ゴルフ国内男子が試みるファン層拡大策 SNSアンバサダーなど新たな試みに注目!

北村収
 今年から石川遼が選手会長となった国内男子ゴルフツアー。様々な新しい試みが実施されている。その一つが31日に開幕する「日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ Shishido Hills」で実施されるSNSアンバサダー制度だ。

SNSアンバサダーが情報を発信

選手会長の石川遼を中心に、数々のファンサービスが実施されている 【写真:Haruhiko Otsuka/アフロ】

 大会まで1カ月を切った5月7日、日本ゴルフツアー機構(以下「JGTO」)の青木功会長がSNS上で多くのフォロワーを抱える10名の“ゴルフ女子”を、SNSアンバサダーに任命した。SNS上で影響力のあるいわゆる“インフルエンサー”を活用してイベントなどを盛り上げていくマーケティング手法は、他の分野では珍しくないがゴルフトーナメントでは前例がない。JGTO広報担当部長・田中謙治氏は「若い人やゴルフをやっていない人にゴルフトーナメントに興味をもってもらいたい」とその狙いを話す。「効果は出ていて、JGTOのインスタグラムのフォロワーが増大しています」(田中氏)。新たなファンづくりに早くも効果が出ているようだ。

青木会長(中央)とSNSアンバサダーのメンバー 【写真提供:JGTO】

 さらに大会前の5月21日、大会の特別協賛社が運営するゴルフスタジオの「ヒルズゴルフアカデミー」にてファンミーティグを開催。出水田大二郎プロと香妻陣一朗プロ、SNSアンバサダー10人が登場するイベントに、SNSを通じて募集した一般のファン約30名が参加した。

 冒頭はトークショー。ファンからは恋愛に関する質問が飛び出すなど、トーナメント会場では見られないリラックスした雰囲気で開催された。さらに「ヒルズゴルフアカデミー」ならではの、最新の弾道解析センサーやアジアに一つしかないパッティングシステム(編注:パッティングスピードと曲がりを可視化した練習機器)を用いて、ドラコンゲームやパターゲームを実施。参加者の中には「トーナメントよりも近くで、プロの豪快なショットが見られるだけでなく、動画撮影もできて感動です!」と興奮気味に話す方も。当日の模様はインスタグラムでライブ配信やSNSアンバサダーの投稿を通じて、参加できなかった方にも伝えられた。

ファンミーティングには出水田大二郎(赤のウェア)と香妻陣一朗(青のウェア)が登場し、ファンとの交流を深めた 【北村収】

 ファンミーティングの最後には、香妻プロが「優勝できるように頑張る!」、出水田プロが、「是非、会場に足を運んで欲しい」などと挨拶。終了後もサインや写真撮影など、プロとの交流やさらにはSNSアンバサダーとの交流を参加者の皆さんは最後まで楽しんでいた。なお、大会期間中、会場にてSNSアンバサダーを見つけてくれた先着200名様にJGTOチップマーカーがプレゼントされるという。合言葉は「森ビルカップに来たよ」だ。

楽しめる大会に 進行中のファンサービス改革

 さらに国内男子ツアーでは今年から、大会オリジナルピンフラッグを購入すると選手が優先的にサインをしてくれる取り組みや、ラウンド終了後にギャラリーの前で実施される公開ヒーローインタビューなど、ファンと選手の交流を深める企画を実施しており、本大会でも行われる。また、昨年も大好評だったチャリティをした人を対象に選手と写真が撮れるチャリティフォトを今年も実施。さらに、クラブハウス近辺のフォトエリアでの写真撮影や、練習場での動画撮影は今年もOKだ。

 将来のゴルフファン醸成を狙う企画もある。1番ティ、18番グリーン、練習場などでキッズ専用の観戦エリアを設置。また、ジュニアゴルファーを対象にプロとロープ内約1メートル以内を同行観戦してもらう「オナラリーオブザーバー」も実施。ジュニア向けの取組が充実している本大会は、家族での観戦がおすすめだ。

ドライビングレンジではスマホでの動画撮影も可能だ(写真は2017年大会のもの) 【北村収】

 大会公式サイトのインタビューで、「世界ランク上位選手が多数いる魅力的なツアーにしたい!」などとツアー活性化に向けての抱負や、ギャラリーがより楽しめるための大会づくりなどについても熱く語ってくれた石川遼。実力と人気を兼ね備えた選手会長のもと今年日本男子ツアーがどのように面白くなるのか。そして様々な活性化策を実施中のなかで開催される、今年のツアープロNo1を決める戦いはどのようになるのか注目だ。
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著者プロフィール

1968年東京都生まれ。法律関係の出版社を経て、1996年にゴルフ雑誌アルバ(ALBA)編集部に配属。2000年アルバ編集チーフに就任。2003年ゴルフダイジェスト・オンラインに入社し、同年メディア部門のゼネラルマネージャーに。在職中に日本ゴルフトーナメント振興協会のメディア委員を務める。2011年4月に独立し、同年6月に(株)ナインバリューズを起業。紙、Web、ソーシャルメディアなどのさまざまな媒体で、ゴルフ編集者兼ゴルフwebディレクターとしての仕事に従事している。

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