【UFC】アマンダ・ヌネス最強女王の証明へ ベウフォートが万感の引退マッチ
ブラジル・リオデジャネイロで開催される「UFC 224」のメインではUFC女子バンタム級タイトルマッチとして、王者アマンダ・ヌネスと挑戦者ラケル・ペニントンの一戦が行われる 【Zuffa LLC】
大事故から復帰のペニントンがヌネスに挑む
「UFC 200」(2016年7月)でミーシャ・テイト(米国)からベルトを奪って以来、ロンダ・ラウジー(米国)、ワレンチナ・シェフチェンコ(キルギス)の挑戦を退けてきたヌネスは今回が3度目の防衛戦となる。
ここまで3年負け知らず、現在6連勝中のヌネスは今回勝てばUFCで9勝目となり、女子選手の最多勝利数記録を達成。史上最強の女子ファイターのステータスをますます固めることになる。
シェフチェンコ戦、ラウジー戦、テイト戦、サラ・マクマン(米国)戦と、これまで試合前の賭け率で不利とみられることがほとんどだったヌネスだが、今回はヌネス有利との下馬評がもっぱらだ。しかし、ヌネスはこの点に特に気を引き締めなければならないと自戒をこめる。
「MMAでは何が起きるか分からない。相手を過小評価した途端に、相手が強くなる。私にはそういう経験がある。ペニントンが今、どんな気持ちでいるのかは分かる。その気持ちにやられるわけにはいかない。十分に注意をして、やるべきことをやり、100%ベルトを防衛したい」
他方のペニントン、前回は「UFC 205」(16年11月)でテイトに圧勝して4連勝し、タイトル挑戦権を獲得したが、負傷箇所の手術のため1年間の休養を余儀なくされる。回復後、「UFC 219」(17年12月)でいったんヌネスとのタイトルマッチが組まれたものの、その試合が決まった直後に今度は交通事故で大けがを負ってしまう。
オフロード車でハンティングに行った帰り、雪道でスリップし、車が横転。車外に投げ出されたペニントンのスネに、自動車のフレームが落ちてきたのだ。ハンティング用の深いブーツを履いていたおかげで、足の切断を辛うじて免れたが、もう少し上に当たってヒザを直撃されていたら、今頃は義足を使うことになっていたかもしれない。
19カ月ぶりにようやくオクタゴンに戻ってくるペニントンにとっては試合勘が心配だが、ペニントンのフィアンセであるテシア・トーレス(米国)がかつてヌネスのトレーニングパートナーであったことから、ヌネス対策に抜かりはない。やまない雨はないとばかりに、長かった欠場の鬱憤(うっぷん)を晴らすペニントンの大暴れに期待大だ。
ベウフォート引退マッチ、テーマは“リスペクト”
ブラジルで現役生活を終えるベウフォート 【Zuffa LLC】
「おかげで引退試合としてより良い対戦相手、より良い開催場所に恵まれた。神様のおかげだと思う」とベウフォートは『インスタグラム』で明かしている。
「リョートとは長年の知り合いだ。彼の家族とも親しいし、一緒に練習したこともある。自分はこの試合をブラジルでやりたかった。ここから世界に向けて、リスペクトの大切さを伝えたいんだ。リョートと自分はプロとして戦うが、それでも友人であることには違いない。常にお互いをリスペクトし、オクタゴンでベストを尽くす」
一方のマチダは前回、地元ベレム(ブラジル)でエリク・アンダース(米国)にスプリット判定勝ちを収め、連敗ストップに成功。試合後には早速、2人の対戦相手を指名していたが、1人は引退試合が近いとされるマイケル・ビスピン(イギリス)、もう1人が今回対戦するベウフォートだった。
「本来はブラジル人以外と戦う方が良いが、ビトーは実績十分のすばらしい選手だから、ノーとは言えない」とマチダは述べている。「今回がビトーにとって最後の試合になるという点については、あまり考えないようにしたい。試合に影響する外部要因は取り除いておきたいんだ。人間ビトーだけでなく、ファイターとしてのビトーにもリスペクトを払っている。プロとして、試合ではファンにベストの試合をお見せしたい」
自身はまだ引退については考えていないと言うマチダは、まだまだ歩みを緩めるつもりはない。
「このスポーツにただ参加していたいわけではない。勝ちたいんだ。そう思って、自分の限界を広げようと毎日努力している。前進し続けたいし、勝ち続けたい。そして、タイトルに近づいていきたいんだ」
初対決となる2人の大ベテランが地元ファンの前で繰り広げる集大成のファイトを堪能しよう。
ソウザとガステラムの次期挑戦者決定戦
売り出し中のガステラム。勝利で王座戦に近づけるか 【Zuffa LLC】
前回はデレク・ブランソン(米国)を第1ラウンドにハイキックでノックアウトし、過去4戦で3度目のパフォーマンスボーナスを獲得したソウザは「ケルヴィンは難攻不落で、複雑な戦いをする選手。厳しい試合になると思うが、ここから2連勝して自分がUFCミドル級チャンピオンになるものだと決めている」と、初のタイトルマッチ進出を期しての負けられない今回の戦いに臨む。
他方で、17年はすべてノンタイトル戦ながら、ブラジル、ニューヨーク、上海でメインイベントを務めた売り出し中のガステラム。過去には減量失敗や薬物検査失格などでつまずくこともあったが、ベウフォートやビスピン、ティム・ケネディ(米国)をノックアウトするなど、26歳にして確かな実力とレジェンド殺しの場数を積み重ねてきている。38歳のソウザがついにチャンスをものにするのか、ガステラムが世代交代を果たすのか、タイトル戦線の行方を占う大一番から目が離せない。
(文:高橋テツヤ)
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