スターの自撮りに守備中インタビューも MLBオールスターは新時代へ
王者アストロズの時代
延長10回に勝ち越しのホームランを放ち、MVPを獲得したアストロズのブレグマン 【Getty Images】
6対6で迎えた延長10回表、アストロズのアレックス・ブレグマンがロス・ストリップリング(ドジャース)から勝ち越し弾。続くジョージ・スプリンガー(アストロズ)も右中間に運び、見事な“バック・トゥ・バック(2者連続本塁打)”でゲームの行方を決定づけた。
「普段、スプリンガーは1番打者だから、連続本塁打のときは僕は彼の後に打つことになる。今日は彼が続いてくれたのは素晴らしかったよ」
殊勲の一発でMVPを獲得したブレグマンはそう語って笑顔を見せた。
アーロン・ジャッジ(ヤンキース)、マイク・トラウト(エンゼルス)というスーパースターの一発を号砲に、両リーグがそれぞれ5本ずつの本塁打を放った派手な乱打戦だった。そんなゲームを締めくくったのは、やはり今季もア・リーグ西地区の首位を快走するアストロズの選手たち。打たれたのが去年のワールドシリーズで対戦したドジャースの投手だったことまで含め、実に適切な結末に思えたのだ。
ブレグマン、スプリンガーを含め、ホセ・アルテューベ、ゲリット・コール、チャーリー・モートン、ジャスティン・バーランダーの6人を米国の首都に送り込んだアストロズ。ここで弾みをつけて、気分良く後半戦に臨めることだろう。再びの充実のシーズンに、大舞台で2人が放った殊勲弾が新たな彩りを添えることになったのである。
一発攻勢と増加する三振
合計10本塁打はオールスター史上最多記録。その一方で、両チーム合わせて25三振という数字も現代のベースボールらしいと言えるのだろう。
昨季のメジャーでは史上最多の6105本塁打(1試合平均1.26本)が飛び交うと同時に、三振数も過去10年連続で増加中。“フライボール革命”“飛ぶボール”“投手の平均球速アップ”といった理由から、守備につく選手たちの手が及ばない本塁打、三振という2つの結果ばかりが目立つ傾向にある。
「これが今のゲームが向かっている方向性だということ。ファンがどう考えているかはわからない。今日、見ている限りは楽しんでくれているようだったけどね」
延長10回に登板してセーブを挙げたJ.A.ハップ(ブルージェイズ)もそう述べていた通り、昨今のトレンドには拍車がかかる一方。オールスターは今も昔も“時代を映す鏡”と呼ばれる。本塁打以外で入った得点は1点だけという“夢の球宴”は、まさに現代のメジャーリーグをわかりやすい形で象徴しているようだった。