かろうじてボギーでとどめたが、第2ラウンドの最終ホールとこの2ホールで、松山らしさを失った。「何もうまくいかなかった」と振り返ったラウンドは、フェアウェイキープ率35.7パーセント。パーオン率50パーセント。ショットの精度で勝負する、松山本来の上昇パターンが消えてしまった。
リベンジを果たした最終日の最終18番
3日目の18番、バンカーショットはオーバーするが、翌日同ホールでバーディを奪取しリベンジを果たした 【Getty Images】
ダブルボギーの直後に連続バーディ。その直後には再びピンチを迎えるが、8番で再びバーディ。ところが9番ではイージーボギー。それでも耐える表情は変わらない。この我慢がようやく実ったのが折り返した11番の短いパー4。ドライバーでワンオンに成功しイーグルを奪うと、そこからは必死にスコアを伸ばし続けた。
後半だけで4アンダー。ハーフ「31」には松山の強さが詰まっていた。そして、最も松山の強さを象徴していたのが、1.2メートルに寄せてバーディとした18番。第2ラウンドの最後にダボとし、流れを切ってしまったホールだ。「久々にいいアイアンショットが打てました」。淡々と振り返ったが、松山らしくショットの精度で奪ったバーディに手応えを感じると同時に、リベンジを果たすことができた。
「やっぱりこんなところで回っていたくないですし、今ぐらいの時間にスタートしたいです」。早々にラウンドを終了した時点で、上位陣はスタートを迎えようとしていた。悔しさは当然あるだろう。それでも、この悔しい思いを持ち続け、我慢を重ねた上での最終ホールでのバーディは、少しばかり松山に自信を取り戻すことになったのではないだろうか。
納得のショットが快進撃につながるか
松山は今季の残り試合で活躍し、「ツアー選手権」出場を目指す 【Getty Images】
松山が参戦する米ツアーは残り5試合。今週開催の「ウィンダム選手権」がレギュラーツアー最終戦で、次週からは4試合のプレーオフに突入。毎試合、ふるいにかけられ最終戦の「ツアー選手権」にはポイントランキング上位30人しか残れないが、これを果たせば来年の一部メジャー出場が早々に決まる。現在同ランキング88位。「まだ来年のメジャー出場資格がないので」と、今まで迎えたことのない境遇となっている松山。最終ホールで見せた納得のショットが今後の快進撃、来年のメジャー獲りにつながっていくことを、多くのファン、そして松山自身も期待しているはずだ。
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