若手とベテランの活躍に沸いた平昌パラ 東京と北京ではさらなる飛躍に期待

荒木美晴

エントリーした5種目すべてで表彰台に登る活躍を見せた村岡 【写真:田村翔/アフロスポーツ】

 平昌パラリンピックが閉幕した。アルペンスキー、バイアスロン、クロスカントリースキー、スノーボード、パラアイスホッケー、車いすカーリングの6競技80種目が実施され、冬季大会では過去最多となる49の国と地域から、約570人が熱戦を繰り広げた。国ぐるみのドーピング問題で揺れるロシアの選手は、「中立のパラリンピック選手(NPA)」として参加。また北朝鮮、ジョージア、タジキスタンの選手が冬季大会に初出場したことも話題になった。

 38名の選手が参加した日本選手団は、前回のソチ大会を超える10個のメダル(金3、銀4、銅3)を獲得した。アルペンスキー女子座位の村岡桃佳(早稲田大)は、大回転での金メダルを含め、エントリーした5種目すべてで表彰台に登る偉業を成し遂げている。男子座位では、森井大輝(トヨタ自動車)が初日の滑降で銀メダルを獲得。新競技として独立したスノーボードでは、成田緑夢(近畿医療専門学校)がクロスで銅、バンクドスラロームで金。6大会連続出場のノルディックスキー立位の新田佳浩(日立ソリューションズ)は1.5キロスプリントクラシカルで銀、10キロクラシカルで金と、ふたつのメダルを手にした。

 大日方邦子団長は、「金メダル3つを含む10個のメダルを獲得できた。複数競技でベテランの選手も若いアスリートもそれぞれに活躍してくれたことを誇りに思う」と話し、選手の健闘を称えている。

好成績をもたらしたサポート体制

メダルなしに終わったソチ大会後JISSで激しいトレーニングを重ねた新田は金メダルに輝いた 【写真:田村翔/アフロスポーツ】

 好成績をおさめた背景には、2014年4月にパラスポーツの管轄が厚生労働省から文部科学省に移管され、翌年にスポーツ庁が発足したことにある。五輪でメダル獲得が期待される競技を対象に専門的な支援を行う「ハイパフォーマンスサポート事業」がパラリンピック競技も対象になり、国が運営するナショナルトレーニングセンター(NTC)や国立スポーツ科学センター(JISS)の専門家によるサポートが受けられるようになった。大日方団長は、「今回、はやくもその成果があらわれた選手もおり、ありがたく、心強く思う」と話す。

 例えば、新田もそのひとりだ。メダルなしに終わったソチ大会以降、日本代表の長濱一年コーチと平昌パラリンピックにピークを合わせる「4年計画」を立てた。そのなかで、JISSでのフィジカルトレーニングは重要な要素のひとつとなっており、「毎日吐きそうになるくらい」行ってきた。

 スキーチームの荒井秀樹監督も、その成果を語る。「ソチ大会後、すべてのパラ競技のなかでクロスカントリースキーチームが一番最初にJISSの体力測定を利用した。新田が8年ぶりに金メダルを獲得したという今回の結果が、(施設を利用することで)パラの選手も世界で戦えることを証明したと思う」

 また、37歳の新田自身も「諦めなければメダルを取れる。ぜひこの思いを東京、そして北京に伝わればいいと思う」と語っている。

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著者プロフィール

1998年長野パラリンピックで観戦したアイススレッジホッケーの迫力に「ズキュン!」と心を打ち抜かれ、追っかけをスタート。以来、障害者スポーツ全般の魅力に取り付かれ、国内外の大会を取材している。日本における障スポ競技の普及を願いつつマイペースに活動中

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