史上最速169キロから8年、未だ健在 チャプマンが語る速球王のプライド
「速球は“ギフト”なんだ」
大きな故障もなく世界最速の男であり続けているチャップマン 【Getty Images】
これほどの速い球をどうやって維持し、なぜ故障もせずに投げ続けられるのか。そんな身も蓋もない問いを本人にぶつけると、答えはシンプルだった
「フォームを固めたり、向上するための手段はたくさんある。ただ、速球に関しては結局のところは“ギフト”だと思う。速球派のピッチャーというのは、調子が悪かったり、多少フォームが崩れたりしても、同じように速い球が投げられるものなんだ。自分が重要な才能に恵まれたことには感謝しているよ」
“ギフト(贈り物)”という言葉は、チャプマンのように常識を超えた選手を表現するのに適切な言葉なのだろう。160キロ台の速球を連発しても大きな故障を経験せず、30代になっても衰えを見せない剛腕。今季も奪三振率(奪三振数/対戦打者数)は48%と高く、14年の52.5%に次ぐ自己2位のペースだというのだからもう誰にも文句は言わせない。
チャップマン自身もファンも、その速球をまだまだ楽しみにしている 【Getty Images】
「僕にも別の形でアジャストメントを進めなければいけない日がいつかくるのだろうね。ただ、少なくとも今はまだ気分良く投げられている。投球スタイルを変える日がそれほど近いうちに来ないことを願っているよ(笑)」
“いずれ変化球に依存するピッチャーになる自分が想像できるか”と聞くと、チャプマンは悪戯っぽい笑顔を浮かべてそう答えた。この点に関しても、ファンも同じ思いかもしれない。すでにギネスブックにまで名を残した“キューバン・ミサイル”。30代後半になっても、いつまでも、ときに100マイルを投げ込み、スピード違反の真っ直ぐで飛ばしまくって欲しいものである。