【KNOCK OUT】ブレない強さで最強を目指す江幡塁 「打倒ムエタイ」で業界を盛り上げる

長谷川亮

戦いの芯は「基本に忠実なキックボクシング」

伊原会長(左)とは今でも基本をしっかりと固めるトレーニングをしている 【写真:チナスキー】

――KNOCK OUTは昨年12月の宮元啓介戦(判定勝ち)が第1戦で、日本人とはこれが実に5年半ぶりの試合となりました。やはり外国の選手とは異なるリズム、やり辛さがあったのでしょうか?

 やっぱりありました。ただ僕たちのジムって本当に基本に忠実なジムで、タイ人が相手だから、日本人が相手だからって練習方法はまったく変えないんです。本当に基本に忠実なキックボクシングを習っていて、伊原会長のキックボクシングを体現するっていうのが僕たちの役目なので、対戦相手や舞台によってまったく変わりがないっていうのは強みでした。



――では対戦する相手がどうあっても自分たちがやることは変わらないと。

 そこはブレないんです。今も朝の練習が2時間ワンツーだけで終わる時とかもあって、デビューから変わらずずっとその積み重ねです。手がちょっと前に出ている、肘が少し前に出ているみたいな、そういう寸分のブレでも指導が入ります。

――入門当初ならいざ知らず、世界王者となった現在におよんでもそれでは嫌になってしまわないですか?

「今こんなことやってる場合じゃないじゃないですか」みたいに反抗したりぶつかり合うこともあるんですけど、ガーっと練習した分だけ強くなる訳ではないし、ここまで来ると気持ちだったり技の精度というのが重要なんです。今回も基本通りのストレートで倒すことができましたし、会長は技術を通して精神的なものも教えてくれて、僕たちはそれをずっと10年間やってきました。自分の芯になるものを育ててくれたし、それが基本なのかなと思います。常に立ち返る場所があるし、決してブレない強さを持たせてくれたのは会長の教えだと思います。本当に心技体を教えているのが伊原会長の教えです。

熱を生むなら天心とも戦う

「熱を生む対戦カードだったら戦っていきたい」と“神童”那須川との対戦も期待される 【スポーツナビ】

――大きな勝利となった小笠原戦を経て、今後の戦いはどのように見据えていますか?

 僕たちは「打倒ムエタイ」を掲げてやっているので、タイの王座を獲ってキックボクシングを盛り上げたいし、そこは必ず果たしたいと思います。その中で小笠原選手との試合はすごくファンのみなさんが注目してくれて喜んでもらえたので、またそういう試合があるんだったらキックボクシングを盛り上げるためにKNOCK OUTに参戦したいと思います。

――小笠原選手をKOしたことで、那須川天心戦の実現に期待と注目が集まっていますがいかがでしょうか?

 小笠原くんとの試合もこれまで実現できなかったカードが実現できて、勝ち負けを別にして、もし僕が負けても盛り上がったと思いますし、やっぱり対戦することで大きな革命ができるというのを今回の試合で感じました。キックボクシング界がすごく盛り上がったと思うし、今後そういう熱を生む対戦カードだったら全然戦っていきたいと思ってます。

――また大一番の実現を期待しています。それでは今後の意気込みを最後にお願いします。

 対ムエタイでもKNOCK OUTでも、キックボクシングの魅力を伝えるのが僕たちの役割だと思っています。いろいろなスタイルがあると思うんですけど、僕たちは伊原会長に教えてもらっている心技体を通してキックボクシングを表現して、その魅力を広めていきたいです。

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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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