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過酷な全米オープンゴルフの“変化”
松山英樹のメジャー制覇に追い風なるか

かつては「4日間でイーブンパー前後の戦い」

全米オープンに臨む松山英樹。初のメジャー制覇に期待がかかる
全米オープンに臨む松山英樹。初のメジャー制覇に期待がかかる【Getty Images】

 第118回ゴルフ全米オープンがいよいよ開幕する。日本から出場するのは松山英樹、小平智、秋吉翔太、星野陸也の4人。全員20代とフレッシュなメンバーがそろった。タイガー・ウッズ(米国)も3年ぶりに出場。本大会を復活への足がかりとしたいところだろう。マスターズ、全英オープン、全米プロゴルフ選手権をすでに制覇し、本大会で優勝を飾れば生涯グランドスラムを達成するフィル・ミケルソン(米国)も2年ぶりに参戦するなど、見どころは満載だ。


 世界一過酷な戦いと言われてきた全米オープン。ゴルフの4大メジャーの中でも、特に難コースが舞台とされてきた。毎年異なる米国の名門コースを舞台に開催されるのが本大会の大きな特徴。「4日間でイーブンパー前後の戦い」、「選手を苦しめるのが全米オープン」とされてきた全米オープンだが、近年はその傾向が崩れてきている。そして、その変化こそが、松山のメジャー制覇には欠かせない要素となってきた。


 全米オープンといえば、各ホールが林にセパレートされ、フェアウェイが狭く、とにかく深いラフが選手を苦しめてきた。ラフに入れば1打のペナルティが自動的に科されるようなものであり、“世界一過酷”なメジャーと呼ばれてきた。過去5年の開催コースを見ると、2013年のメリオンゴルフクラブ(ペンシルベニア州)は古き良き趣を残した林間コースだったが、翌14年からはイメージが一変し、変化が見られる。

2014年以降はアグレッシブさが優勝の鍵

14年大会で完全優勝を果たしたマーティン・カイマー。この年から“変化”が始まった
14年大会で完全優勝を果たしたマーティン・カイマー。この年から“変化”が始まった【写真:ロイター/アフロ】

 全米オープン初となる“深いラフがない”コースでの開催となった14年大会。会場となったパインハーストNO.2コース(ノースカロライナ州)で開催された大会では、コース内の木々を整理し、深いラフは松葉を敷き詰めたエリアに変わった。この変化は、選手の攻略法をも変えてしまった。我慢して“パーをキープする”戦いから、“バーディを奪う”戦いへと変貌したのだ。優勝したマーティン・カイマー(ドイツ)は、予選2日間で5アンダーを並べて一気に抜け出すと、そのリードを守り切り、トータル9アンダーでフィニッシュ。一度も首位の座に並ばれることなく完全優勝を果たした。


 西海岸のワシントン州に新しく完成したばかりのチェンバーズ・ベイを舞台に行われた15年大会。コース内に木は1本。湾沿いに面したコースは、リンクスの姿を思わせるものとなった。見晴らしのいいコースには砂丘、フェスキュー(細く長い芝)といった英国、スコットランド特有の障害物が点在。フェアウェイも広くとられ、クラシカルな趣は一切排除された。優勝したジョーダン・スピース(米国)は、4日間で18のバーディを奪取。攻撃一辺倒のゴルフで栄冠を勝ち取った。

松山(左)は昨年の全米オープンで猛追を見せ、自身メジャー最高の2位タイに入った
松山(左)は昨年の全米オープンで猛追を見せ、自身メジャー最高の2位タイに入った【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】

 オークモントCC(ペンシルベニア州)で行われた16年大会は、久しぶりの我慢比べとなったが、圧倒的飛距離でコースをねじ伏せる攻撃スタイルのダスティン・ジョンソン(米国)がメジャー初制覇を果たした。17年は、さらに大きな動きが大会を襲う。会場はウィスコンシン州のエリンヒルズで、近年よく見かけるリンクススタイルが大きな特長。ラフの恐怖がないなか、ジャスティン・トーマス(米国)が3日目にメジャーレコードタイ「63」をマークするなど、ビッグスコアが連発。大会はバーディ合戦となった。トータル16アンダーで優勝したのはブルックス・ケプカ(米国)だが、2日目に「65」、最終日に「66」の猛追を見せて2位タイに入った松山の活躍も圧巻だった。


 ジョンソン、ケプカはツアー屈指の飛距離を誇り、スピースは完璧なパッティングでバーディを量産。彼らに共通するのは、決して守りに入らずアグレッシブさを失わないことだ。そういう観点から見ると、松山にも大いにチャンスありと見てもよさそうだ。今季は左手親指付け根のケガもあってツアー離脱から調子が上がらずにいたが、2週前のザ・メモリアルトーナメントでは、初日に「65」をたたき出し首位スタート。2日目以降は足踏みしたものの、上位争いを演じている。

松山は初日を乗り切り爆発を

得意のショットでバーディ量産を狙いたい
得意のショットでバーディ量産を狙いたい【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】

 さらに松山の活躍を後押しするデータとして、バーディ数が多いのも好材料だ。前述の通り、今季はようやくスタートラインに立った形だが、昨年のラウンドあたりの平均バーディ数は4.29で米ツアー3位を誇る。耐える力より、攻撃性が必要とされる近年の全米オープンでは、このバーディ数は大きな魅力。昨年大会のような爆発力を発揮する可能性は十分にある。


 ひとつ気になるのが、初日の出遅れだ。全米オープンに限らず、メジャーでは初日のスコアが言うまでもなく大きなポイント。松山は予選落ちを喫した16年には「74」で4オーバー、昨年も「74」で2オーバーと、出遅れが目立つ。バーディを取る力があるからこそ、この初日を乗り切れば、さらに勢いに乗ることも可能だ。


 今年の舞台・シネコックヒルズゴルフクラブ(ニューヨーク州)は、前回04年に開催されたときよりもフェアウェイ幅が1.5倍ほども広がっているという。そのぶん、グリーン周辺の難易度が高く、松山自身も「ショットがカギ」と、グリーンを狙うショットの精度が好スコアを生み出すのは必然だ。ショットメーカーとして米ツアーでもその地位を築いている松山にとっては、バーディ量産に向けて絶好の舞台と言っても過言ではない。


【松山英樹・全米オープン成績】

2013年 10位タイ(+7、71、75、74、67)

2014年 35位タイ(+8、69、71、74、74)

2015年 18位タイ(+3、70、71、72、70)

2016年 予選落ち(+12、74、78)

2017年 2位タイ(-12、74、65、71、66)

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