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久保裕也がヘントで抱える忸怩たる思い
新監督の「変えない力」による恩恵と弊害

監督交代で調子が上向くヘント

監督交代で調子が上向くヘント。久保裕也も先発出場を続けている
監督交代で調子が上向くヘント。久保裕也も先発出場を続けている【写真:ムツ・カワモリ/アフロ】

 クラブ・ブルージュ(勝ち点60)が独走するベルギーリーグは、シャルルロワ(同49)、アンデルレヒト(同46)、ヘント(同44)の3チームが2位を争っている。その戦いを制した先にはチャンピオンズリーグ(CL)予選が待っているだけに、レギュラーシーズン残り3試合、その後の“プレーオフ1”の10試合は熾(し)烈を極めそうだ。


 この中で今、一番調子の良いのがヘントである。10月、14位と低迷したヘントはハイン・ファンハーゼブルック監督を更迭し、イベス・ファンデルハーゲを新監督に招いた。その後の成績は11勝4分け2敗という素晴らしいもので、チームはウイニングムードに乗っている。


 ヘントにとって惜しかったのが2月18日、メヘレンと2−2で引き分けてしまったゲームだった。ここまでヘントはホームゲームで10連勝していた上、相手は15位と下位に沈むチームだった。ところが、試合の入りが悪く、前半は0−2のビハインドを負ってしまった。


 後半からヘントは攻撃のスイッチを入れ、猛攻の末に追いついたが、アディショナルタイムの勝ち越しゴールはオフサイドの判定で取り消され、アンデルレヒトと勝ち点で並ぶ機会を逸してしまった。その悔しさに選手たちが顔を歪ませていた中、ファンはチームの頑張りに惜しみない拍手を送っていた。それは美しいコントラストだった。選手のネガティブな思いを、ファンがポジティブなムードに変えて、「次は勝とう」という一体感を生んだのだ。


「今日は勝ち点を取りこぼしたけれど、ヘントの強さは本当だな」と私は感じていた。

新監督の「変えない力」の恩恵を受ける久保

 ファンデルハーゲ監督の長所は「変えない力」にある。フォーメーションはほぼ「4−3−3」で固定し、先発メンバーもほぼ変えることがない。


 久保裕也は、ファンデルハーゲ監督の「変えない力」の恩恵を受けた1人ではないだろうか。久保は第12節のオイペン戦で今季3ゴール目を決めて以降の6試合で4ゴールという好調期を迎えた。しかし一転、今度は7試合ノーゴールという不振に陥った。


 なかでも第25節のオイペン戦は、ベルギーメディアが久保を厳しく批判し、さすがに私も「次はとうとうスタメン落ちするかも」と案じた。しかし「変えない力」を持つファンデルハーゲ監督は、続くSTVV戦も久保を先発のピッチに送った。この試合で久保は、1ゴール1アシストを記録し、復活の兆しをつかんだのである。


  そんなファンデルハーゲ監督だったが、メヘレン戦では前半で2点のビハインドを負ったことで、システム変更の必要に迫られた。前半、「4−3−3」だったフォーメーションは、後半から「3−4−3」になり、中盤のシステムはディフェンシブハーフ2枚・オフェンシブハーフ2枚のボックス型になった。中盤で優位に立ったヘントは、サイドで1対1の状況を作り出し、クロスからヘッドというパターンで2ゴールをあげた挙げたのだった。


 このシステム変更について、久保は「(現監督になって)初めてでした。なかなかシステムなどを変えない人なので『状況に応じて変えるんだな』と思いました」と語っている。これにより久保は、より相手ゴールに近い位置でプレーすることになる。そして72分には中盤でルーズボールを拾い、素晴らしいボディーコントロールとボールキープ力で相手の激しいチャージをかわすと、ロマン・ヤレムチュクの同点ゴールの起点となった。


 その後も、久保の一瞬のスピードが相手を上回り、あっという間にマークを剥がすなど、身体のキレは終盤まで衰えなかった。久保のコンディションはかなり良さそうだ。だからこそ、久保には忸怩(じくじ)たる思いがある。

中田徹
中田徹

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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