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長谷部「4年後さらに上にいってほしい」
W杯ロシア大会 日本代表帰国会見

長谷部「悔しさを知る選手がチームを引っ張ってきた」

キャプテン長谷部は「ブラジルでの悔しさを持った選手たちがこのチームを本当に引っ張っていた」と振り返る
キャプテン長谷部は「ブラジルでの悔しさを持った選手たちがこのチームを本当に引っ張っていた」と振り返る【スポーツナビ】

――ベルギー戦の後、選手と話す機会があったと思うが、選手たちにはどのような言葉をかけたのか?


西野 グループリーグを突破した翌日に、ある小さい選手がいきなり発言をして、ブラジルのことを話したかったんでしょうけれど、「ブラジル」という言葉を発した瞬間に言葉をつまらせて、その後も泣きじゃくりながら選手たちに思いを(伝えていた)。おそらく回想しながら、つまってしまったんでしょうが、そういうことがありました。


 僕も選手たちに、ロストフでのベルギー戦が終わった後に倒れ込んだ後の背中に感じた芝生の感触、空の色、それを忘れるな。選手たちが座った居心地の悪いベンチの感触を忘れるな、という思いで(いた)。僕が言わなくても、その小さい選手が話してくれたことは、これからの4年、4年ではないですね。早い段階で世界に追いつける姿勢を与えたくれた選手がいたので、私自身もそういう話をさせてもらいました。


 あの悔しさは私自身も感じたことがないです。残りの30分であのベルギーに対して3点目が入れられるんじゃないかと思いながら戦っている中で、だけれどあの30分でああいう状況になった。最後は何も修正できなかった。あれが世界ですし、そこに対抗していかなければいけない。(選手たちに話したのは)とにかく前へ、日々鍛えて、成長していかなければいけないという話しだったでしょうか。


――ブラジル大会からの4年間を振り返ってどんな思いか?


長谷部 ブラジルで多くの選手が味わった悔しさ、そしてサポーターの皆さんも味わった失望感というものを取り戻すために、そして取り戻してさらにその上に行くために、この4年間やってきたという思いが選手みんなにあります。そして監督も先ほど話されたように、ブラジルでの悔しさを持った選手たちがこのチームを本当に引っ張っていったのかなと思います。


 個人的には、ブラジルが終わった後、このロシアW杯のピッチに立っている自分は、終わった当初は全く想像できなかったんですけど、今振り返ってみればあっという間でした。ほかの選手たちがどういった時間の感覚を持っているか分からないですけれど、それぞれ所属チームは違えど、心の奥底にブラジルからこのロシアに向けての思いというのは、それぞれが共通して持っていたと思うので、その思いが強かったというのが、今回グループステージ突破につながったと思います。もちろん、これで満足しているわけでは全くなく、今回また味わった悔しさを次のカタールでさらに上に行ってほしいなと思います。


――大会前に厳しい状況をひっくり返したいと話していたが。


長谷部 選手が口をそろえて合宿中、食事中とかいろいろなところで話していたのは、このように皆さまに期待されない状況、この雰囲気を絶対にひっくり返してやろうとチームの中でみんなで話していました。そういう思いはみんなが持っていて、その思いが強かった分、今回こうして皆さまの期待をもう一度、取り戻せたと思うので、そういう意味では非常に、やってやったじゃないですけど、そういう気持ちももちろんありますし、逆にそういう皆さまの厳しいお言葉がこのチームにとっては力になったんじゃないかと思います。


――代表引退を発表し、目に涙を浮かべている選手もいたが。


長谷部 まず、自分本位でこのようなことを発信してしまっているのは、ぶしつけであるというのも承知しているんですけれど、まずは本当にサポートしてくださった皆さん、仲間たちにしっかりとお礼を伝えたいということで言わせていただきました。その中で、本当に多くのサポーターの方々から温かい言葉をいただきましたし、それとともにチームメート、普段は僕のことを恐らく、何ていったらいいんだろう……うっとうしく思っていると思うんですよね。僕言うので、若い選手たちはうっとうしく思っていたと思うんですけれど、ああいうふうに涙してくれる選手とか、さまざまな、うれしい言葉をかけてくれる選手たちがいたというのは、僕にとっては言葉では表せない喜びですし、素晴らしい仲間を持ったなとあらためて思います。


――カザンのベースキャンプ地はどのような環境だったか?


長谷部 カザンのキャンプ地は素晴らしい環境で、選手たちも非常に満足していましたし、あそこで働いてくださっている現地の方々も素晴らしいサポートをしてくれました。合宿地だけじゃなくて、今回の活動を通して、日本代表チームスタッフ、サッカー協会もそうですけれど、選手が全くストレスを感じない環境を整えてくださいました。フライトもチャーター機を用意してくださったり、オーストリアの合宿地も本当にこんなにいいところでいいのか、と思うくらい素晴らしい場所でした。そういう環境もすべて、このような自分たちが力を出せたというところにつながっていると思います。コンディションの部分でも監督をはじめ、代表のコンディショニングトレーナー、マッサージをしてくださるトレーナーさんたち、すべての方が素晴らしいサポートをしてくださったので、選手はそれに関しては選手たちはすべてにおいて感謝しています。

長谷部「今は99%の満足感と、そして1%の後悔」

――話せる限りで、次の日本代表監督についてどのようなプランを考えているか?


田嶋 まずもう来月はアジア大会があります。五輪代表の年代で日本は臨むわけですけれど、それがスタートすること、そしてもう東京五輪と、若い選手たちが出場する機会やチャンスが非常に多くある、この4年間だと思います。そういう意味では今いる選手たち、新たな選手たちがどんどん出てくるようなことを私たちが準備し、仕掛けていかなければいけないと思っています。


 監督問題については、まだ白紙の状態です。技術委員会でしっかりと話した上で、早い時期に決めたいと思っています。


――Instagramで代表引退をファンに表明された際、大きな感動を呼んだが、どのように感じているか?


長谷部 感動してくださったというのは初めて聞いたのですけれど、本当に多くの反響を確かにいただいて、これは何物にも代えがたいものですし、本当に12年、13年、日本代表としてプレーさせていただいて、今正直、この会見が終わったら、僕の日本代表としての公式的なものはすべて終わりになるので、喪失感はすごいですね。今まで当たり前といってはなんなのですけれど、長い間ここにいさせてもらった中で、それがなくなるという。帰りの飛行機でも窓から外の雲を見ながらちょっと感傷に浸っていたんですけれど。今は99%の満足感と、そして1%の後悔。その1%の後悔はこれからのサッカー人生、そしてその後の人生につなげられるようにやっていきたいと思っています。


――次世代の代表を担う選手に受け継いでほしいことは?


長谷部 散歩隊は続けてほしいなと思います。僕もそんなに参加しなかったんですけれど、あれもコミュニケーションの1つなのでいいなあと思うものでもあり。今のはちょっと皆さんに笑ってもらうところなんですけど(笑)。


 今回のW杯を通じて、西野監督も言われた通り、本当に選手たちが自分たちがやらなければという気持ちをみんなが持って作り上げていった戦いだと思うので、これは日本代表チームのベースになってくると思います。それは今回も若い選手たちがたくさんいたので、引き継いでくれるものと思っています。


――監督人事については白紙とのことだが、西野監督自身に考えはあるか?


西野 契約が今月の末日までですので、この任を受けた瞬間から、W杯終了までという気持ちだけでやってこさせてもらいましたので、今は……途中でこういう形になりましたけれども、任期を全うしたという気持ちでいます。


――日本代表からの引退については大会前から決めていたとのことだが、最後が来ることが分かっていながら、1戦1戦どのような思いで戦っていたのか?


長谷部 日本代表というのは特別な場所で、いつ誰が選ばれるか分からないので、今度の代表、たとえば9月の代表戦に今回の選手が呼ばれなければ、元代表という肩書がつく、そういう場所なんですよね。これまでも目の前の1試合、1試合が最後のつもりでやってきて、それはこの大会も変わらなかったです。もちろん、大会前に自分の心の中では決めていた部分はあった中では、より1つ1つのプレーに思いを込めながらやっていましたし、その分、今は終わったなという感傷的な気持ちはありますね。


――ベルギー戦の後、ロッカールームがきれいになっていて、ロシア語で「スパシーバ(ありがとう)」というメッセージと折り鶴が残されていたそうだが、これは誰が発起人となって行ったのか?


長谷部 日本代表チームのスタッフの方々は毎試合、ロッカールームをすべてきれいに片付けて帰るということをしてくださっていて、日本代表スタッフの方々を選手として誇りに思います。それだけではなく、日本代表サポーターの方々がスタジアムで試合が終わった後にごみ拾いをしてくださったり、僕は普段海外に住んでいるので、日本代表でもいろいろな国に行く機会があるんですけど、日本ほどきれいな街、国はないんじゃないかと思うくらい、日本という場所、人は素晴らしい精神を持っていると思います。それは1人の選手としてだけではなく、1人の日本人として誇りに思っています。

田嶋会長「西野さんは日本代表監督を終了する」

「慰留はしなかった」と西野監督の続投を否定した田嶋会長
「慰留はしなかった」と西野監督の続投を否定した田嶋会長【スポーツナビ】

――ベルギー戦直後のフラッシュインタビューで「何が足りないんでしょうね」とおっしゃっていた。足りないものは何だったのか? 今回の経験を踏まえて、4年後に向けてサッカー協会に一番伝えたいことは?


西野 あの言葉を発するまで少し時間をいただいたかと思うんですが、ゲームが日本にとって好転していっている中で、まさかあのシナリオは自分の中では全く考えられない状況でした。あの30分間で自分が判断できる、そういうスピード感が全く自分になかった。その中での判断や選手へのメッセージが、まさかああいう状況になるということが考えられませんでした。ベルギーに対して3点目がいけると、チーム力に自信を持っていましたし、実際にそういうチャンスもありました。


 でもやはり紙一重のところで流れが変わってしまう、私だけではなくて選手もまさかというところの30分だったと思います。それに対して、選手がというよりは、何が足りないのかは自問していたことで、こういうときにどういう感覚が何か働けばいいのかなとか。これはグループリーグの3試合目の(最後の)10分もあるんですけれど、そういうチームがひとつになっていく方向性を出せる瞬間というのは、本当の瞬間ですので、それができなかったベルギー戦の残り時間、それに対して何が足りないんだろうなという思いで、そういう気持ちだったと思います。自分に対してです。


 これからですけれども、一朝一夕にA代表が爆発的に成長していくことは各国ないと思う。今、日本のアンダーカテゴリーの各代表チームは、これは本当に期待できます。U−20、U−17、本当に世界でも渡り合える力を持っていると思います。これは着実にそういう育成に対して協会が働き掛けてきた状態だと思います。単純に4年後カタールに、ということを漠然と言っているわけではなくて、着実に下のカテゴリーの選手たちの底上げ、A代表も分かりません。U−20の選手たちが取って代わる状況でもあると感じていますし、スケールの大きいダイナミックな、かつ日本人らしいボールを使ったサッカーができる。そういう期待できる育成に対して、さらにというところをかけていかないと、一朝一夕にA代表とはいかないと思います。


 その部分と、海外組と国内組の選手たちが融合していかなければいけない。そこの難しさはあります。これは、ヨーロッパと日本のシーズンが違うからです。9月、10月、11月のA代表の活動が非常に毎年、毎年、強化にならないぐらいの状況。これはシーズンが違うからです。そういうこともありますし、選手たちのステージが違う。個は成長していくものの、チームとしてA代表として各カテゴリー、U−20も海外でやっている選手もいますので、そういう選手との融合、チームとしてどう持っていくかというところを改善はなかなか難しいんですが、考える必要はあると思います。


――最後に一言。


田嶋 本当に今日はありがとうございます。ロシア大会を振り返って、私はロシアに長く滞在したことがなかったので、大会前と大会後で本当にイメージが変わりました。ロシアの人たちが本当に親切で高潔性があり、大会の組織運営自体も素晴らしいものでした。各クラブが持っている施設もスタジアムもトップレベルで、あらためてロシアの組織委員会、ロシアの国民の皆さんに感謝したいと思います。


 そして、2カ月前に1%でも勝つ確率を上げたいということで入りました。出発前の会見でも西野監督が「小さな奇跡を起こしたい」とおっしゃった。そういう中でベスト16に入れたというのは選手たちみんなの努力だと思っています。あらためて私はそこを誇りに思います。そして、長谷部選手、本田(圭佑)選手たち、代表を引退するという言葉があるのかどうか分かりませんが、本当に長く代表に貢献してくれたことを感謝したいと思います。そして次につながる選手をしっかり育て上げていくのが私たちの役割だと思っています。


 そしてサポーターの方々のことや、ロッカールームのことも話題にしてくださいましたが、SNSでも非常に触れられていますが、タイの洞窟で閉じ込められているサッカーチームのみんなに、代表チームの選手たちがエールを送りました。こういうことが自然にできるようになったことが、やはり日本のサッカーが成熟してきているんだなということをあらためて思います。彼らが無事に救出されることをみんなで祈りたいと思います。


 西野さんとは終わった後、長い時間、さまざまなことを話すことができました。先ほどもありましたように、7月末で任期が満了することになります。西野さんとはもう40年以上の付き合いで、僕が監督の任を西野さんにお願いする時に、西野さんからあったのは、結果がどうあれ、この大会で終わるから、と約束しました。その約束はしっかりと僕は守りたいと思っています。ですから慰留はしませんでした。この7月末をもって、日本代表監督を終了することになりますが、また違った形、さまざまな形で日本サッカーに貢献し、サポートしていただければとは思っています。


西野 自分のキャリアはユース、U−20の監督をやり、五輪の監督も経験させてもらい、そして長くJリーグの監督を16シーズンやってきましたし、その上でサッカー協会から技術委員長ということで2年、そしてW杯直前に監督として、自分とすればすべてのカテゴリー、クラブで経験させてもらいました。


 本当に最後は大きなミッションだったと思いますけれど、7月末で契約満了という中では精いっぱい仕事をさせてもらいますけれど、W杯総括することは自分ではできないです。これは4年かけてきた長谷部以下、みんな選手たちが切磋琢磨(せっさたくま)してロシアを目指したアプローチに、最後自分が46日間だけ一緒にいさせてもらったという中で、すべてを自分が振り返ることはできない。


 本当に現場の選手たちの思いは想像以上に強く、そういう選手たちのリーダーとして長谷部が、前日の夜中に長谷部が来て代表引退ということを自分に伝えてくれました。心の内では「えっ」という感じ、「まだだろ」という感じはありますけれど、これも想像以上の長谷部の気持ちがある、そこも計り知れないところがありますし、長谷部が決断したことですので、これは間違いないことで尊重したいと思っていました。そういうリーダーに導かれた代表チームの力も、これは本当に計り知れない。次代のリーダーがどういう形になるのか。これは本当に大変なポジションだと思いますし、長谷部を超えるようなリーダーシップを持った選手が立たないといけないとも強く感じます。


 チームはそういうリーダーに支えられ、たくさんのスタッフに支えられてできているということも感じました。本当に大切さを感じましたし、ありがたく思っています。根底にあるのは、国民のサッカーに対する関心、興味がもっともっと増えていく活動を代表チームは絶対にしなければならないと強く感じています。間違いなく未来はアンダーカテゴリーも含めて代表チームは素晴らしい世界での活動があると思いますので、皆さんもたくさん応援してあげてほしいなと思います。本当にありがとうございました。

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