まさかの愚行も…全米OPで何が起きたのか 松山英樹も苦戦、問われる主催者の責任

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優等生ミケルソンの“愚行”

3日目のホールアウト後、13番ホールでの出来事ついて報道陣に説明するミケルソン 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】

 13番のパー4。前代未聞の出来事が世界中を驚かせた。予選通過を果たして上位をうかがったフィル・ミケルソン(米国)が、およそプロゴルファーとは思えない行動に出たのだ。アプローチミスから4オン。ボギーパットを放ったが、カップをすり抜け下り傾斜を転がり落ちようとしたとき、何を思ったか、まだ動いているボールをカップめがけて打ってしまったのだ。

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「2ペナルティになることは知っていた。あのままだと行ったり来たりでホールアウトできないと思った。ペナルティを受けてもホールアウトしたかった。以前から機会があればやろうと思っていた。ルールを利用した戦略だった」

 このミケルソンの発言は波紋を呼んだ。米国を代表する英雄で、優等生のミケルソンが、「故意」に放ったストロークと認めたのだ。風が強くフェアウェイに行かない。グリーンにも止まらない。パットも思わぬ転がりを見せてカップに入る気配がない。そんなストレスから、「頭に血が上って、ついやってしまった」ならまだ分かる。それが「意図的にやった」と発言。これにより、コース内外、インターネットでもミケルソンの「愚行」に批判が集中した。

 コース上は確かにひどい状態だった。結果的にミケルソンは罰打をくらって終わったが、苦行の末に出てしまった怒りのストロークだったとしたら、ミケルソンの行動にも説明がつく。それほど難しいコンディションだった。そのままでは事態が収拾しないと見た3日目終了後、USGAは前出の緊急弁明会見を開いたのだ。

「またしても予報より風が吹いてしまった。最終日のスタート前までにできるだけコースのスピードを遅くして、緩める努力をする」

最悪を想定したコース作りこそ主催者の務め

最終日に備え水がまかれ、コースは“素晴らしさ”を取り戻した 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】

 土曜の夜から水をまき、日曜の早朝から再びコースを湿らせた。そのかいもあって、最終日は松山の「66」などアンダーパーが増加。午後組までコースコンディションが変わることなく、一見何事もなかったかのように4日間の戦いを終えた。「最高のコースだから、楽しみにしている」とリッキー・ファウラー(米国)も話していたように、コース自体は世界を代表するものだが、その素晴らしさをようやく表現できたのが最終日となれば、それはコースに対しても失礼な話だ。

「グリーンがきれいだったので、転がりもきれいだった」とは、最終日に「66」をマークした松山の言葉。多くの選手が「攻めていけるピン位置だったし、グリーンの状態は良くなった」と苦笑いを見せたが、1週間を通して、これだけコンディションが変わるメジャー大会はめったにあることではない。

 国のナンバーワン大会のナショナルオープンで起こった大騒動。自然相手のゴルフだからこそ起きる事態と言えばそれまでだが、最悪を想定してコースコンディションを作り上げるのも主催側としては最低限の務めだ。優勝したブルックス・ケプカ(米国)は「全員同じコースでプレーしているから何も言うことはない」と大人の対応を見せたが、選手を困惑させるような戦いの場を提供してしまったUSGAには、大いに改善を求めたい。

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