【全日本プロレス】初のさいたまSAで宮原が三冠再戴冠 全日本マットで「チームJAPAN」が再会!?

高木裕美

大森&中西が10年ぶり再結成も秋山&永田組に撃沈

“アラフィフ”対決を制してアジアタッグを防衛した秋山(右)&永田 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 アジアタッグ選手権試合では、秋山準&永田裕志組vs.「ワイルドチャイルド」大森隆男&中西学組という、全員が1992年デビューの“アラフィフ”対決が実現。普段は同期の強い絆で結ばれている秋山と大森、永田と中西がパートナーを変えて対戦し、大森が首のケガから約2カ月半ぶりの復帰を果たすも、第104代王者組の秋山&永田が防衛に成功。試合後、藤田&カシンが乱入し、あわや乱闘かと思いきや、かつて05年に新日本プロレスで結成されたアマレス出身者ユニット「チームJAPAN」の4人で乾杯をするという、意外な光景が繰り広げられた。

 秋山と大森は全日本で共に92年10月にデビュー。95年1月から実に3年間にわたり同王座を保持していたが、その後、袂を分かち、紆余(うよ)曲折をへて再会。昨年は世界タッグ王座を獲得した。だが、今年1.3後楽園大会で同王座から転落すると、1.6大阪ではアジアタッグ王座挑戦にも失敗。その際、大森が頸椎椎間板ヘルニアの診断を受け、長期欠場となった。その間に、秋山は00年3月のZERO1旗揚げ戦で絆が生まれた永田と新たにコンビを組み、2.3横浜でアジアタッグ王座を奪取。パートナーを失った大森は、中西との「ワイルドチャイルド」復活を決意した。ワイルドチャイルドは、かつて06年には新日本の第49代IWGPタッグ王座、ZERO1のNWAインターコンチネンタルタッグ王座を獲得。その後、新日本の09年4.5両国大会で1年4カ月ぶりに一日限りの復活をして以来、今回は実に10年ぶりの再結成となる。

 永田と中西も92年の秋にデビュー。共にアマレス出身ということで、過去には「G−EGGS」や「チームJAPAN」といったユニットを結成。また、99年にはIWGPタッグ王座を戴冠しており、14年9月には永田の地元である千葉・東金大会で初披露された合体技「イーストゴールド」(永田の延髄斬り&中西の上からドン)も誕生している。
 なお、中西と秋山は共に専修大レスリング部の先輩・後輩であり、中西が4年生の時、1年生の秋山と合宿所の同じ部屋であったというエピソードもある。

 2カ月ぶりの復帰戦となる大森に対し、秋山は容赦なくパイルドライバーで首を攻め立てると、中西も秋山のジャンピングニーをかわしてバックドロップ。中西が野人ハンマー、ブレーンバスター、アルゼンチンバックブリーカーとたたみかけ、永田には捨て身のプランチャを見舞う。10分過ぎ、大森が永田に大車輪キック、ネックブリーカー、アックスギロチンドライバーを発射すると、永田も白目式腕固めで捕獲。すると、ワイルドチャイルドは秋山、永田に対し、なつかしの合体技「ワシントン条約」(大森のアックスボンバー&中西のマッケンロー)を発射。しかし、秋山と永田も同時にエクスプロイダーで投げ、反撃に転じると、秋山が大森にジャンピングニー、ヒザ蹴り、エクスプロイダーからのリストクラッチ式エクスプロイダーでフィニッシュ。越境対決を制した。

カシン、永田、中西、藤田の「チームJAPAN」がまさかの全日本リングで集結 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 試合後、先ほど諏訪魔組に勝利したばかりの藤田、カシンがリングに上がり、ハイボールを手に永田に握手を要求。さらに中西もリングインすると、入れ違いに秋山がリングを降りて退場。リング上は永田、中西、藤田、カシンの4人だけとなった。久しぶりにそろい踏みを果たした「チームJAPAN」の4人は、リング上で乾杯。これまでも出戻りやインディーや外敵や、どんな選手でもガンガン受け入れてきた、やたら門戸の広い全日本マットだが、チームJAPAN再集結で、新たな景色が広がっていくことになりそうだ。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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