大きな失望に包まれたトロロッソ・ホンダ 3連戦のなか、立て直しは急務

F1速報

パーツの個体差によるトラブルか?

決勝スタート1周目にオコンと接触しリタイアに終わったガスリー 【Toro Rosso】

 フェラーリやマクラーレンなどは2年前、メルセデスAMGに至っては今年に入ってからピレリのタイヤテストで走行したことがあり、テスト内容はピレリが決めチーム側には伝えられないブラインドテストであるとはいえ、車載データロガーの走行データは残る。チームはそのデータを元にセットアップのシミュレーションを行なうこともできるのだ。それに比べれば、走行経験の無いトロロッソは不利だった。

 ガスリーはQ2から急にアンダーステアがキツくなり「本当に酷いラップだった」と無線では落胆をあらわにしていた。ストレートが伸びなかったのは初日からの症状だったが、それがラップタイムに繋がらなかったのはQ2になってからのことだった。つまり、ストレートを犠牲にして稼ぐはずのコーナーで、グリップ感がなくなり稼げなくなってしまったから競争力を失ってしまったのだ。

 それが風向きのせいだったのか、タイヤのウオームアップのせいだったのか、トロロッソは明確な答えが見付けられないまま決勝を迎え、ガスリーは1周目で事故に巻き込まれてリタイアし、ハートレーは最後尾グリッドスタートでギャンブル的な戦略も当たらず下位に沈んだ。

 シーズン序盤戦に苦しんだSTR13のマシンパッケージの理解不足によるセッティングの不備はすでに修正できているが、経験値のないサーキットに来たことで、これが再び露呈してしまった形だった。

 その一方で、ハートレーが最後尾スタートを強いられたのはパワーユニットのトラブルのためだ。カナダGPでガスリー車に起きたトラブルはMGU−H(熱エネルギー回生システム)だったが、今回はICE(内燃機関)だった。

 いずれも「昨年まで悩まされていた問題とは違うもの」「(スペック2の)アップデートに関わるところではない」と言い、ホンダ内では設計上の問題ではなくパーツの個体差によるトラブルだと考え、原因究明を急いでいる。

 田辺テクニカルディレクターは「だからこそ逆に厄介です」とも言う。すでに万全だと思われていた品質管理に再び疑問符が付き、そのどこに問題があるのかが判然としないからだ。

スペック2への評価は変わらず

 しかし、スペック2への評価が揺らいでいるわけではないことは強調しておくべきだろう。

「(アップデートの効果は)データ上で分かっていますから、そういう話にはなっていません。ダウンフォースとパワーのバランスをどう取るのか、今回の結果を参考に宿題を並べて課題を抽出して、今後のレースに対してどうすれば全体のパフォーマンスが上がるのかということを至急解析しなければなりません。そういう話はすでに決勝前からチーム内で話しています」

 3連戦で続くレッドブルリンクもシルバーストンも、パワーサーキットかつストレートとコーナーのバランスが難しいサーキットだ。早急に立て直してスペック2が投入されたSTR13のポテンシャルをフルに引き出さなければならない。そうでなければ、極めてタイトな中団グループの争いの中では簡単に下位に沈み、そこから抜け出せなくなってしまうだろう。

(テキスト:Mineoki Yoneya)

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