日本のスクラムは「200%進歩している」 “相思相愛”のジョージアに完勝
スクラム強国のジョージアを28対0で破る
31歳で日本代表初キャップを獲得したFL西川征克 【築田純】
6月の初戦はイタリアに34対17で快勝、2戦目もイタリアと対戦したが22対25と惜敗。日本を率いるジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)は、ジョージア戦に向けて、W杯を想定し「2戦終わって1勝1敗。この3戦目を決戦として捉えている」と言いつつ、「選手たちは強い精神力を持って乗り越えてくれるのか、やり返してくれるのかを見たい」とメンタル的な奮起にも期待を寄せた。
また2015年W杯で2勝を挙げ、昨年はアイルランド(世界ランキング2位)を6対13と追い込んだ、成長著しい「レロス」ことジョージアはスクラム強国として名高い。そのため、ジョセフHCが「ジョージアは伝統的に体が大きく、フィジカルでセットプレーに強みを見せる。今回だけでなく、他国は日本に対して体格差があるので、絶対にセットプレーで狙ってくるのがゆるぎない現実です。そこが常に我々のチャレンジになる」と意気込んでいた。
ジョージア代表HC「相互利益のあるいい関係」
FB野口竜司は安定したキック処理でチームに貢献した 【築田純】
日本は体の大きな、セットプレーから展開してくるようなチームと試合がしたかった。一方のジョージア(当時はグルジア表記)はスピードがあるチーム、ボールを展開してくるチームと戦いたかった。需要と供給がマッチし12年に対戦が実現。エディー体制1年目にアウェイで対戦し、セットプレーには苦しんだが、日本代表が25対22と僅差で勝利した。
14年もアウェイで対戦し、スクラムとモールで劣勢となり24対35で敗戦。さらに15年W杯直前に対戦し13対10で勝利、スクラム、モールで大きな自信をつけて、南アフリカ代表撃破の快進撃につながった。またジョセフHCが就任した直後の16年11月にも対戦し、キックをうまく使ったアタックで28対22と逆転勝利し、新しい日本の形を見せた。
セットプレーの安定、激しいディフェンスで優位に
激しく当たってくるジョージアを相手に、日本は鋭いタックルで前に出た 【斉藤健仁】
リーチ マイケル主将も「ジョージアは今まで対戦した中でフィジカルが一番で、スクラムやモールといったセットプレーで自分たちがどれくらい成長できたかがわかる」と腕をぶしていた。
ジョージアの先発FW8人は、サンウルブズのHOジャバ・ブレグバゼを筆頭に全員がフランスやイングランドなどでプレーする国外組で、ジョセフHCは激しい肉弾戦に備えて、控えFWを5人ではなく、6人にして挑んだ。
日本はジョージア戦を通じてセットプレーを成長させてきた歴史があり、今回の試合もセットプレーが勝負の鍵を握ることは自明だった。雨の中、日本代表がノックオンをすればスクラムとなり、そこで反則を犯し、エリアを取られ、ゴール前でモールからトライを許す悪循環にだけは陥りたくなかった。
前半から日本はプレーを切るタッチキックではなく、コンテスト(相手と競る)キックを使って、「ボールインプレー」を増やそうと臨んだ。一方のジョージアは雨の試合ということで、キックでエリアを取ることを主眼に置き、セットプレーを増やし、自分たちの土俵に引きずり込もうとしていた。
試合は徐々に日本のペースに。大きかったのはスクラム、ラインアウトともにマイボールをキープすることができたことと、雨の影響を受けて単調になったジョージアを前に出るディフェンスで倒し、タックル後のボール争奪戦に入るスピードでも勝つことができたことだ。SO田村優、FB野口竜司がPGを決めて9対0で前半を折り返す。