NPBで実施するリクエスト制度の課題 2014年から導入の韓国球界事情は!?
今年度からNPBでも監督のみがリプレー検証を要求できる「リクエスト」制度が導入される(写真は2017年のDeNA戦でビデオ判定を求める阪神・金本監督) 【写真は共同】
判断分かれるベンチの目と選手の実感
資料提供:韓国野球委員会※2014年は7月22日から導入 【スポーツナビ】
しかし、16年からは「条件なく2回まで要求可能」となり検証の回数が増え、ゲーム終盤になると、判定が覆る強い確信が持てない場合でも権利を行使するケースが増えていった。その結果、昨年は判定が覆る割合が、制度導入当初に比べて10%近く減っている。日本も導入初年度の今年は、慎重な権利行使により、(監督側から見て)高い成功率を残すのではないだろうか。
日韓ともに審判にリプレー検証を「要求」出来るのは監督だけだ。しかし行使の必要性については「当該選手の判断が最も大事」と韓国の現場は言う。KIAのキム・ミンホ守備コーチは「ベンチから見ると審判の判定通りと思うも、選手がベンチに向けて大きなジェスチャーでリプレー検証を求めてくることがある。そこで監督が渋々行使すると、判定が覆ったケースが何度もあった。ウチの(キム・ギテ)監督の場合、点差が開いている場面では選手がどんなに求めても行使しないが、僅差の時は選手の実感を尊重している」と話す。ベンチの目と選手の実感、どちらを重視するかはチーム、試合状況によって判断が分かれそうだ。
日本よりカメラが多い韓国の野球中継
さらに、韓国は野球中継を5つのスポーツ専門局(うち3つは地上波局傘下)のみで行っているため、各局ともに年間約160試合を担当している。そのため中継スタッフの経験値が非常に高く、特に「スローマン」と呼ばれるスロー再生を瞬時に出すことが出来る技術者の能力は「世界的に見てもトップレベル」と韓国の放送局ディレクターが胸を張るほどだ。