着実な成長を見せるトロロッソ・ホンダ パワーユニットのアップデートに期待

F1速報

リスク覚悟の戦略でミスを挽回

トロロッソはモナコでマシンのポテンシャルを引き出すことに成功した 【Red Bull Racing】

 ホンダの田辺テクニカルディレクターはこう打ち明ける。

「なんとかQ3にいければいいやというようなレベルのクルマでもなかったんです。タラレバでいうと、セクターベストを足すといいところに行きますし、そこまでの計算は成り立たないとしてももう少し上には行けたはずですし、なんとかQ3に進んで10番手よりももうちょっと上を狙っていたんです」

 予選11位のニコ・ヒュルケンベルグがウルトラソフト〜ハイパーソフトという戦略で8位まで浮上してきたように、5周も走った中古のハイパーソフトでスタートしなければならないガスリーは実際には厳しい状況での決勝だった。しかし上位勢が20周弱でピットインして目の前のトラックポジションを取りに行ったのに対し、ガスリー陣営は大きくポジションを失うリスクを覚悟の上でステイアウトし、タイヤをできるだけ長く保たせる戦略に出た。

 巧みなドライビングでタイヤを37周も保たせ、ハイパーソフトでハイペースで走行し続けることでセルジオ・ペレスとカルロス・サインツをアンダーカットし、フェルナンド・アロンソより18周若いタイヤで背後に迫り、彼のトラブルで3つポジションを上げた。

 チームはマシンを最高の状態に仕上げ、ガスリーは最高のタイヤマネージメントで予選でのミスを挽回してみせたのだ。ブレーキングはロックさせないよう慎重に、ステアリングはできるだけスムーズに、立ち上がりのスロットルはジェントルにと気を遣いながらのドライビングだったという。

PUのアップデートに期待

「予選ではフォース・インディアやマクラーレン、ルノーがかなりの接戦だったし、全員が0.1秒以内にひしめいているような状態だった。レース序盤では僕は速かったし、僕らのペースが良くてポテンシャルが高かったことは間違いないよ。マシンをうまく機能させられればペースがいいことは分かったんだ。今日だって6番グリッドからスタートしていれば確実に6位でフィニッシュする速さがあった」

「でも10番グリッドからスタートして7位でフィニッシュできたんだから、今日はこれ以上多くのドアを開けることはできなくても仕方ないよ。とにかくレースで7位争いをするのは12位や13位を争うよりも格段にエキサイティングだよ。僕自身もまだまだ毎戦学習していっている段階だし、マシンのフィーリングもどんどん気持ち良く走れるようになってきている。今後ももっと頻繁にこういうポジションが争えればと思うよ」

 モナコはストレートと回り込むような高速コーナーがなく、STR13向きのサーキットだったということも確かにある。しかしトロロッソ・ホンダがバーレーンGP以来久々にマシンパッケージのポテンシャルをフルに引き出すことができたことも事実だ。予選のミスを挽回するだけの実力があったことも大きかった。

「ここ数戦調子が悪かったですが、その原因を解析することによって全体像が見えてきて、ドライバーもエンジニアも、今回のタイヤマネージメントもそうですし、いろいろなことが見えてきたというところです。今日はレース全体の流れの中でマシンのポテンシャルをしっかりと表現してくれたと思います」(田辺テクニカルディレクター)

 トロロッソ・ホンダは着実に成長している。次のカナダはストレートが長いだけに楽な戦いにはならないだろうが、ドライバーたちは0.5秒分にもなるパワーユニットのアップデートに期待を寄せている。シケインやヘアピンなど低速コーナーからの立ち上がりもSTR13が得意とするところであり、パワーが追い付いてくればトロロッソ・ホンダはカナダGPでも好走を見せてくれるかもしれない。

(テキスト: Mineoki Yoneya)

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