団体金メダルへ、勝負の鍵は“適材適所” 世界卓球・決勝T、日本男女の戦略を読む

月刊『卓球王国』

日本女子は石川、伊藤でカット攻略を

1ゲームも落とすことなく決勝トーナメントに進んだ日本女子。試合数の少なさが今後にどう影響するか 【写真は共同】

 一方、日本女子は全試合3−0、さらに個々の試合も1ゲームも落とすことなく5戦全勝という完璧な試合運びでグループリーグBを1位通過した。ハンガリー、ウクライナが勝利の確率が低いと判断し、主力を温存してきたこともあるが「率直に言って、あまりにも勝ち過ぎると勝負勘がなくなってしまうし、簡単に勝ち過ぎると接戦の時にどのような状態になるか分からない」と日本女子の馬場美香監督が語るほどの完勝を続けている。

 誤算といえば、早田ひな(日本生命)が1試合のみの出場、初出場の長崎美柚(JOCエリートアカデミー)が出場なしに終わったことか。ともにグループリーグでの起用が予想されていたが、あまりの快勝続きで試合数が少なく、準々決勝までに1日空くということで、1位通過が決まった後の米国戦でも主力の石川佳純(全農)、平野美宇(日本生命)、伊藤美誠(スターツSC)の3選手を起用した。

 この起用に関して馬場監督は「これまで3−0で勝った試合が多くて、試合数が少なかったので、決勝トーナメントをどのような状態で迎えるかを考えた上でこのオーダーにしました。明日は試合がないので、なるべく試合をさせて、試合の感覚を保たせておきたかった」とコメント。その起用に応えて米国に完勝し、グループリーグを締めくくったが、決勝トーナメントでもこの3人が日本女子の中心となるだろう。

 日本女子の準々決勝の対戦相手はウクライナ。決勝トーナメント1回戦でシンガポールを破って勝ち上がったが、日本とはグループリーグに続き今大会2度目の対戦となる。その日本戦では勝利の望みが少ないと見て、ビレンコ、ペソツカという主力2選手を温存したが、今回は2選手ともに出場してくるはず。格上と見られたシンガポール相手に3−2で勝利し、初のベスト8入りを果たした勢いもあり、グループリーグで完勝している相手とはいえ侮れない。

 ウクライナの主力はビレンコ、ガポノワというカットマン2人だが、日本としてはカット攻略に定評のある石川、伊藤の2人で確実にポイントを上げ、試合を優位に運びたいところだ。

(文:浅野敬純/卓球王国)

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