男子セブンズ岩渕HCが語る五輪への覚悟  「ラグビーの今後50年が決まってくる」

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提供:(公財)日本ラグビーフットボール協会

第2部の質疑応答では、多くの質問が寄せられた 【スポーツナビ】

 休憩を挟んで行われた第2部では質疑応答が行われ、多くの質問が寄せられた。

ワールドシリーズの日本開催は「ぜひやりたい」

――今後、ワールドシリーズを日本で行う予定はあるか。

 ぜひ、やりたいですね。いろいろな課題はありますが、ワールドシリーズ自体の見直しが来年にありますので、可能性がないとは言えないと思います。

――国内でセブンズに特化したリーグを作るのは難しいのか。

 日本のラグビーはどうしても15人制の文化の上に成り立っています。東京(五輪)の先を考えると、そういうこと(7人制に特化したリーグの設立)を考えなくてはいけないということで、実際にラグビー協会の中でも議論はしています。

――トップ4のチームと日本チームとの違いを挙げてほしい。

 かなり多くの違いがあります。簡単に言いますと、ボールのキープ力とスピードと、1対1の強さ。まあ、全部なんですけれど(笑)。かなり差があるのが現状です。

――15人制でプレーしている選手を7人制に呼ぶときの「殺し文句」のようなものはあるか。

 15人制と7人制の大きな違いは、7人制は五輪競技なので、他の五輪競技の選手たちとの交流も多くあります。ラグビー以外の世界を知ることで、15人制・7人制関係なく、プレーヤーとして世界を広げることができます。

――企業に属しない選手のバックアップを協会はどのように考えているのか。

 林が今年の4月からラグビー協会との契約になりましたが、7人制にとっては非常に前向きなステップだと思っています。多くの選手が中学や高校で15人制をやる傾向にありますが、7人制を目指す選手たちが新しく出てきてくれて、7人制に特化してプレーするというのは、ラグビー選手の1つのオプションとして、大きいことだと思います。7人制に専念してプレーする選手たちが日本代表であり続けて、五輪で活躍できるようになってほしいと思います。

 女子はけっこう多いんですが、チームを持たない企業に所属してプレーするケースもあります。男子も五輪やその先を考えると、そういう選手たちが出てくるというのは良い方向なのではないかと思っています。協会でも、そういった企業を探すサポートをしています。

選手育成、強化のため「セブンズアカデミー」を開催

女子のセブンズアカデミーの様子。7人制が五輪の種目に決まる前から開催されている 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

――セブンズでも、トップリーグや大学選手権のような大会はできないか。

 先ほどのセブンズに特化したリーグという話もそうですが、実は五輪競技で日本一を決める大会がないというのは、おそらくラグビーだけなんですね。ジャパンセブンズが一応、その役割を担っているんですけれど、より明確に「日本一を目指す」という大会に変えていかなくてはいけない。今、そういった形に変えていこうと動いています。

――企業や大学チームに対して、ここは理解してほしいと思うところはあるか。

 セブンズにかなり選手を出してもらっているので、本当に前向きに協力してもらっていると思っています。逆に国内リーグの時期とワールドシリーズの時期の問題があるので、ここはやはり企業や大学に「理解をしてください」というよりは、協会として強化できるよう考える必要があると思っています。

 15人制の文化に頼らない強化の方法を考えなければ、24年のパリ五輪は厳しくなってくると思います。(20年の)五輪は東京で行われるということで、非常に協力をいただいていますが、それが東京じゃなくなったときに協力してもらえないとなると困りますので、その先を考えたうえで進めなければいけないと思います。

――高校、大学くらいからセブンズに適する人材を見つけ出して、新生・セブンズを育成するプログラムのようなものはあるか。

 実は7人制が五輪の種目に決まる前から、「セブンズアカデミー」を開催しています。中高生の男女の選手たちを集めて強化をしていて、例えば、福岡(堅樹/パナソニックワイルドナイツ)はその第1期生です。そういう意味では、アカデミーに参加してくれた選手が五輪に出場したということで、1つ形にはなったと思います。

 今日まで、福島県のいわき市にはサモアの高校生の選手が来ていました。彼らは日本のアカデミーの選手たちとゲームをしたり、練習をしました。高校や中学の選手は、セブンズだけに専念するとか、15人制をやるとかは決められないので、能力の高い中高生に来てもらって、15人制のW杯、7人制の五輪どちらもでプレーしてくれるというのが一番後々につながると思います。そういうことを考えながら進めています。

 今年の10月にはユース五輪があります。アジアで1位になった日本は、男女共に大会への出場権を獲得しました。ユース五輪というのは通常の五輪と違って、(日本からの出場は)ボール競技で男女それぞれ1つずつというルールがあります。ラグビーは男女両方出場権を獲得しましたが、他のボール競技も出場権を獲得した場合は、どの競技が出場するかという話がなされたうえで出場が決まります。今回もまだ出場できるかは決まっていないのですが、男女とも出場できればいいと思っています。

あなたにとってラグビーとは?

岩渕氏にとってラグビーとはどういう存在なのだろうか 【スポーツナビ】

「未来を形作るもの」でしょうか。僕はラグビーをずっとやってきたので、ラグビーを通じて日本そして世界の明るい未来を皆さんに見てもらいたいとずっと思っています。今の自分にとってはラグビーとはそんな存在ですね。

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