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熱戦中のスーパーGT、基礎の基礎を紹介
〜決勝レースの緊迫を楽しもう〜
ローリングスタートでレース開始!
ローリングスタートでレース開始!【(C)GTA】

 国内でもっとも観客動員を集めるモータースポーツ、それがスーパーGTです。今シーズンは2009年のF1世界チャンピオン、ジェンソン・バトンがフル参戦し一層注目が高まっています。シーズンは全8戦で争われ、ここまで序盤の3戦が終了。これから勝負の中盤、終盤に向けて、スーパーGTの基礎をおさらいしましょう。今回は決勝を楽しむためのあれこれを紹介します。

スーパーGTはローリングスタート!

 レースのスタートには、スタンディングとローリングと2種類の方法があって、スタンディングスタートの場合、グリッドを離れた後にマーシャルカーの先導で1周して、またグリッドに停止します。


 スーパーGTが採用するローリングスタートは、マーシャルカーの先導までは一緒ですが、グリッドに停止せず、そのまま駆け抜けてレースが始まるというもの。レース開始の合図はレッドシグナルの点灯。ただし、コントロールラインを超えるまでは追い越しは禁止され、もしわずかでも前に出てしまえば、ピットロードを停止することなく通過するドライビングスルーというペナルティが課せられます。通常は全開で駆け抜けるストレートの脇を時速80キロで走らなくてはならないため、ロスは少なくありません。


 2018年からは、フォーメーションラップ後半の極端な加減速が禁止され、ストレートでの2列縦隊をしっかり維持することが義務づけられました。これはスタート時の必要以上の駆け引きを禁じることで、レースの安全性、公正性を保とうという配慮でもあります。


 ちなみに、原則としてフォーメーションラップは1周。ただし、ウエットコンディションだったり、温度が低過ぎたりした時はタイヤやブレーキを温めるために、もう1周加えられることもあります。また、最近では県警の白バイとパトカーの先導によるパレードランが、フォーメーションラップの前に加えられることも増えています。

どこでどう抜くか、抜かれるかにも注目

 GT500とGT300では明らかな速度差がありますから、何度も何度もオーバーテイクシーンが見られます。ただ、問題はGT500が、どこでGT300を抜いていくか。最も理想的なのはストレートです。


 GT300が走行ラインを走ったまま、GT500の方がビュンっと抜いて行ってくれるので、お互いロスはほとんどありません。とはいえ、そういつも好都合ではないわけで……。GT300にしてみれば、GT500のバトルを、そうそう邪魔するわけにはいきません。できればコーナリング中にはGT500と遭遇したくないので、その手前であえてスピードを緩めて、抜いてもらう車両も見られます。


 特に富士の後半区間、通称セクター3では勘弁してほしい……とGT300のドライバーは誰もが思っています。峠道のような、コース幅の狭いコーナーが続くからです。

ライトのパッシングが意味するところ

 後ろから来る車両が、前を走る車両へライトをパッシング、つまり点滅を繰り返している光景はよく見られるものです。これが意味するのは、存在のアピール。「後ろから来ているよ〜」という注意喚起で、決して威嚇ではありません。いや、たまにはあるかな? 予選でしたら、アタックをやめてスロー走行している車両に対して、「こっちはまだアタック中なので、ライン譲って」というアピールになり、決勝中であれば「今バトルしている最中だから、邪魔しないでね」というアピールになります。


 ちなみに、このパッシング、以前はスイッチを押せば、自動的に点滅を繰り返しましたが、不敬行為と思われかねないということで禁止になりました。でも、今でも見られるということは、ドライバーがそのつどピッピッピっと押しているんでしょう。もちろんスーパーGTの場合はウィンカーレバーではなく、スイッチですが。また、抜かれる方がウィンカーを点灯させている光景も稀に見られますが、これは「点灯させる方に進路を移しますから」という意思表示でもあります。

レース戦略はチームごとさまざま

 ピットイン義務のないスプリントレースであれば、求められるのは最初から最後まで、ひたすら速く走り続けることですが、スーパーGTのように長い距離を走り、ピットイン義務があると、ことはそう単純ではありません。そこで戦略を立てなくてはなりませんが、セオリーは存在せず。チームごとさまざま、としか言いようがありません。まず、ひとりのドライバーが全体の3分の2の周回を超える乗車は禁止されています。ということは、もうひとりは3分の1以上走らなくてはならないと。例えば、スタート時に柔らかいタイヤを履いたとします。ガソリンも最小限積にすれば、序盤のうちにハイピッチで逃げることも可能で、3分の1の周回を超えたら、間も無くピットに入るのが効果的です。もちろん、その逆もあり。ただ、早めに入っても、その後でセーフティカーでも出ようなら、一気に差は縮まってしまうので、まさに戦略の幅を広げるため、特に燃料的にはそう極端にはしない傾向もありますが。


 また、ふたりのドライバーにスピード差がある場合、速い方のドライバーがスタートを担当して逃げ、マージンをもうひとりのドライバーに与えて、それを少しずつ失っても、最後までポジションを守るという戦略もあります。ともあれ、さまざまなんです。

ピットインに関して

 通常の300キロレースであれば、1回は義務づけられているレース中のピットイン。その間にドライバー交代や給油、タイヤ交換、そしてドライバー用のドリンクボトル、クールスーツに詰められる氷の交換などが行われます。そのタイミングもそうですが、どれだけ素早く作業するかは、結果を大きく左右します。ドライバーがいくらコースを速く走ってマージンを作っても、ピットでのミスでタイムロスをしてしまえば、元も子もありません。


 ちなみに、給油中にはドライバー交代を除く、一切の作業が禁止です。さらにタイヤ交換に当たれるメカニックはふたりまで。給油とタイヤ交換が別々に行われているのは、そういうところに理由があります。素早くコースに送り出すため、しっかり燃費を計算してチェッカーまでギリギリ走れる量だけ給油する。タイヤ交換も、ホイールが金属の塊で、あれだけ太くて大きいから、けっこう重いんですね。一連の作業を素早く行うため、トレーニングを欠かさないメカニックも少なくありません。ピットレーンも速く走りたいところですが、こればかりは速度制限があるので……。これはピットレーンリミッターの作動で、一定速度を保ってくれます。

タイヤ無交換は究極のレース戦略?

 素早いピット作業も好結果を生む要素ですが、ならばということで時に敢行されるのがタイヤ無交換です。セオリーどおり4本タイヤを交換したケースと、無交換のケースとでは、10秒ほどのマージンを生み出すこともあります。ならば、「みんな、やればいいじゃない」と思うのは早計です。無交換が可能なのは、その前提であるタイヤだということ。そしてタイヤをいたわって走る、いわゆるタイヤマネジメントがしっかりできるドライバーのコンビでないと……。


 ここ、特に重要です。トップドライバーはある意味、速く走ることには自信があります。それと、自分がいちばん速いとも。だからこそ、あえて抑えて走るのは不安でもありますし、さらに相方をどれだけ信じられるか。「こんなに我慢して走ったのに……」ということも起こり得るわけですから。また、無交換ほど極端でない、2本交換という戦略もあります。右回りのコーナーが多いサーキットでは内輪差の関係上、負担の大きい左側のタイヤ2本だけ、あるいは駆動輪2本だけというケースもあります。

ドライバーを冷やせ!

 スーパーGTに限らず、市販車によるレースのほとんどで窓は閉められています。なぜかというと、開けていれば風が入り、それによって空気の流れが乱れてしまうから。せっかく、あれこれ工夫してエアロダイナミクスを研ぎ澄ませても、そこで乱流が生じたら速く走れません。せいぜい申し訳程度のスライド式開口部があるぐらい。


 でも大量の熱発源であるエンジンを積んでいるので、コクピット内はすごく暑いんです。そんな環境に長時間いたら、ドライバーがへたばってしまうので、当然導風用のダクトが窓以外のところから引かれます。それでも十分じゃないので、クールスーツを装着。これはクーラーボックスの中に氷を入れて、モーターで冷水を循環させる装置で、アンダーシャツのまわりにパイプを備えて、ドライバーを直に冷却します。


 またレギュレーションでも推奨され、近年増えているのがエアコンです。と言ってもコクピット全体を冷やすのではなく、シートやヘルメットに冷たい空気を送り込むというもの。これだと軽量コンパクトな装置で済みますし、パワーロスも最小限で済みますからね。

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