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セネガル戦に向け、日本に必要な修正は?
戸田和幸が感じたコロンビア戦の疑問点

3バックに対する守備の仕方

右サイドの原口は、この試合で両チーム最多のスプリント数を記録した
右サイドの原口は、この試合で両チーム最多のスプリント数を記録した【Getty Images】

 この後ろが3枚になってからのコロンビアのビルドアップに対する日本の守備に、僕は疑問を感じました。3バックに対する守備は2トップ+サイドハーフという考え方と、この試合で考えると大迫と香川を縦関係にして、香川がC・サンチェスをマークし大迫・乾・原口の3人で3バックに対峙するという方法があります。


 日本がパラグアイ戦で、アンカーのリチャル・オルティスが下りて3バックを形成した時に行った守備は、コロンビア戦と同じく4−4−2で対峙してサイドハーフの乾と武藤がハーフポジションを取りながら2トップの追い方に合わせて外側へ出させたボールへアプローチし、後ろも連動してスモールフィールドを作って回収するというものでした。


 試合開始直後の1分30秒を過ぎたところでの守備のズレにどれだけの意味があるのか。この点については意見が分かれるかもしれませんが、縦関係を作ったレルマからパスを受けたC・サンチェスに対し、後ろから長谷部誠がしっかりとアプローチします。長谷部の守備を後ろから受け、前を向くことができなかったC・サンチェスは、左CBのムリージョへやや後ろ方向への横パスを出します。


「2トップ+サイドハーフ」という考え方で見ると、この横パスに対しては原口がアプローチすることになります。実際に原口はスプリントに近い走りでムリージョへ寄せていきました。


 そこで、ムリージョから左SBのモヒカ、同サイドの一番近くの選手にパスが出ます。日本からすれば「出させた」はずのパスが完全にフリーで渡ってしまい、どこにでもパスが出せる状況でハーフラインを越えるところまでボールを運ばれてしまいました。


 2トップになった大迫・香川の立ち方と、ハーフポジションを取り、開いたD・サンチェスと高めの位置を取った右SBのサンティアゴ・アリアスへの2つのパスコースを消していた乾のポジション取り。そこに加えて長谷部はC・サンチェスに対して1つ前のエリアまで出ていき、前を向かせない守備をしました。


 そうなると次は日本の右サイド、原口と酒井宏樹が担当するエリアにボールが移動してくるというのは、彼らのレベルであれば十分に予測できると考えています。しかし実際はムリージョに対する原口のアプローチに酒井宏が続くことはなく、2人の間におそらく25メートルはあったと思われる大きな空間が生まれてしまった。その大きなスペースで左利きのSBであるモヒカにパスがつながってしまい、フリーでハーフラインを越えさせてしまう場面を作ってしまいました。


 この時の原口はかなり内側のポジションを取ったところから守備をスタートさせています。そのスタートポジションにどのくらい明確な狙いがあったかは明言できませんが、ハーフスペースを消してムリージョからはモヒカにしかパスが「出せない」角度でスプリントして寄せていっています。


 確かにC・サンチェスからムリージョへのパスは斜め後方へのものだったので、原口からムリージョへの距離は若干遠かったと思います。ですが、その前の局面では長谷部がC・サンチェスに対して後ろから寄せてふたをしてくれた瞬間に、次の展開は十中八九予測できるはずです。

ベースとなる守備戦術、ゲームプランの再確認を

左が酒井宏、右が原口のプレーエリア。日本の右サイドを2人でカバー
左が酒井宏、右が原口のプレーエリア。日本の右サイドを2人でカバー【データ提供:データスタジアム】

 原口自身は両チーム最多、ダントツのスプリント数(56回、2位は乾の48回)を記録し、勝利のために本当によく走ってくれました。だからこそ、スタートポジションは正しかったとして、長谷部が前を向かせない守備を見せた時にもう少し早くムリージョへ狙いを定めて動き出していれば、さらに効果的な守備となっていたのは間違いありません。


 効果的な守備になったというだけでなく、この後すぐに退場者が出たことで確認できずに終わったサイドでの守備における前後の関係性については、次の相手、セネガルにはサイドに飛び抜けたアタッカーがいるということ、試合の中で3−4−3に変えてくる可能性が十分にあるチームだということからも、しっかりと確認をしておきたいところです。


 日本の右サイドには、原口、酒井宏に酒井高徳、武藤と走力に優れた選手が前後にそろっています。だからこそ、前後のタイミングを合わせつつ、攻守に積極的にスプリントを行うことで、彼らの能力は足し算ではなく掛け算となってより効果を発揮し、対戦相手にとってはさらに厄介な存在になると確信しています。


 モヒカにボールが渡ったこの場面、結果的にはイスキエルドとファルカオの動き出しがなかったため、モヒカから日本DFの背後にパスが出ることはありませんでした。1列目と2列目の守備に連動する3列目という意味では、誘導したはずの場所に日本の選手が誰もいないという現象が見られた。ということは、ベースとなる守備戦術、ゲームプランに明確さと繊細さが足りなかったのではないかという守備に見えました。


 試合の中で攻守がうまく機能しないときは当たり前にあることですので、この場面だけを見て日本の守備戦術が、という言い方はもちろんできません。しかしながら、最重要と言われるW杯初戦、いざ相手ボールを奪いにいくというフェーズで起きた連動性の欠如は、自らのポジションを捨てて相手にアタックする分、連動できないと相手に大きなスペースを与えることにつながるので、次戦に向けてのチェックポイントとしてはしっかりと頭に入れておきたいところです。


 実は、快勝したパラグアイ戦の検証記事にも書きましたが、同じような問題が逆サイドの乾と酒井高の間で起こっていました。前線の選手たちが巧みなポジション取りから相手のビルドアップを制限し、誘導したところに後ろの選手たちも連動できるかどうか。ショートカウンターにつながる守備を目指すのであれば、この点についてはもう一度、しっかりと確認してもらいたいところです。

失点につながった場面の問題点

セネガル戦までに修正し、前後の選手でタイミングを合わせることができるか
セネガル戦までに修正し、前後の選手でタイミングを合わせることができるか【Getty Images】

 次はキンテーロの素晴らしいFKによって同点に追いつかれた場面。この失点は、日本のミドルゾーンでの中途半端な「守備」から始まったものでした。1人少ないコロンビアがハーフライン手前でビルドアップし、D・サンチェスからムリージョへとパスがつながります。このパスをフリーで受けたムリージョから、左SBのモヒカへと展開されました。


 この時の日本の守備のスタート位置や前線の2人の立ち方には問題がなかったと思います。しかし大迫と香川の相手2CBに対する距離は若干遠く、またCBからCBへの横パスが出たものの、ムリージョに対して大迫は積極的な守備を行わなかったため、内側へのパスコースを消しながら外へ追い出す守備とはならずに、モヒカへとパスがつながりました。


 少し様子を見たような前線の守備によって、ムリージョから内側へ入ったイスキエルドへの縦パスのコースを消し切ることができず、結果としてモヒカに対する原口の寄せが一瞬遅れています。パスが出た後から原口はある程度の強度でアプローチしたものの、テクニックに優れたモヒカに巧みにカットインされ、ファルカオに縦パスが入ります。吉田麻也が後ろから対応するも、自陣の半分辺りまで入り込まれたエリアでファウルをしてしまいます。


 そのFK、キンテーロが蹴ったボールは何とかクリアでスローインへと逃げることができたものの、そこからのスローインでファルカオにペナルティーエリア内へと飛び込まれ、危うい場面を作られます。そして、そのクリアボールを再びゴール前へと運ばれたところで長友佑都のクリアが真上に上がってしまい、ファルカオと長谷部がぶつかってしまう形でFKを与えます。ここから敵ながらあっぱれという見事なFKをキンテーロに決められてしまいました。


 1人多い状況にあった日本の方が中途半端に下がってしまい、CBのD・サンチェスとムリージョに対してファーストディフェンダーを決めることを怠ったのが最初のFKにつながり、結果的に同点ゴールを奪われるところまで相手の攻撃が続くことになってしまいました。


 1人多い状況であれば、前掛かりになり過ぎないようにスペースの管理をしながら、特に両CBに対しては「一度持たせておいて」強くアプローチしていけば、もっと楽に、効果的に相手の攻撃を制限しつつボールを回収できます。そういった場面は、この失点につながった場面以外にもいくつもあったように感じました。


 ファルカオのような選手に一度ボールが渡ってしまえば、簡単には奪えないのと同時に、FKを与えてしまうことも十分に想定できたはずです。この場面では、数的優位な状況を効果的に活用して相手の攻撃を制限できず、自陣の半分近くまでボールを運ばせてしまいました。


 次戦のセネガルにはサイドにとんでもない“化け物”がいます。前線からの守備が効果的に機能しつつも、いかにサイドに構える化け物を窮屈な状況に追いやれるかが肝になります。日本が退場前後の両方において、守備にズレがあったことは事実です。セネガル戦ではより連動した、効果的で強い守備を見せてもらえることを期待しています。

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