団体金メダルへ、勝負の鍵は“適材適所” 世界卓球・決勝T、日本男女の戦略を読む

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日本男子、グループ2位通過も好材料そろう

順当に決勝トーナメント進出を決めた日本男子。メダル獲得へ、好調の張本智和は重要な役割を担うことになりそうだ 【写真:ロイター/アフロ】

 4月29日にスウェーデン・ハルムスタッドで開幕した世界卓球選手権団体戦。男女ともにグループリーグの全日程が終了し、女子は昨日から決勝トーナメントがスタートした。男子は3日、決勝トーナメントの1回戦が行われる。

 グループCのトップシード国として大会に臨んだ日本男子は、3戦目のイングランドに敗れ4勝1敗の2位でのグループリーグ通過となった。1位通過の場合、決勝トーナメントは準々決勝からのスタートで、中国との対戦は準決勝以降となる。日本は2位通過のため1回戦を戦うこととなり、最悪の場合は準々決勝で中国と対戦する可能性もあった。しかし、ドローの結果、グループD1位の韓国のブロックに入り、中国とは決勝まで対戦しない組み合わせとなったことは幸運と言える。

 イングランドに敗れたとはいえ、他の4試合はすべてストレートで勝利。敗戦の後も次戦のチャイニーズ・タイペイをきっちり下し、悪い流れを断ち切った試合は見事。団体戦初出場の張本智和(JOCエリートアカデミー)もブラディミル・サムソノフ(ベラルーシ)、荘智淵(チャイニーズ・タイペイ)という経験豊富な実力者に、世界選手権の舞台で勝利したことは大きな自信になったはず。

 大会直前に腰を痛め、状態が心配された水谷隼(木下グループ)もまだまだ本調子とは言い難いが、グループリーグ最終戦のシンガポール戦後に「明日に向けてサービスやレシーブなどを試しながら試合ができたのは良かった。コンディションは日に日に良くなっています」とコメントしており、試合の中で自らの感覚を確かめながら勝利を収めている。百戦錬磨の水谷だけに、決勝トーナメントでは会心のプレーに期待したい。

 丹羽孝希(スヴェンソン)は競り合う試合はあったが、取りこぼしなく勝利を上げており調子自体は悪くないように見える。これまで世界選手権団体戦では、なかなか実力を発揮できないでいた松平健太(木下グループ)も、チャイニーズ・タイペイ戦ではキレのあるプレーで勝利。もともとのポテンシャルは相当高いだけに、松平が好調をキープできれば選手起用にも幅が出てくる。

香港戦の2点起用は張本、水谷か

腰の故障が心配された水谷も復調傾向。決勝トーナメントでは張本とともに2点起用となるか 【写真は共同】

 今後の戦いではオーダーもより重要度を増してくる。敗戦を喫したイングランド戦について「張本を3番に置いて、丹羽を2点使い(1試合の全5戦中、2戦にエントリーする事)にするか、最後まで迷ってしまった」と倉嶋洋介監督は語ったが、グループリーグ以上に、実力もきっ抗してくるトーナメントでは、相手に応じた適材適所の選手起用が求められる。

 その日本がトーナメント1回戦で戦うのはグループAを3位通過した香港。香港は2日行われたグループリーグ最終戦で、ルーマニアとのゲームカウント3−2までもつれた大接戦を制して決勝トーナメント進出。団体戦では日本と16年の前回大会、リオ五輪、今年2月のチームワールドカップ(W杯)と準々決勝で対戦し、いずれも日本が勝利している。

 香港のメンバーで最も警戒するのは黄鎮廷。世界ランキング7位の実力者で、2月のチームW杯で張本、丹羽、4月のアジアカップでも再び丹羽を下すなど、日本選手から幾度も勝利を上げている。今大会もここまでエースとして全試合で2点起用され6勝と大車輪の活躍でチームをけん引。しかし、黄鎮廷とともにここまで2点起用の何鈞傑は波が激しく、3番手の21歳・林兆恒も安定感こそあるものの、そこまでの恐さはない。

 戦力差のある日本に対して、香港は黄鎮廷の2点起用は確実。日本としては前半で何とか黄鎮廷から1点奪い、プレッシャーを掛けて試合を有利に運びたいところ。チームW杯で敗れた後、アジアカップで黄鎮廷にリベンジしている張本と、徐々に調子を上げてきている水谷を2点起用し、このところ黄鎮廷に連敗中の丹羽は3番で相手の2、3番手を確実に仕留めにいくオーダーか。

 中国とは決勝まで対戦がないとはいえ、香港に勝てば準々決勝ではチームランキング4位の韓国、準決勝では恐らくチームランキング2位のドイツと対戦と、タフな戦いが続いていく。まずは香港戦にきっちり勝利して勢いを加速させたい。

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