本田「すべてW杯のためにやってきた」 W杯ベルギー戦後、選手コメント
次のW杯を目指さないと明言した本田は、「優勝と言い続けるやつが次の代表を引っ張っていく」と後輩への期待を口にした 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】
試合後、本田圭佑は「自分がみんなをもう1個上のステージに連れていってあげたかった」と悔しさをにじませながらも、「ベルギーも勝利に値する戦いをしたし、僕らも最後まで自分たちの持っている最高のプレーに近いものを出せたとも思う」と振り返った。
また、自身の進退に関しては「これが僕自身にとって最後のW杯になる」と明言。「自分がずっと発言してきた優勝というものを、今日活躍した若い世代にしっかり引き継いでもらいたい」と後輩への期待を示しつつ、「小さいころから、すべてW杯のためにやってきた」「もう後悔したくない、言い残したことはないようにしようって伝えてきた」と悔いなく大会を終えたことを強調。代表引退の可能性を問われると、「現役のところとリンクしてくる」と慎重に考える姿勢を示した。
本田圭佑(パチューカ/メキシコ)
現実ですよね。これがW杯、僕自身にとって最後になるんですけれど……。正直、自分がみんなをもう1個上のステージに連れていってあげたかったなというのはあります。あそこ(2−2で迎えた後半アディショナルタイムのFK)で決められないのも僕の実力だし、受け入れないといけないというか。当然現実がこれなので、しっかり受け止めて……。自分がずっと発言してきた優勝というものを、今日活躍した若い世代にしっかり引き継いでもらいたい。
W杯に関しては、3度出させてもらって、このW杯に関しては途中出場での役割でしたけれど、まあやれることはやったと。ベストを尽くしたという思いはあります。ベルギーも勝利に値する戦いをしたし、僕らも最後まで自分たちの持っている最高のプレーに近いものを出せたとも思うし……。仲間には本当にありがとうと言いたいし、僕が同点で出るシチュエーションを想定していたのに、結果が出せなかったというところは本当になんか……この話はきりがないですね。
(最後のW杯と大会前から決めていた?)4年後はちょっと考えられないですね。そういうものじゃないし、自分のためだけのW杯にするなら、たぶん同じような役回りで出られる可能性はあるんですけれど、そういうことじゃないと思っているので。やっぱり、日本代表が大きく前に進んでいかないといけない。そういう次のミッションに、どういった形で僕が関わるか分からないですけれど……。
(次のモチベーションはどこに置く?)そこはちょっと整理したいなと思います。ただはっきり今、言えることはW杯に次はもう出ない、というのはここで言ってもいいのかなというくらい、ある程度、はっきりしているので。じゃあ自分が現役をどう続けていくのかとか、サッカーに今後どう携わっていくのかを含めて、そこはちょっと整理したいなと思っています。ここで中途半端に発言できないかなと思っています。
(例えば他のクラブに移籍して、そこでもう1回通用するか勝負する?)それが分からないですね。パチューカとの契約を1年にして、このW杯のためにやってきて、今はフリーという状況をあえて作っているので。これが終わってから、しっかりと考えて決断しようと考えていたので、もちろんいくつかオプションがある中で、自問自答しながら見つけていくものだと思っています。今回に限っては。
(この大会を持って代表引退?)それは現役のところとリンクしてくると思うんですけれど、4年後は見れない。それははっきりと言える。今、言えることはそれだけです。
あと、しっかりと伝えたいのは、まず仲間に感謝しているということです。本当に楽しかったし、6月13日の誕生日にみんなに祝ってもらって、その時にちょっとだけしゃべらせてもらったんですけれど、このW杯が終わった後に人生が終わるとしたら、どういう決断をしていくか。そのくらいのつもりで、終わるとしたらどれくらいの覚悟で、どういう意思決定で、どういうふうに取り組んで、どういう会話をみんなとしていくか、というつもりでこのW杯を過ごした、ということをみんなに話させてもらった。可能な限り、やれるだけやったつもりで、本当に選手のみんなが好きになったし、こんなに好きになれると思わなかったくらい好きになったんですよね。だからそういうふうな感じで今後も人生を歩めると、いろいろな人を好きなれるかなと思うくらいでした。
(好きになったとは何が?)いや分からないです。ただ、後悔したくないという思いが強かったです。設定としては、もう人生終わっちゃうので。もう後悔したくない、言い残したことはないようにしようって伝えてきたので、西野(朗)さんにもそうしてきたし、他の選手にもそうしてきた。かといって、やっぱりサッカーなので、勝つためにこの若手に過剰な情報を与えてはいけないと、言わないことも決めてきたし、それを踏まえての後悔しないように自分が決断してきたという時間だった。そんなふうにやってるうちに、そんな感情が芽生えてきたというのは新しい発見。それだけのW杯。自分が小さいころから、僕はこのためにやってきたんです。究極論、プロになるのも、ヨーロッパに移籍するのも、W杯のために、本当にW杯のためにやってきたから……。
(過去の2大会との違いを振り返って)立場と役割が変わったと思うし、サッカーも変わったし、スキルも能力も変わったし、選択肢が全然今と違う。景色が全然違いました。次の試合のブラジルのことも本当に想定していた。でもあの時(=過去2大会)はそうじゃなかった。でも次に進めないんですけれど、そういう全然違った景色がそこにあったのは事実です。でも、こういうことだと思うんですよね、上に進むチームというのは常に次を見据えている。日本代表は今、そのステージにようやくきたというところで、これを変えてはいけない。あとは、ベルギーから学ぶことも多かったと思うし、10年(南アフリカ大会)の時に「個が大事だ」と言ったと思うんですけれど、それは今後も日本サッカーに必要なものだと思います。
(8強には届かなかったが、プライドは示した?)僕の実力を出し切った、という意味では悔いはないです。ただ、優勝を目指してそれが果たせなかったということに関しては、この意思を次の若手に引き継いでもらいたい。まだ優勝ということを口にする若手がいないので。今日出て活躍した選手の誰かが、誰になんて言われようと優勝と言い続けるやつが、次の代表を引っ張っていくんだろうなと思います。今回のW杯に向けてそれにふさわしいやつを僕は何人か見つけているので、次頑張ってほしいです。
香川真司(ドルトムント/ドイツ)
今大会の結果を踏まえて「成功ではないが、やってきたことに誇りは感じる」と香川 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】
みんながチームのために日々を送っていました。だからこそ、この結果が生まれたと思います。チームワークであったりはあらためて僕たちの強みだと感じますし、そこは本当に誇りに思います。
(2−0というスコアは危険だが、海外では必ずしもそうではない。日本は試合運びの面でまだ足りない?)そうですね。最後の結果論なので、何とでも言えてしまうんですけれど、2−0になった時に試合のリズムを読み取る力であったり、そういうところの経験は本当に厳しいところでやらないと分からない部分はあります。2点差というのは、海外でやっていたら確実にゲームを終わらせられる状況ではあったので。そういうところは、僕たちはまだまだ経験が足りなかったのかなと。チームとしてはいい経験になったけれど、勝ちたかったですね。
(代表メンバーから外れた11月くらいの悔しさをどう消化してコンディションを上げてきた?)別に僕は11月は悔しくなかったです。悔しくなかったと言ったら変ですけれど、「絶対に6月のロシアに出る」ということしか考えていなかったので。だから別にそこ(11月)で外れても、「最終的に絶対俺は6月に出るんだ」という気持ちしかなかったですし、それが自分自身を支えてくれていた。外されてあらためて感じるものが本当にありました。だからこそ「もっとやってやる」という気持ちになれたのは事実なので。逆境であったり、そういうものに対する考え方であったり、厳しい状況に対して常に前向きに諦めずにやり続けることが本当に大切だなと感じています。
(次のW杯は目指すか?)正直、今は何とも言えないですね。ここで成功することを望んでいたので。そのために日々やってきたし。今の状況では考えられないし、何とも言えないですね。
(この結果は成功?)成功ではないですね。ただ、自分自身がやってきたことに対する誇りであったり、やってきた道は間違っていなかったなとすごく感じます。ただ、やっぱり勝ち切りたかった。勝ち切るチャンスがあったと思うので、それは非常に悔しい。ただ、自分がやってきたものに対する後悔であったり、やってきたものに疑いはなかった。自分を信じてやれたと、それはすごく感じています。
(10番の仕事ができた?)それは分からないです。みなさんが判断してください。ただ、10番って最終的に得点するか、アシストするかだと思うので。いくらいいプレーをしたとしても結局はそこで判断されるものなので、そういう意味では1得点は物足りないですし、最後の局面の個の力というものをもっと上げていかないといけない。今日の(エデン・)アザールもそうですけれど、ボールを持つたびに仕掛けていたし、そういう姿勢は常に持ち続けないと成長しないのかなと思います。常にそれをトライし続けないと、成長しないのかなと。
日本人はうまくバランスを取って、「チームのために」という言葉が前に出ますけれど、やっぱり結局はそういうところで個の力、自分自身を信じて出し切れるか。そこは僕自身もっともっとトライしていかないと(いけない)と痛感した。こうやってW杯に出て、ネイマールもそうですけれど、最後に取る力、最後まで自分の力を信じて出し切るメンタリティー。そういうものは本当に身に付けていかないと。チームプレーも大事ですけれど、最終的にそういうところでいかにリスクを背負えるか。それはなかなか難しいですし、厳しい環境でやり続けないととすごく実感しました。
(清々しい顔をしてるがやり切った?)まあ、メディアの前なので(苦笑)。
長谷部誠(フランクフルト/ドイツ)
長谷部は「手ごたえはあるが悔しさが上回る」とコメント 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】
あと一歩なのか、まだまだ何歩先をベルギーが行っているのかというのは難しいところではあります……。今日も守りに入らず、とにかくアグレッシブにどんどん攻めて、このチームを誇りに思います。ただ、こういう結果なので、もちろん足りなかったものがある。
個人的には1点目の失点のちょっと前のプレーで、自分たちがボールをキープしていて、自分のところでサイドにパスを出そうとしたときにちょうど真司に当たってしまって、そこからミスが続いて失点になってしまった。本当に小さなミスかもしれないけれど、そういうものがこういう舞台では大きく流れを変えることをあらためて痛感しています。
相手の1点目というのは、うちにとってはアンラッキーな部分があったかもしれない。でも、そこから相手は22番(ナセル・シャドリ)とか(マルアヌ・)フェライニとか、前に大きい選手を入れてきて、シンプルにクロスを上げてくる状況になって、かなり厳しい戦いになっていた。難しいですね。本当に簡単に振り返られるものではないです。まだまだ自分たちはベスト8にいく部分では、足りなかったのかなと思います。
(ベスト8の壁を超えていくためにはまだまだ実力不足?)手応えとしては、前半は厳しい時間が多かったですけれど、しっかり耐えて後半はかなりチャンスを作っていました。相手もディフェンスの部分ではけっこうルーズなところがあって、そういうところを突いて2−2になってからもチャンスがありました。そこの部分に関してはもちろん手応えがありますけれど、このような結果で終わって、手応えよりもやはり失望というか、悔しさが上回っています。