豪州を苦しめたコロンビアの両SB 多彩な攻撃に対し、日本はどう対処する?

植松久隆

日本の現在地を測るにはうってつけの試合

W杯で日本と同組のコロンビアは、オーストラリアとの親善試合でスコアレスドローに 【Getty Images】

 日ごろから追っているオーストラリア代表が、発足間もない新体制の初遠征でコロンビアとの試合を組んだと聞いて「これは日本にとっても重要な試合になる」と思った。日本にとってアジアの“最強のライバル”であるオーストラリアがコロンビアを相手にどれくらいやれるのか、ワールドカップ(W杯)ロシア大会に向け、日本が自らの現在地を測るにはうってつけの試合になるからだ。

 オーストラリアにとっても、ペルーと同組に入っているW杯に向けての試金石になるわけで、3月28日(現地時間)に行われたオーストラリアvs.コロンビアの試合を、いつも以上に注意深く見守った。その試合が行われたのは、ロンドンのクレイブン・コテージ。今はチャンピオンシップ(2部相当)に籍を置くフルハムFCの本拠地で、ロンドンの住宅地に立つアットホームなスタジアムは満員の盛況だった。ロンドンには多くのオージーが暮らしているので、“サッカルーズ(オーストラリア代表の愛称)”のファンが多数かと思いきや、試合映像に映し出された観客の多くは、ノリノリのコロンビア人サポーターだった。

 コロンビアは24日に、敵地でW杯優勝候補の一角に擬せられるフランスを2枚看板であるラダメル・ファルカオ(モナコ)とハメス・ロドリゲス(バイエルン・ミュンヘン)の活躍で、0−2からの大逆転で勝利(3−2)を挙げ、気分を良くしていた。一方のオーストラリアは、ベルト・ファン・マルバイク新監督の初戦で、W杯に出場しないノルウェー相手に守備が破綻して1−4という惨敗を喫しており、さすがに新体制の連敗での船出は避けたいという思いがあっての試合だった。

オーストラリアの技巧派MFに振り回される場面も……

コロンビアのアンカーとして、オーストラリア戦で存在感を放ったバリオス 【Getty Images】

 この日のコロンビアは、百戦錬磨の守護神ダビド・オスピナをはじめとした6人がフランス戦に続きスタメン出場を果たし、それ以外の5人を入れ替えて試合に臨んだ。表記上のシステムは4−4−2。しかし、攻撃時には左のホアン・モヒカ(ジローナ)と、フランス戦でも先発した右のサンティアゴ・アリアス(PSV)の両サイドバック(SB)が、かなり高いポジションを取って積極的に攻撃に絡むため、守備的MFのウィルマール・バリオス(ボカ・ジュニアーズ)がしばしばセンターバック(CB)の2人の間に割って入り、3バックを形成するような形も見られた。

 中盤の底で存在感を見せていた24歳のバリオスは、まだ若いながらも攻守にスキのない動きを見せており、非常に完成度の高い選手という印象を受けた。そう遠くないうちに欧州へと渡るであろう、ブレイクが期待される選手だ。

 CBはフランス戦で先発したダビンソン・サンチェス(トッテナム)、ジェリー・ミナ(バルセロナ)という若いペアから、クリスティアン・サパタ(ACミラン)、オスカル・ムリージョ(パチューカ)という経験豊富なコンビに入れ替わった。この2人も前述のバリオスの好バックアップを受けつつ、ほとんど破綻は見られなかった。

 後半8分からミナがムリージョと交代で入り、3人のCBで無失点を守り抜いた。ただ、試合を通じてほんの数回ではあるものの、サイドが有効に使えないオーストラリアの中盤がやや苦し紛れに出したスルーパスに反応が遅れてシュートまで持ち込まれたり、サッカルーズ随一の技巧派MFマッシモ・ルオンゴ(QPR)のドリブルに振り切られるようなシーンも見られたことも、合わせて記しておきたい。

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著者プロフィール

1974年福岡県生まれ。豪州ブリスベン在住。中高はボールをうまく足でコントロールできないなら手でというだけの理由でハンドボール部に所属。浪人で上京、草創期のJリーグや代表戦に足しげく通う。一所に落ち着けない20代を駆け抜け、30歳目前にして03年に豪州に渡る。豪州最大の邦字紙・日豪プレスで勤務、サッカー関連記事を担当。07年からはフリーランスとして活動する。日豪プレス連載の「日豪サッカー新時代」は、豪州サッカー愛好者にマニアックな支持を集め、好評を博している

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