西野監督「勝ち切りたかった」 W杯ロシア大会、セネガル戦後の会見
2−2で引き分けたセネガル戦後、会見に臨んだ西野監督 【Getty Images】
日本は前半11分、サディオ・マネに先制ゴールを許したが、34分に乾貴士のゴールで追いつき、1−1で試合を折り返す。後半26分にはムサ・ワゲに決められ再びリードされたものの、33分に途中出場の本田圭佑が3大会連続となるゴールを決めてスコアをタイとした。
試合後、西野朗監督は「2度追いついたという意味で、粘り強く戦えた」とチームを評価した。一方で、本田、岡崎慎司、宇佐美貴史と後半に3枚の攻撃的な交代カードを切った意図を「勝ち切りたい。追いついて引き離したい」という思いからだったと説明し、ドローに終わったことに対する悔しさもにじませた。
決勝トーナメント進出を懸けた日本のグループリーグ最終戦は28日、ボルゴグラードでのポーランド戦となる。
交代カードは「ベストな切り方でした」
タフなゲームを想定していたし、事実そういう内容、結果になってしまった。2度追いついたという意味で、粘り強く戦えたと思います。そう簡単に勝てる相手でもない中、先制されてからのゲーム展開は落ち着いて入れたし、自分たちの狙いはリードされてからの組み立てしかり、中盤の構成しかり、ある程度は(バランスが)とれた。それが追いついた(要因になったと思う)。ドローにならなくても、自分たちの時間を作れたというところで、このリズム、このテンポ、この戦い方ということを、失点してから(選手は)感じたと思います。
ハーフタイムを迎えて、選手たちは非常に自信に満ちていました。ボールをしっかり動かせる、チャンスも作れている中で、非常にポジティブな(気持ちでいた)。さらに、こういう改善、こういう(ボールの)もらい方、こういうケアの仕方、というのを考えて後半に入っていったと。自分自身は、勝ち切らないといけないと、第1戦と同じようなメッセージを(出した)。
具体的には、ポジショニングをしっかりとる中で、グラウンダーのボールの動きを増やしていけば、またチャンスは巡ってくる(と伝えた)。このあたりに関しては、勝ち切りたい後半で(突いていきたいと)考えていました。2度追いついた中で、最後は宇佐美か、あるいは抑えの選手を投入する選択肢があったのですが、勝ちにいくという選択をしました。その上での勝ち点1なので、高く評価したいと思います。セネガルが非常にタフなチームで、次につながる内容、結果と受け止めなければいけないと思います。
──セネガルに勝ちにいくなかで、2度追いつき、3枚の交代カードを切った。選手にはどんなメッセージを送ったのか。また、どういう意図があってあのタイミングでの交代だったのか?
(途中出場した本田、岡崎、宇佐美は)3人ともオフェンシブな選手であることは間違いない。あとはタイミングの問題で、自分の中ではベストな切り方でした。3人ともオフェンシブな、得点を取りにいく(意図で投入した)。圭佑に関しては、ポジションをセンター(トップ下)からサイドに移しました。そういう中で(攻撃の)多様性をしっかり出して、圭佑がああいう結果を出した。
先ほど言いましたけれど、宇佐美はあの時間(後半42分の投入)で、また違うカードを考えていました。ただ、やはり勝ち切りたい。追いついて引き離したいということで、ワンチャンス(で決める力)が貴史にはありますし、その思いで出しました。タイミングについては、スタートのメンバーがリズムよくやっていましたし、後半の半ばにも自分たちの時間帯ができましたので、ピッチにオフェンシブなメッセージを最後まで送り続けたいという狙いがありました。
フィジカルへの対応を選手たちが覚えた
西野監督はオフェンシブな選手を3人途中投入して「勝ちにいく選択」をした 【Getty Images】
そう簡単に(いかない)。グループステージを2試合で抜けるのは、最高レベルの目標設定でありますし。初戦を取ったということで、2戦目へのアグレッシブさ、ゲームに対する執着心、勝ち点3に執着して戦う。これは3戦目を残さずにやれるチャンスでもありますし、そういう中で今日の試合を捉えていました。最後まで勝ち切って(勝ち点を)6ポイントにしたいと。
それはかないませんでしたが、(3戦目は)敗者復活ではないですし、3試合目に向けて間違いなく有効な結果だと思います。勝ち切れるということをもたらしたゲームと考えたいし、(3戦目は)敗者復活のゲームではなく、しっかりトップで通過できる状況がまだあるゲームと考えたいと思います。
──今日は大迫勇也がしっかりとポストプレーからチャンスを作っていた。体格で上回る相手に対して、しっかりビルドアップやチャンスを作っていたということでは得るものがあったのではないか。また、攻撃的な姿勢を含めて、監督が目指す日本のスタイルが、具体的に見えてきたのではないか?
まさにそのとおりだと思います(笑)。やはりスピードとパワー、キックオフでボールが半回転した時点で、彼らのフィジカルの強さと速さというものは感じました。開始10分くらいは、あの長友(佑都)でもなかなか(相手を)つかまえられない。並走していても振り切られてしまうようなことがある。ウチの左サイドでもこういう形になるのであれば、いろいろなところで、スピードで負けてしまう局面が出てしまう。
ただ、そのあとに修正ができて、確かにやられるんだけれど、そこで粘って寄せていくとか、完全に彼らの強さを出させない。(柴崎)岳にしてもハセ(長谷部誠)にしても、苦しいタイミングであったり、アプローチのアングルが少し悪くても、身体をくっつけて自由にさせない。慣れてきたのもあるんですが、徐々に距離感だとか、そういう対応を覚えてきたことで、リードされても好転していった。コンタクトやボールスピードに徐々に慣れる時間帯があったので、これは好転してくという感じはありました。
そういう感覚の中で得点を挙げることができた。ある程度、フィジカルが強い“個”への対応は、「こうすれば抑えられる」というのを選手が覚えたと思います。徐々に日本の選手たちの方が走れるようになっていたし、ボールも動かせていた。よって勝ち切りたいというのは、(感情として)当然起こるものだと思います。
マネへの対応は悪くなかった
今もここに来る前に、その局面の話をしていたくらいです。難しい対応ではなかったと思いますし、ああいう判断をしたのは残念ではありました。ただ、そのあとのリカバーは(できていて)、しっかりと修正してピンチも救いました。間違いなく彼(川島永嗣)も悔やんでいると思います。(ミスが)連続してというところはあるんですが、トータル的に考えれば、というところ。やはり、しっかり分析しないといけないと思いますね。
──昨日はマネを抑えると言っていたが、成功したと思うか?(海外メディア)
彼を抑えるのはもちろん大事なことです。それに関しては酒井宏樹がある程度抑えて、彼のトップパフォーマンスを引き出させなかった。ただ彼によって周りの選手の躍動感が出てくる。そこを警戒していたので、そういう意味で前半の序盤はやはり少し自由に彼を中心に動かされてしまったかなと。彼自身への対応は悪くなかったと思います。
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