【新日本プロレス】王者オメガが唯一無敗で完全優勝へ爆進 実力者が上位に残ったままG1は終盤へ
Aブロックは棚橋、EVILが4勝で並ぶ
オメガが無傷の5連勝。Bブロック単独首位に立っている 【写真:SHUHEI YOKOTA】
なお、この日公式戦が組まれていないAブロックでは、棚橋弘至、EVILの2人が4勝1敗の8点で同点首位。両者は8.2福岡で直接対決する。右腕に爆弾を抱えながらも、薄氷を踏む思いで勝ち星を積み重ねている棚橋に対し、EVILは勢いを見せ付け快勝中。とはいえ、EVILは今後、棚橋以外にも鈴木みのる、オカダ・カズチカといった大物勢との対戦が控えており、ここから失速する可能性も。逆に、昨年のオカダ戦のように金星を積み重ねるようなら、大いなる飛躍が期待できる。
前日の浜松大会では棚橋(上)が真壁を破り4勝目。EVILとともに首位タイに立つ 【写真:SHUHEI YOKOTA】
2勝3敗の4点は真壁刀義、マイケル・エルガン、バッドラック・ファレの3選手。これ以上の失点は即、優勝争い脱落を意味するだけに、もはや1敗も許されないところ。ファレに関しては、BULLET CLUB OGとして、今後も反則・乱入を仕掛けてくることが予想され、リーグ戦のみならず、前半戦のタッグマッチでも厄介な存在となりつつある。対戦する側の選手としては、いかにケガなく彼らとの対戦をやり過ごせるかがカギとなりそうだ。
1勝4敗の2点はYOSHI-HASHI、ハングマン・ペイジの2選手。もはや優勝争いからは脱落圏内にあるとはいえ、問われるのはその試合内容。YOSHI-HASHIは、戦前、オカダから「つまらない試合になる」とコキおろされていた27日の浜松大会で、前IWGP王者を相手に、あわや大金星かと思われるような熱戦を展開。試合には敗れたものの、大いに株を上げただけに、最後まで腐ることなく、「どうせ消化試合だから」と油断して観ている者をあっと言わせるような奮闘を期待したい。
オメガはG1で変化見せるSANADAに勝利
飯伏に勝利しマイクアピールするなど変化を見せるSANADA(左)に対し、オメガは王者の意地を見せた 【写真:SHUHEI YOKOTA】
メインイベントでは、現IWGPヘビー級王者ケニー・オメガがSANADAを下し5勝目。両ブロックで唯一、無敗をキープし、戦前から予告していた全勝での「完全優勝」がいよいよ現実味を帯びてきた。
「オレはチャンピオンだから、全試合防衛戦のつもりで戦う」と、長州力(1996年)、天山広吉(2006年)以来の全勝優勝を予告していたオメガ。開幕戦の7.15大田区体育館大会では昨年の優勝決定戦で敗れた内藤哲也にリベンジを果たすと、その後も7.19後楽園でNEVER無差別級王者の後藤洋央紀、7.22後楽園ではBULLET CLUB分裂騒動を引き起こしたタマ・トンガ、7.26新潟ではIWGP USヘビー級王者のジュース・ロビンソンに勝利。新日本最高峰のベルト・IWGPヘビー級王者にふさわしい戦いぶりと結果を残してきた。
今回迎え撃つのは、前IWGPタッグ王者であったSANADA。全日本プロレス、TNAなどをへて16年より新日本に参戦しているSANADAは、今年の「NEW JAPAN CUP(NJC)」で準優勝に輝くなどメキメキと頭角を現しており、これまでのG1公式戦でも、NJC決勝戦では敗れたザック・セイバーJr.、オメガの盟友である飯伏幸太から勝利。これまでの寡黙なイメージを破り、マイクアピールをするなど、大きな変化を遂げている。
両者は昨年のG1公式戦8.8横浜文化体育館でも対戦。オメガが16分3秒、片翼の天使で勝利している。
オメガはSANADAのヒザにダメージを与え、機動力を奪おうとするが、SANADAもミサイルキック、ドロップキック、プランチャとひるまず反撃。オメガもフランケンシュタイナー、ノータッチトペ、コタロークラッシャーを繰り出すと、飛んできたSANADAをつかまえてパワーボム、ミサイルキック、高速ドラゴンスープレックス。さらにタイガードライバー、Vトリガーから片翼の天使を狙うが、SANADAが阻止し、ラウンディングボディープレスへ。これをオメガにかわされると素早く着地し、最近のフィニッシュホールドである回転足折り固めからSkull Endで捕獲。しかし、オメガは自力でエスケープすると、再びラウンディングボディープレスをかわして自爆を誘い、変型のパイルドライバーを炸裂。片翼の天使を切り返されそうになると、ファイヤーマンズキャリーの体勢で持ち上げてから、片翼の天使でマットに沈めた。
昨年の公式戦よりも長い20分超えの激闘を制したオメガは、SANADAの進化を認めた上で、次の8.1鹿児島でのザック戦についても「次は初めて日本でザックとシングルです。皆の素敵なチャンピオンはもうボロボロなんですけど、ザックは私と同じレベルではない。ザックは勝てません。だから、次の試合も私が勝って、勝ち続けて、決勝まで完全に優勝します」と完勝予告。16年は外国人初のG1チャンピオンという偉業を成し遂げた男が、武藤敬司(95年)、佐々木健介(00年)以来、史上3人目のIWGPヘビー級王者としてのG1制覇を果たすだけではなく、さらに世界的チャンピオンとして新たなステージへ突入するか。
一方、敗れたSANADAはこれで3勝2敗。優勝争いからは一歩後退したとはいえ、彼にとって、優勝決定戦よりもある意味もっと大きな意味を持つ一戦が、8.8横浜文化体育館での内藤戦だろう。単なるロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン同門対決というだけではなく、同世代ライバルとしての意地とプライドが交錯する、SANADAにとっては絶対に負けたくない、運命を賭けた戦いとなりそうだ。