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“勝って当然”の菊野戦を戦うT-98
「敬意を持って厳しさを思い知らせる」
8日の後楽園ホール大会で、“求道者”菊野克紀と戦う“ムエタイゴリラ”T-98
8日の後楽園ホール大会で、“求道者”菊野克紀と戦う“ムエタイゴリラ”T-98【スポーツナビ】

 キックボクシングイベント「KNOCK OUT 2018 SURVIVAL DAYS」が8日、東京・後楽園ホールで開催される。


「KING OF KNOCK OUT初代フライ級王座決定トーナメント1回戦」が2試合、「スーパーライト級王座決定トーナメント準決勝」が2試合組まれ、全6試合となる今大会。中でも異色のカードとなったのが、第3試合の70キロ契約3分5ラウンド、“ムエタイゴリラ”T-98 vs.“求道者”菊野克紀のワンマッチだ。


 2016年6月にムエタイの最高峰ラジャダムナンスタジアムで王座を獲得したT-98。日本人としては史上5人目の王者となると、同年10月にはラジャダムナンスタジアムでの防衛戦に勝利し、これは日本人史上初の同所での防衛となった。


 そんなT-98にとってキックボクシング初参戦となる菊野との戦いはどんな意味を持ち、どんな心持ちで試合に臨むのか。今回は試合を目前に控えた“ムエタイゴリラ”T-98に話を聞いた。

自分のスタイルで戦っていく

「普通にキックボクシングをしたら僕の方が強い」と話すT-98だが、何を出してくるか分からない菊野を警戒もしている
「普通にキックボクシングをしたら僕の方が強い」と話すT-98だが、何を出してくるか分からない菊野を警戒もしている【写真:中原義史】

――いよいよ菊野選手との一戦が目前に迫ってきましたが、この試合は決定後、反響が大きかったのではないですか?


 大きかったですね。ちょうどセコンドで中国に行っていたのですが、その飛行機に乗っている間に発表されていて、降りて携帯を見たらめっちゃツイートがスゴくて。やっぱり菊野選手は有名だから反響がありました。


――ムエタイの殿堂、タイのラジャダムナンスタジアムで王者となり、70キロでは国内最強の呼び声もあるT-98選手に対し、菊野選手は今回がキックボクシングの試合は初めてとなります。


 会う人みんなに「余裕でしょ」みたいに言われるんですけど、でもキックは初めてだけど格闘家としては僕よりベテラン。僕が出た時からもうチャンピオンだったので。もちろん勝たなくちゃいけないのは当たり前なんですけど、そういう意味では舐めているつもりは全然ないです。


――菊野選手はキックの試合をこれまでやってきていないので、ベースとする沖縄拳法空手であったり、得体の知れない怖さ、不気味さはないですか?


 普通にキックボクシングをしたら僕の方が強いのですが、もちろん向こうはキックボクシングをしてこないで戦ってくると思うので、僕もそこは相手どうこうではなく、いつも通り僕のスタイルでやれば、自分のペースで試合が進められると思います。


 僕もキャリア10年以上やっていて、「こいつにはコレ」「これで行くか」みたいにいろいろ引き出しがあります。その中から自分ができるものを使って、試合前にタイ人のトレーナーと対策をしたり、試合中に自分の中でひらめいてやったりする感覚です。「ただ前に出て何も考えてないだろ」みたいに思われるかもしれないですけど(苦笑)、自分の中では結構、冷静に戦えていると思います。

部位鍛錬で全身凶器化!?

部位鍛錬で“武器化”している拳やスネ。対戦相手を動揺させるほどだ
部位鍛錬で“武器化”している拳やスネ。対戦相手を動揺させるほどだ【写真:中原義史】

――またT-98選手は通常のキックボクシングの練習のほか、拳やスネを極限まで鍛えて武器化する、武術家・倉本成春先生の下にも通い稽古をされているそうですね。


 はい、もう7、8年ですかね。今回の試合も倉本先生が来てくれるんです。元々、何回も拳を骨折していて、それをどうしようかと悩んでいたのですが、先輩が倉本先生の所へ通っていたので、僕も紹介してもらって行くようになりました。今は部位鍛錬をメインにやっています。


――もう長く通っている訳ですが、その成果のほどはいかがですか?


 拳は硬くなりました。もうまったく折れないし、不安もないです。以前は打つと折れてしまうから、ずっと右手なしで試合をしていました。チャンピオンになる前ですけど、折れないように右手なしで、左手とキックと首相撲でやっていました。でも、通い出して以降は折っていません。あと、僕は足も部位鍛錬をやっているんですが、4月に試合をした宮越(宗一郎)選手が、「足が硬い」「ヤバかった」と言っていたのを人づてに聞きました。普通、相手の膝を蹴ったら痛くてその後はあまり蹴れなくなると思うのですが、僕は相手の膝を蹴っても平気なんです。これは倉本先生もそうなんですけど、逆に「膝を壊しに行け」と。だから最初から膝を蹴るつもりで行けば別に怖くないんです。金属バットだったら別にどこへ当てても痛くないですけど、そんなイメージです。


――では鍛え上げた結果、全身が凶器化しているというか。


 そうやって鍛えていると、試合が終わった後もあまりダメージが残らないんです。だから試合の後で僕がすぐミットを蹴ったりしていると、後輩がビックリしています。


――昨年は年間9試合とハイペースで試合をこなしましたが、それが可能なのはそうした理由もあったのですね。


 全然平気です。僕は普通に試合が終わった後でも走れます。倉本先生は膝を蹴ったり、カットして逆に相手の足を折ったりするので、だから相手はもうどこか当たっても痛いと思います。

海外の“猛獣”と戦っていきたい

日本では敵なしの階級だが、海外には“猛獣”のような選手も多い。その強敵たちと戦っていきたいと話す
日本では敵なしの階級だが、海外には“猛獣”のような選手も多い。その強敵たちと戦っていきたいと話す【スポーツナビ】

――今回はキックボクシングにおける実績を考えると、やはりT-98選手の圧勝が期待される一戦です。


 正直、僕にメリットは何もないし、勝って当然なのでその辺はやり辛いです。向こうはもちろん勝つつもりで来ると思うのですが、「勝ったらスゴい」みたいな感じじゃないですか? でも僕は負けられないのでその辺がやり辛いですけど、でも最近、日本人とやる場合はそういう試合ばかりなので、さすがにそういうのも慣れてきました。チャンピオンになってからの気持ちの持って行き方とか、そういうのはキャリアでどうにかなるので、僕は僕らしく、もう気にしないで戦います。


――たしかにT-98選手は最高峰であるタイのラジャダムナンスタジアムでも王者になっていますし、そういう立場での試合が多いですね。


 外国人とだったら挑む気持ちでいるんですけど、日本人とやる場合は今回みたいな感じなので、だから僕は僕の仕事をするだけです。


――KNOCK OUTでは昨年のライト級に続き、現在スーパーライト級、そして今大会からフライ級もスタートとトーナメントが盛り上がりを見せています。自分の階級でもトーナメントをやってほしいという気持ちはありますか?


 ありますね。海外はヤバいのがいっぱいいて、クンルンファイト(中国)とかにもエグいのが集まってくるんです。だからそこら辺をKNOCK OUTが呼んでくれたら面白いと思います。それで見た目のヤバい奴らを僕が倒していくっていう。見た目のスゴいのだったら一般の人が見ても面白いじゃないですか。もう、アイツら見た目がエグいんです(苦笑)。去年1DAYの4人トーナメントをやったことがあるんですけど、そこにセドリック・マヌーフっていうメルヴィン・マヌーフの甥っ子が出ていて、見た目がヤバかったです(苦笑)。もう試合前からすごいピリピリしていて、でもそういう奴らが来たら一般の人にも伝わると思うので面白いと思います。そういう猛獣とやりたいです。


――70キロトーナメントが開催されれば中心はT-98選手になると思いますが、まずはその前に控える今回の菊野戦へ向けての意気込みをお願いします。


 キックのキャリアとしては僕の方が上なんですけど、格闘家の先輩としてリスペクトはしているので、そのリスペクトはありますけど、敬意を持ってキックの厳しさを思い知らせてあげようと思います。

長谷川亮

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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