イチローが選手登録を外れてから1カ月 来季を視野に、変わらず妥協なく

丹羽政善

来季はメジャー契約の可能性

来年4月、東京での開幕戦でイチローのプレーを見ることはできるのか? 【Getty Images】

 カイナー-ファレファの質問に話を戻すと、やはり今季中の復帰は、無理だという。

 マリナーズはイチローの処遇を話し合っているとき、9月にロースターが拡大するタイミングで復帰させられるかどうか、大リーグ機構に問い合わせた。

 その回答はしかし、「ノー」。一度フロントオフィスに入った人間を、シーズン中に復帰させることはできず、今回のような不測の事態が重なったとしても、例外は認められないようだ。

 ただし、シーズンが終われば、その限りではなくなる。つまり、イチローはフリーエージェントになることができる。

 その場合の再契約に関して、マリナーズは否定せず、来年は東京で開幕戦が行われることもあり、ジェリー・ディポトGMも「その可能性は高い」と話している。

 また、再契約をする以上は、マイナー契約ではなくメジャー契約を結ぶ見込み。マリナーズはその点でも、今回同様に最大限の敬意を示すとみられている。

 だが、その先は競争。キャンプ、4月で結果を残せなければ、今年と同じような展開になりうる。

 もっともイチローは早くもそこに備え、5月3日の会見では「これが最後ではない、ということをお伝えする日」と言い切ったが、こう続けている。

「それ(再契約の可能性)があることで、遠いですけど、目標を持っていられるっていうのは、大きなことです」

 これまでと変わらず、妥協のない過ごし方を見ている限り、すでに来季が視界に入っている。

「ということは、来季はプレーしている姿が見られるということ?」とカイナー-ファレファ。

 会見から1カ月。当初、ブランクのことも含めて懐疑的だった人もいたはずだが、もはや「イチローなら」と、そのことを疑う人はいないかもしれない。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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