侍ジャパン、ナゴヤから始まる金メダル道 先発の千賀「地元で思い入れあるが……」

中島大輔

3月3、4日に対戦する侍ジャパンとオーストラリア代表。稲葉監督とフィッシュ監督は固く握手 【写真は共同】

 静かなナゴヤドームに軽快なJポップが響く中、稲葉篤紀監督に選出された野球日本代表「侍ジャパン」の面々がシートノックの守備位置に広がっていった。

 ファーストには浅村栄斗(埼玉西武)が入り、セカンドには菊池涼介(広島)、サードには大山悠輔(阪神)と西川龍馬(広島)、ショートには今宮健太(福岡ソフトバンク)と田中広輔(広島)。外野にはレフトに筒香嘉智(横浜DeNA)と外崎修汰(西武)、センターに柳田悠岐(ソフトバンク)と松本剛(北海道日本ハム)、ライトには秋山翔吾(西武)と上林誠知(ソフトバンク)。途中で外崎はセカンド、松本はファーストに回った。

 投手と野手を合わせた全28選手のうち、最年長は29歳の柳田と秋山。昨年11月、U−24代表(3人のオーバーエイジ枠を含む)で戦った「アジア プロ野球チャンピオンシップ」のメンバーから、3分の1以上となる10選手が稲葉監督の下で初めて結成されたトップチームに選出された。

若手には「自分自身のコントロールを」

 3月3、4日に行われる「ENEOS 侍ジャパンシリーズ2018」のオーストラリア戦を翌日に控えた2日、前日会見に出席した稲葉監督は多くの若手選手を招集した理由についてこう説明している。

「日の丸のユニホームを背負って戦うプレッシャーや緊張感など、いろいろな思いがこのユニホームに付いていると思います。その中で自分のプレーをどのようにできるか。自分自身のコントロールということですね。これから、“いざ”というときには必要になってきます。ジャパンのユニホームを着て戦わないと、それは経験できないことですので。外国人選手独特のパワーを感じられるのも、国際大会でしかないと思います。2試合ではありますけど、そういう雰囲気も含めて日の丸を背負って戦う意義をしっかり考えてやってもらうことが、(若手選手の)今後につながってくれればいいと思います」

 稲葉監督の掲げる「スピード&パワー」を体現するべく、昨年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で活躍した筒香、秋山らの中心選手に加え、「これから見てみたい若い選手」とのバランスをふまえて、今回のメンバーが集められた。金メダルを至上命題に掲げる東京五輪本番までの国際試合はそう多くない分、1試合1試合が貴重な機会だ。昨年11月の「アジア プロ野球チャンピオンシップ」では、若手選手たちが日の丸を背負う重圧をプラスの力に変えたからこそ、チームとして結果を出し、10選手は今回も選ばれたのだろう。

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著者プロフィール

1979年埼玉県生まれ。上智大学在学中からスポーツライター、編集者として活動。05年夏、セルティックの中村俊輔を追い掛けてスコットランドに渡り、4年間密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『プロ野球 FA宣言の闇』。2013年から中南米野球の取材を行い、2017年に上梓した『中南米野球はなぜ強いのか』(ともに亜紀書房)がミズノスポーツライター賞の優秀賞。その他の著書に『野球消滅』(新潮新書)と『人を育てる名監督の教え』(双葉社)がある。

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