長谷部「4年後さらに上にいってほしい」 W杯ロシア大会 日本代表帰国会見

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チャーター機で帰国し、すぐさま帰国会見に臨んだ西野監督とキャプテン長谷部 【スポーツナビ】

 ワールドカップ(W杯)ロシア大会でベスト16入りを果たしたサッカー日本代表が5日に帰国し、成田市内のホテルで帰国会見を行った。

 西野朗監督は「選手23人が無事帰国し、重大なけがもなくクラブに戻ってもらえることにも安心しております」と、元技術委員長らしいコメントで会見をスタート。「結果は1つしか勝てませんでしたけれども、W杯での1ポイント、1ゴール、1プレーが本当に厳しい」と体感したW杯の厳しさを語りつつ、「必ず4年後に選手たちが成し遂げてくれる状態につなげた」と成果を挙げた。

 今大会限りで代表からの引退を表明した長谷部誠は、「空港で多くの方が出迎えてくださって、本当に選手冥利に尽きる」「それぞれチームは違えど、心の奥底にブラジルからロシアに向けての思いは共通してみんな持っていたと思います。その思いが今回のグループリーグ突破につながった」と、ブラジル大会の悔しさを糧に今大会に臨んでいた心境を明かした。

 代表引退については「この会見が終わったら、僕の日本代表としての活動は終わりになる。本当に喪失感というか、帰りの飛行機でも窓から景色を見て感傷に浸っていた。99%の満足感と1%の後悔。その1%を本当にこれからの人生につなげていきたい」と今後の抱負を語った。

田嶋「素晴らしい結果を残すことができた」

登壇者:
田嶋幸三(日本サッカー協会会長)
西野朗(サッカー日本代表監督)
長谷部誠

田嶋 あらためまして、お集まりいただきましてありがとうございます。23名の選手、浅野(拓磨)、井手口(陽介)、予選に関わったすべての選手。そして西野監督のもと、スタッフが集結して素晴らしい結果を残すことができたと思います。あらためて感謝申し上げます。選手たちを少年からJリーグに至るまで育ててくださったすべての関係者、そしてフットボールファミリーの皆さんに感謝申し上げたい。

 サポーティングカンパニーの皆さま、そして熱い応援をしてくださったファンの皆さま、報道してくださったメディアの皆さまに感謝したいと思います。また、「日本代表なんか嫌いだ」と、応援しないと言った皆さんが関心を持ってくださり、そういった方々にも感謝しなければいけないと思っています。

 サッカーを文化にしたいという気持ちで、私たちは活動に取り組んでいます。これは西野監督が技術委員長の時代から常に議論してきました。それが少しずつ形になって表れたのが今回の大会だと思っています。ポジティブな面、ネガティブな面といろいろあったと思いますが、すべてがサッカーを文化にすることにつながっていると思っています。

 残念ながらこのチームはここで解散となります。素晴らしい試合をしてくださった選手みんなに感謝し、それを支えてくれた家族にも感謝したいです。(解散は)残念なことですが、これは仕方のないことです。次に向けて、サッカー協会はまた新たなスタートを切りたいと思っています。

西野監督「本当に素晴らしいサッカーを披露してくれた」

西野監督は「必ず4年後に成し遂げてくれる状態につなげた」と成果を語る 【スポーツナビ】

西野 今日は通訳機がないので安心して話せます(笑)。W杯、途中で帰国となりましたが、チャーター機で帰らせていただき、非常に恐縮しております。選手23人が無事帰国し、重大なけがもなくクラブに戻ってもらえることにも安心しております。選手たちからは、「休みが少ないので、オフィシャルで休みを少し与えるように伝えてくれ」と言われておりますが、それは各クラブで調整していただければと思います(笑)。

 5月21日からW杯に向けて最終の調整に入り、監督として今日で46日目になりますが、活動させていただきました。選手たちはブラジルから4年、いろいろな思いを持ってロシアへ、日本サッカー界のために成長したい、そういう思いで入っていく中で、私にとっては46日同じピッチに立った活動でした。そして、その思いはまったく違いました。

 選手たちは非常に高い意欲でした。私も選手たちに何とかロシアで(結果を残してほしい)、という思いでしたが、選手たちの強い気持ちには到底勝つことはできませんでした。そんな中、前監督の財産に、今大会で自分たちにできることを探りながら、選手たちは本当に素晴らしいサッカーを披露してくれたと思います。

 結果は1つ(コロンビア戦)しか勝てませんでしたけれども、W杯での1ポイント、1ゴール、1プレーが本当に厳しいということは、私自身も初めての経験で、グループステージを突破すること、ノックアウトステージで勝ち上がることの厳しさを知らされました。そうした感覚を私自身が持ち合わせていなかった。選手たちは戦ってくれたと思います。

 携わっていただいたスタッフにも本当に感謝したいと思います。現場スタッフもそうですが、国内でオーストリアでロシアで、それぞれの環境でベストな状況を作ってくれたたくさんのスタッフに感謝したいと思います。日本で国民の皆さんがSAMURAI BLUE(サムライブルー)を後押ししてくださっているという思いを向こうで感じながら、戦っていました。

 本当に残念ながら途中で帰ることにはなりましたが、8年周期でベスト16をチャレンジして、この周期ではだめだと思います。次のカタールで間違いなくこのラウンド16を突破できる段階にはあると思うので、必ず4年後に選手たちが成し遂げてくれる状態につなげた、という成果だけは感じたいと思います。本当にこの場をお借りして、たくさんの方にお礼を申し上げなければいけないのですが、選手たちのこれからの活躍、躍進に期待したいと思います。

 メディアの皆さんも非常に厳しい意見や評価をしていただきましたが、それも大いに力になりました。これからも厳しい目でサムライブルーを見ていただきたいなと思います。本当にありがとうございました。

長谷部「この熱気を次の日本代表につなげていってほしい」

長谷部 こんにちは。選手を代表して、現地に足を運んでくださった方、日本で応援してくださった方、日本中の方々が応援してくださっている様子が選手たちの耳にも届いていました。今日も空港で多くの方が出迎えてくださって、本当に選手冥利に尽きると思います。

 大会前はあまり僕たちは期待されていなかったと思うんですけれど、無関心が個人的には一番怖いと思っています。このW杯で多くの皆さんの関心を集められたと思いますので、また引き続き日本のサッカー界、代表だけでなく、Jリーグや海外でプレーする選手、女子などいろいろなカテゴリーがありますけれど、日本サッカー界全体に関心を持っていただき、時に温かく、時に厳しいサポートをお願いしたいと思います。本当に素晴らしいサポートをありがとうございました。

――西野監督と長谷部選手、多くの方が成田空港で出迎えてくれたが今の率直な感想は?

西野 代表チームがこうやって日本に帰ってきます。それはサッカーだけでなく、個人競技もそうですが、成果を挙げた中で国民にその競技の素晴らしさをたくさんの方に与えられた。そういう選手たちを迎えてくれる瞬間というのは、他のスポーツを見ても感じるところですし、感動を与えられるものは他にはないなと思います。

 日本を出るときに、W杯でチャレンジして成果を挙げて戻れればああいう歓迎を受けられるんだろうなという思いもありましたし、そういう期待に必ず応えたいという思いでチャレンジしていました。ただ、たくさんの方に出迎えられましたが、十分に大きな成果を挙げてきたわけではないと思います。W杯の厳しさを皆さんもご存じの上で、こうやって迎えてくれたのだと思いますが、本当に最大に出し尽くした選手たちがロシアにあったと思います。結果だけではない戦いぶりが皆さんに伝わって、今日空港に来られただけではない多くの方に、何か伝えられたかなと思います。

 もっと高みの目標、日本サッカー界は50年に優勝するというのを目標に掲げているので、1ページか半ページくらいは何か次につながる、下のカテゴリーへの期待というのを示せた今回のチームを指揮したという気持ちがあります。素直に半分申し訳ないと思いながら、本当に今日を迎えたことに対してはありがたいと思いますし、感謝したいと思いますし、次への力と思いたいと思います。本当にうれしい限りです。

長谷部 選手として出発時に時間がありましたが、帰国した時にはたくさんの方に出迎えていただきうれしく思います。この熱気を次の日本代表につなげていってほしいなと思います。

――西野監督にとって、この46日間はどんなものだったか?

西野 準備期間も自分の役割も、短い中ではっきりしていました。まずは大きな財産があります。ブラジルの敗戦から選手やサッカー界が試行錯誤している中で、ロシアの切符を取った。その後も強化をし、ロシアへ向かっている。私はチームを客観的に見ていて、5月21日に選手に会った中で、今までのチーム力だけではロシアへ向かえないな、と素直に思いました。

 代表チームの選手たちの能力はそれぞれに非常に高いですし、培ってきたことプラス何か、この短い期間で足すことができれば対抗できるのではないかと、選手たちにアプローチをしてきました。選手たちが、まず私以上にプラスの部分を感じて、体制が変わった中でそういう力を見つけてきた。自分はそのサポートをしてきたという感じです。選手たちに危機感があったのかもしれないですし、まだやれることがあると感じながらピッチから始まった。選手たちの意欲は、さかのぼったら、ブラジルやその前からの思いを持って、選手たちがやってくれたと思います。

 ある種、賭けではあったし、リスクを負って進まなければいけないこともあった。そういう意欲の中で好転していった。がむしゃらにやっていた中で、選手たちに本当に引っ張られた。本当に素晴らしい選手たちだったと思います。

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