1993年 Jリーグが誕生した日<後編> シリーズ 証言でつづる「Jリーグ25周年」
「5.15」に立ち会った2人にとっての四半世紀とは?
あれから四半世紀が過ぎた今でも、Jリーグのスタジアムで『J'S THEME』は流れている 【(C)J.LEAGUE】
「やっぱり、インストゥルメンタルにしたのが良かったのかもしれないですね。歌詞が付くと、どうしても意味が限定されてしまうし、何年か経つと古びたものに感じられることもありますから。音作りにしても、この仕事を30年以上やっていると『わー、こんなのあったよねー』みたいな感じになることって、たくさんあります(苦笑)。もちろん、流行(はや)りのアレンジはあるんですが、やっぱり曲作りというのは、その時、その時で全力を尽くさなければならない。その気持ちは今も変わらないです」
一方、Jリーグと博報堂との関係は、21世紀になって以降もしばらく続いた。大野自身、93年から08年までの15年にわたって、Jリーグの担当を続けている。しかし部署が変わって6年後の14年、Jリーグはマーケティング事業契約を博報堂から電通に切り替える決定を下す。現在50歳となった大野は、25年前の社内の熱量をこう総括する。
「当時はいい意味で、破天荒でしたね(笑)。上司も割と寛容で『まあ、やってみろ』という感じでした。だからこそ、あれだけの情熱を注ぐことができたし、四半世紀が経った今でもJリーグは『博報堂のスポーツビジネスのモデルケース』として紹介されるんですよね。それくらい、わが社の歴史に残るプロジェクトだったと思っています」
93年に10クラブでスタートして、現在では54クラブにまで増加したJリーグ。われわれの生活圏から身近な存在となったことで、逆に開幕当時の豪華絢爛(けんらん)なイメージから遠ざかってしまった感は否めない。今から25年前、開幕セレモニーでスポットライトを浴びながら華麗なギター演奏を披露した春畑は、現在のJリーグをどう見ているのだろうか。『J'S THEME』の作曲者が語ってくれたのは、Jリーグファンには、ちょっとうれしくなるようなエピソードであった。
「この間、J2の町田ゼルビアの試合に初めて行ったんです。クラブ役員の何人かが、僕の高校の先輩だったのでうれしかったですね。それに、自分が生まれ育った地元にJリーグのクラブがあると、やっぱり応援したい気持ちになりますよ。25年前、川淵さんがおっしゃっていた通りになったんだなと、試合を観ながら思いましたね」
<この稿、了。文中敬称略>
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2018年5月15日先行配信
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『J'S THEME 〜Thanks 25th Anniversary〜』
2018年8月22日発売予定
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