日本女子が中国に取るべき対策は? いよいよ決勝 世界卓球47年ぶり団体金へ

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突然決まったコリア戦 石川佳純「動揺もプレッシャーもあった」

急きょ結成された「コリア」チームとの準決勝に勝利し、日本女子が決勝進出。第2試合に勝利した石川佳純は試合後、安堵したように目に涙を浮かべた 【写真は共同】

 日本、そして世界中から注目を集めた世界卓球選手権団体戦ハルムスタッド大会・女子準決勝の日本と統一「コリア」の一戦。日本女子がストレートで勝利を収め、3大会連続の決勝進出を決めた。

 大会期間中に急きょ結成された韓国と北朝鮮の合同チーム「コリア」。さまざまな喧噪(けんそう)渦巻く中で行われた日本との準決勝トップは伊藤美誠(スターツSC)と韓国のエース・田志希の対戦。まずは伊藤が多彩なテクニックで田志希を完封。準々決勝のウクライナ戦に続き1番で勝利し、チームに勢いを与える。
 2番は石川佳純(全農)と北朝鮮のエースであり、リオデジャネイロ五輪シングルスで石川が敗れた相手でもあるキム・ソンイ。継続して取り組んできたカット攻略の成果を見せている石川だが、キム・ソンイも一筋縄ではいかない。執拗な粘りと攻撃、石川にとってはアンラッキーなポイントなどもあり、試合は最終ゲームまでもつれる大接戦。それでも最後は渾身(こんしん)のドライブを打ち切った石川が16−14で勝利し、日本が決勝進出に王手をかける。
 コリアの3番は北朝鮮のキム・ナムヘの起用も予想されたが、韓国の梁夏銀。対する日本は平野美宇(日本生命)。対戦経験も多く、手の内を知る梁夏銀に対し、序盤から平野が圧倒。1ゲームこそ奪われたが、スピードで押し切った平野が日本の決勝進出を決める勝利を挙げた。

 準々決勝のウクライナ戦後、コリア結成と対戦について聞かれ、「今日の朝、練習に来る時に知って、すごくビックリしました。でも、もう決まったことだし、自分たちのプレーをすることに変わりはない。自分たちを信じて戦えばきっと結果はついてくると思っています」と語った石川だが、コリア戦勝利後には涙。「突然決まったチームと対戦することで、動揺もプレッシャーもあったし、注目されている中で勝ちたいという気持ちもあった。苦しい試合になると思っていたけど予想以上に苦しかった」と胸中を明かした。

中国は準決勝で思わぬ苦戦 決勝では一層の気合いも!?

先陣を切った伊藤美誠(写真)は、韓国のエース・田志希に勝利。日本に勢いをつけた 【写真は共同】

 その日本と決勝で対峙(たいじ)することとなったのは、やはり中国。しかし、その中国は準決勝の香港戦では思わぬ苦戦を強いられた。

 1番でリオ五輪金メダリストで現・世界選手権王者の丁寧が香港の20歳・蘇慧音にストレートで敗れる波乱のスタート。左足を痛めているという丁寧だが、動きに精彩がなく、蘇慧音の攻めに押される場面が目立つ。一方の蘇慧音はサービス・レシーブでもグイグイ仕掛けて主導権を握り大金星を上げた。
 2番の朱雨玲も、香港のエース・杜凱栞に大苦戦。我慢のラリー戦で最後はフルゲームで勝利したが、万が一ここを落とすと中国に暗雲が立ちこめていた。3番の劉詩ブン、4番の丁寧が勝利して決勝進出を決めたが、その2試合もゲームを奪われるなど、何とも中国らしくない歯切れの悪い勝利だった。

 日本がグループリーグ初戦から7戦連続のストレート勝利で決勝に勝ち上がったのに対し、中国はここまで全勝ながら2試合を落とした。前回大会まで3大会連続でオールストレートの完全優勝を果たしてきた中国にとっては異例の“敗戦”ペースとも言える。グループリーグのシンガポール戦で世界選手権初出場の王曼イクが相手エースの馮天薇に敗れたのは中国として見れば「想定内」かもしれないが、準決勝の丁寧の敗戦は少し気掛かりだろう。
 今大会、中国女子を率いるのは李隼。コーチとして北京五輪金メダルの張怡寧、ロンドン五輪金メダルの李暁霞を育てた名伯楽だが、団体戦のビッグゲームのベンチに入るのは今回が初。そうした影響が多少はあるのかもしれない。

 ともあれ、中国が抜け出た存在であることに変わりはない。もし丁寧が欠場したとしても、代役は昨年のITTFワールドツアー・グランドファイナル女王で現在世界ランキング1位の陳夢。実力だけで見れば5選手全員が世界王者クラスの選手層は他国と一線を画す。もちろん準決勝の香港戦での苦戦を経て、一層気合いを入れて決勝に臨んでくる。

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