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NPBで実施するリクエスト制度の課題
2014年から導入の韓国球界事情は!?
今年度からNPBでも監督のみがリプレー検証を要求できる「リクエスト」制度が導入される(写真は2017年のDeNA戦でビデオ判定を求める阪神・金本監督)
今年度からNPBでも監督のみがリプレー検証を要求できる「リクエスト」制度が導入される(写真は2017年のDeNA戦でビデオ判定を求める阪神・金本監督)【写真は共同】

米大リーグで2014年に導入され日本でも今年から実施となる、監督がリプレー検証を要求できる「リクエスト」制度。ストライク、ボールの判定を除く、多くのプレーが対象となるこの制度は、アメリカだけではなく韓国・KBOリーグでも14年のオールスター明けから採用されている。3シーズン半の間にルール改正や新設備導入などを重ね、リプレー検証が完全に定着している隣国の状況から、日本のリクエスト制度の課題を探った。

判断分かれるベンチの目と選手の実感

 KBOリーグでは14年前半戦に誤審騒動が相次いだことから、シーズン途中に「合議判定」という名称でリプレー検証制度が導入された。昨季からは「ビデオ判読」と改称され、これまでに2377試合中、1963回の検証が行われている。以下がその内訳だ。

資料提供:韓国野球委員会※2014年は7月22日から導入
資料提供:韓国野球委員会※2014年は7月22日から導入【スポーツナビ】

 14、15年は1チーム当たり、1試合2回まで与えられたリクエストのうち、「初回の要求で判定が覆らなかった場合、2回目の権利を失う」というルールだったため権利行使が慎重になり、結果として判定が覆った割合が約4割と高かった。


 しかし、16年からは「条件なく2回まで要求可能」となり検証の回数が増え、ゲーム終盤になると、判定が覆る強い確信が持てない場合でも権利を行使するケースが増えていった。その結果、昨年は判定が覆る割合が、制度導入当初に比べて10%近く減っている。日本も導入初年度の今年は、慎重な権利行使により、(監督側から見て)高い成功率を残すのではないだろうか。


 日韓ともに審判にリプレー検証を「要求」出来るのは監督だけだ。しかし行使の必要性については「当該選手の判断が最も大事」と韓国の現場は言う。KIAのキム・ミンホ守備コーチは「ベンチから見ると審判の判定通りと思うも、選手がベンチに向けて大きなジェスチャーでリプレー検証を求めてくることがある。そこで監督が渋々行使すると、判定が覆ったケースが何度もあった。ウチの(キム・ギテ)監督の場合、点差が開いている場面では選手がどんなに求めても行使しないが、僅差の時は選手の実感を尊重している」と話す。ベンチの目と選手の実感、どちらを重視するかはチーム、試合状況によって判断が分かれそうだ。

日本よりカメラが多い韓国の野球中継

 日韓のリプレー検証の大きな違いに映像設備と技術面がある。韓国は当初、日本同様にテレビの中継映像だけを判断材料にしていた。韓国の中継カメラは日本が通常10〜12台程度なのに対し、13〜17台と多い。その中にはハイスピードカメラも含まれている。それらのカメラとは別に、昨年の日本シリーズ中継でも話題になった、選手の一連の動きを映画「マトリックス」のようにぐるっと前後左右から映し出す映像(4D replay、フリー・ディメンショナル・ビデオ)を一部放送局では3年前から公式戦で日々採用。リプレー検証にも役立てられていた。


 さらに、韓国は野球中継を5つのスポーツ専門局(うち3つは地上波局傘下)のみで行っているため、各局ともに年間約160試合を担当している。そのため中継スタッフの経験値が非常に高く、特に「スローマン」と呼ばれるスロー再生を瞬時に出すことが出来る技術者の能力は「世界的に見てもトップレベル」と韓国の放送局ディレクターが胸を張るほどだ。

室井昌也
室井昌也
1972年、東京生まれ。韓国プロ野球の伝え手として、2004年から著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』を毎年発行。韓国では2006年からスポーツ朝鮮のコラムニストとして韓国語でコラムを担当し、その他、取材成果や韓国球界とのつながりはメディアや日本の球団などでも反映されている。現在「室井昌也の韓国野球を観に行こう!」(ラジオ日本)に出演中。アジア大会の現地取材は3大会連続4度目となる。ストライク・ゾーン取締役社長。

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