中日の新たな希望・藤嶋健人 高卒2年目右腕が持つエースの素養

ベースボール・タイムズ

緊急“お助けマン”でプロ初勝利

6月17日の西武戦、松坂の代役として急きょ先発のマウンドに立ち、プロ初勝利を手にした藤嶋 【写真は共同】

 そのアナウンスに落胆したと同時に、期待の感情もこみ上げてきた。

 6月17日の埼玉西武戦。先発予定だった松坂大輔が試合前の投球練習中に背中の痙攣(けいれん)を訴えて登板を緊急回避。予期せぬ事態に白羽の矢が立ったのは、今季すでに3試合で4イニング以上のロングリリーフをこなしてきた藤嶋健人だった。

 プロ初となる先発のマウンドは、いきなり連打を浴びて無死一、二塁のピンチを背負う幕開け。迎えるは“山賊打線”のクリーンアップ。だが、この状況も約1カ月前に20歳を迎えたばかりの高卒2年目右腕に怯えはない。浅村栄斗から見逃し三振を奪うと、山川穂高と栗山巧は空振り三振。どのバッターにも臆することなくストライクゾーンに投げ込んで無失点で切り抜けると、そのまま6回まで投げて9安打1四球2失点。味方打線の援護もあり、試合開始の15分前に告げられたという緊急登板から記念すべきプロ初勝利を飾った。

 その“お助けマン”ぶりは、10日前にも発揮した。6月7日の千葉ロッテ戦で、5点のビハインドの3回から2番手としてマウンドに立ち、軽快なリズムでスコアボードに「0」を並べて6回までの4イニングを無失点に抑えて球場の雰囲気を変えると、3回には自らのプロ初安打から1点を返して反撃開始(4回の2打席目も四球)。野手陣の奮起を呼び起こし、今季初のサヨナラ勝ちにつなげて見せた。

1年目の昨季はプロで戦う土台作り

 藤嶋の球歴に触れておこう。愛知の名門・東邦高で1年生の夏からベンチ入りを果たし、主将を務めた3年時は春夏連続で甲子園に出場。エース兼4番として臨んだ夏の大会、初戦・北陸高戦で1本塁打1三塁打2二塁打の「サイクル超え」を記録すると、大会終了後のU−18アジア選手権では先発したインドネシア戦で参考記録ながら5回完全試合を達成。秋のドラフトでは、「高校BIG4」と称された同学年の寺島成輝(東京ヤクルト)や藤平尚真(東北楽天)、高橋昂也(広島)、今井達也(西武)が上位指名を受ける中、5位で地元・中日に入団した。

 プロ1年目の昨季は、2軍のウエスタン・リーグで5試合に登板し、0勝1敗、防御率6.75。お世辞にも華々しい成績とは言えなかったが、「試合数はそれほど投げられなかったのですが、しっかりと練習をこなせたことで体力面の成長を感じました。それは今に生きているなと思います」と藤嶋自身はプロで戦う土台作りができたという手応えがあった。

 2年目の今季も開幕を2軍で迎えた。1軍の出場選手登録に初めて名前が公示されたのは4月28日。小笠原道大2軍監督から心強い言葉で送り出された。

「『よそ行きのピッチングはするなよ!』と。2軍でやっていたことを変えずに、ということですね。2軍でも1軍でもやることは一緒、ピッチングを変えたりするなよという意味だと思います」

 昇格した当日の横浜DeNA戦でプロ初登板。1回無安打無失点デビューを決めると、その後も敗戦処理が主ながら6月17日終了までの成績は11試合で1勝0敗、防御率1.91の好成績を収めている。

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著者プロフィール

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プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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