チーム成績を左右する新外国人投手たち マイコラス、上原浩治に近いタイプは!?

Baseball Geeks

西武に加入した右腕・カスティーヨはMLBでは4シームの平均球速が156キロだった 【写真は共同】

 いよいよ今日開幕するプロ野球。やはり気になるのは、新戦力となる新外国人選手だ。特に新外国人投手の出来は、ペナントレースを大きく左右するといっても過言ではない。

 そこで今回は、MLBが運営している『Baseball Savant』上で取得できるトラックマンのデータを使い、今シーズン新たに来日した新外国人投手を分析した。
 2017年にメジャーリーグで登板した10投手を、4シーム(=ストレート)に関するデータから紹介していこう。

球速ナンバーワンは西武カスティーヨ

 新外国人投手のデータで、最も話題を呼ぶのが球速だ。

 新聞紙面で「MAX155キロ投手獲得!」などの見出しを目にすることも多い。そこでまず4シームの平均球速ランキングを見てみよう。

新外国人投手の4シーム平均球速ランキング。マルティネス、ジーは先発投手ながら140キロ後半の平均球速を記録した 【Baseball Geeks】

 平均球速が150キロを超えた投手は5投手で、1位は埼玉西武のカスティーヨの最高球速158キロ。先発候補として期待されているが、長いイニングを投球した時にどれくらいの球速が出るかも注目していきたい。オープン戦では2試合に先発登板し、合計9イニングを投げて被安打5、奪三振7、自責点2と安定したピッチングを披露した。

アウトの取り方がわかる?

 次に、それぞれの投手の4シームのボール変化量を見ていこう。

 トラックマンではボールの変化量を計測でき、客観的に球質を把握することができる。

 昨年まで巨人で活躍したマイコラス(現カージナルス)の球質はメジャーリーグ平均に近い。打者は平均的な4シームを見慣れているため、上原のようなホップ成分(重力とは逆方向に働く力)が大きな球質は、いわゆる「伸び」が大きいボールに感じるのだ。

新外国人投手の4シームのボール変化量。ホップ成分が大きいボールは打者からすると伸びてくるように感じる 【Baseball Geeks】

 新外国人投手の中で、最もホップ成分が大きかったのは広島のカンポスで、巨人復帰の上原浩治と同程度の値をたたきだした。さらにはシュート成分(右投手の場合、右打者の内角へ変化するような要素)が小さいため、打者は真上に浮き上がるように錯覚し、空振りやフライを狙える球質だ。

 また、ホップ成分が小さかった中日・ジー、巨人・ヤングマンのような4シームも武器になる。打者の予想よりも沈む感じになるため、ボールの上側をたたいてしまう。ジーはシュート成分が大きな2シーム系、ヤングマンはシュート成分が小さなカットボール系の球質なのも面白い。4シームの球質的には、ジーは右打者、ヤングマンは左打者からゴロを奪うのが得意かもしれない。

 大活躍をみせたマイコラスに近いタイプという観点では、日本ハムのマルティネスが近いかもしれない。先発ながら平均球速が150キロ近いことや、縦カーブを武器としていることも共通点だ。開幕2戦目の先発が見込まれており、早速注目の投球が見られそうだ。

 ここまで新外国人投手の傾向を4シームのデータから紹介してきた。

 このようにどんなボールを投げるかが可視化できるようになると、選手を獲得する方法も変わってくる。例えば「マイコラスのようなタイプ」「上原のように伸びのある球を投げるタイプ」など、選び方も近い将来行われるだろう。ファンにとっても事前に選手のタイプを把握して、チームとの相性、活躍具合を分析するなど新たな楽しみ方が進みそうだ。
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著者プロフィール

株式会社ネクストベースが運営する最先端の野球データ分析サイト。「ボールがノビるって何?」「フライボール革命って日本人には不可能?」など、野球の定説や常識をトラッキングデータとスポーツ科学の視点で分析・検証していきます。 "野球をもっと面白くしたい" "野球の真実を伝えたい"。これがベースボールギークスの思いです。 書籍『新時代の野球データ論 フライボール革命のメカニズム』(カンゼン)が7/16より絶賛発売中。

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